以下の記事は、福島県厚生農業協同組合連合会(JA福島厚生連)「健康アドバイス」として、過去に掲載された情報のバックナンバーです。
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Dr.メッセージ

まだまだ油断なりません=熱中症の対策
2011年9月
福島県農協会館診療所
所長 伊勢 重男

福島県農協会館診療所 所長 伊勢 重男
 今年は記録的な暑さで、8月は毎日のように熱中症で倒れたニュースが報道されていました。9月になってもまだまだ暑さが続きそうです。9月になったからといって油断せず、熱中症に対する対策をしっかりと取っておきましょう。
 熱中症とは、大量の汗をかき、水分が体から失われると同時に電解質(ミネラル成分のうち特に塩分とカリウム)も失われ、水分代謝のバランスがうまくいかなくなる状態をいいます。このようなきっかけは、炎天下で労働している時や高温多湿の環境に長くいることが多いのですが、遂には体温調節が利かなくなります。その結果気持ちが悪くなったり、あるいは頭痛、吐き気、脱力がきたり、ひどくなると意識もうろう、最後は失神を来すようになります。
 熱中症でもうろうとして動けなくなった人を見たらすぐ救急車を呼ぶとともに、到着までに次のような処置をとります。
(1)涼しいところに運び、まずその人の体温をみます。肌に触れてみると熱い感じがするでしょう。
 体温調節ができなくなった証拠です。服を脱がせます。
(2)次に、冷たい水に浸した手拭いを用意し、寝かせた体の前面に広げてかぶせます。
(3)こうしてから体全体を団扇か扇子であおぎ、気化熱で体を冷やしながら救急車の到着を待ちます。
 熱中症予防のためにすべきこと 
 このように重症にならない前に、熱中症に対する予防が大切なことは言うまでもありません。そのためにもこまめに水分をしっかり補給しておきましょう。
 特に高齢者はのどの渇きを自覚する感覚が低下しがちですから、暑いときはのどが渇いた感じがなくても、1~2時間ごとにコップ一杯の水を飲むよう心がけましょう。汗をかくと水分だけでなく塩分も失われますので、0.9%の食塩を含んだ生理食塩水を摂るのが理想です。0.9%の塩分は体液の濃度と同じ濃さなのです。そこで簡単な生理食塩水の作り方を紹介しましょう。
 500mlのペットボトルに水を入れ、ボトルの蓋に1/2~2/3程度の食塩を盛り(または、小さじすり切り一杯、約4.5g)、これをよく混ぜます。
 市販のスポーツドリンクは糖分、塩分の濃度が高いので、高血圧や肥満の方には注意が必要です。飲むなら半分に薄めて摂りましょう。
 私の愛飲するスポーツドリンクの作り方も紹介します。
ペットボトル500mlの水に、梅干し3~4個と紫蘇の葉っぱも一緒に入れ、これにレモンの搾り汁を適量加えてよく混ぜます。冷蔵庫で冷やしてから飲むと美味しく感じますよ。
 スポーツの合間とかウオーキングの途中に愛飲しています。お試し下さい。