以下の記事は、福島県厚生農業協同組合連合会(JA福島厚生連)「健康アドバイス」として、過去に掲載された情報のバックナンバーです。
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Dr.メッセージ

今年流行りそうな風邪にご注意
2011年11月
福島県農協会館診療所
所長 伊勢 重男

福島県農協会館診療所 所長 伊勢 重男
 そろそろ寒くなるとともに風邪の流行りそうな季節がやってまいりました。風邪の原因はウィルス感染によるものが大部分ですが、そのうち有名なのは「季節性インフルエンザ」と「新型肺炎(SARS)」でしょう。しかし「RSウィルスによる風邪」は意外と知られていないようです。
 最近日本の新聞のニュースで、[RSウィルス感染症、今冬に大流行の恐れ」という記事が見られました。国立感染症研究所の情報によりますと、「発生は通常秋から冬にかけてであるが、今年はすでに初夏から患者が増え始めている」と発表しています。流行のピークは年によって多少のズレはありますが、11月から年末にかけてが多いのです。
 日本では、乳幼児のインフルエンザ感染症がお母さん方の間で特に注意が払われていますが、RS感染症は乳幼児でも大部分は一般の風邪と見過ごされ易く、あまり問題となりませんでした。しかし一旦重症化しますと、米国ではこのウィルスによって毎年約4500人前後の乳幼児死亡がみられるそうです。
 生後3歳までにほとんどの乳幼児が罹ります。多くは鼻水、せき、微熱程度の一般的かぜ症状で、1~2週間で治ってしまいますので、案外軽視されていました。しかし、日本でも小児におけるRS感染症は数%が肺炎のような重症化となる可能性が高いとみられています。
 乳幼児か小児が風邪を引き、咳が長びいたり、ひどくなるような時は重症化の始まりかも知れません。咳の特徴としては「喘息のようなゼイゼイという呼吸」を呈します。そのような時はすぐに小児科を受診しましょう。
 RS感染症は主に小児の感染症として注意しなくてはなりませんが、抵抗力の弱った高齢者の肺炎の原因としても注目されつつあります。このウィルスはインフルエンザウィルスと異なり、予防ワクチンや特効薬はまだ開発途上にありますから(つまりまだないということ)、早めに気付いて重症化させないことが大切です。
 予防策としては特に特別なことはありません。一般的な風邪やインフルエンザ予防対策で十分です。
 すなわち(1)外出から帰ったらよく手を洗うこと。(2)水道水でもよいですからうがいを励行する。(3)出来るだけ人混みにはいかないようにする。(3)マスク着用はウィルス吸入を防ぐのには効果がありませんが、冷えた空気を直接喉に当てないという点から考えると意義があるでしょう。