何故有名人に食道癌が多いのか | |
2013年2月 福島県農協会館診療所 所長 伊勢 重男 |
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食道癌患者は40代後半以降急激に増加します。有名人の食道癌患者で分かるように、ほとんどが男性です。 食道癌の主な誘因 (1)アルコールは食道粘膜を刺激し、粘膜を傷つけます。また塩味、辛みの強い食物も同じです。アジアでは中国四川省や韓国に食道癌が多いことは有名です。 (2)遺伝的要素として、お酒を飲むとすぐに顔が赤くなる人はアルコール分解酵素が先天的に少ないので、アルコールの影響が強く出ます。特に初めは呑めなかったのに慣れによって強くなった人があぶないです。アルコールに強い人に比べると食道癌になるリスク(危険度)が12倍高まるとされています。 (3)喫煙は当然のことながら食道癌発生のリスクを高めます。ニコチンが唾液に混じって嚥下する時に慢性的に粘膜を刺激します。また飲酒と喫煙の習慣が強い人はさらに危険度が高まります。藤田まことのヘビイスモカーぶりと酒豪はその業界では有名だったそうです。 (4)日本でも食生活の欧米化にともない「逆流性食道炎」が増えてきていますが、これも食道癌増加の一因になっていると考えられています。逆流性食道炎は強い酸性の胃液が食道に逆流して食道粘膜を損傷して起こる病気です。ひどくなると強い胸やけを訴えます。これを放っておくと危険性が高まります。たかが胸やけと放置しないで下さい。 食道癌の早期発見のために 早期の食道癌はほかの癌と同じくほとんど自覚症状がありません。食べたものが胸につかえるなどの症状が出てきた時はすでに初期とは言えず、すでに進行癌になっているのが大部分です。食道は胃や大腸と異なり、周囲から保護している役に相当する外側の膜(奬膜)がありませんので、管の外に広がり易く、また転移しやすいのです。手術となると、胸とおなかを同時に開ける大変大きな大手術になります。 では早期発見するためにはどうすればよいか。そのためには人間ドックや胃癌検診を毎年しっかり受けることに尽きます。幸い早期であれば胸やおなかを開けることなく、内視鏡で治療することも可能です。 |
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