以下の記事は、福島県厚生農業協同組合連合会(JA福島厚生連)「健康アドバイス」として、過去に掲載された情報のバックナンバーです。
JA福島厚生連からの最新の情報は、TOPページからご覧ください。



Dr.メッセージ

食物繊維摂れてますか
2016年4月
JA福島厚生連 鹿島厚生病院栄養科
石田 泉

 春は、別れと出会いの季節、社会人デビュー、入学、進級、転勤、単身赴任、退職などと、私たちにとって何かと生活環境が変化し、期待と不安が入り交じる時期です。ストレスから自立神経のバランスがくずれ、胃腸の機能が弱っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
 基本は、胃腸に負担をかけるような暴飲暴食、脂っこいものを避け3食をなるべく同じ時間に食べて自律神経を整えることです。
 さらに、便秘や下痢などの不調がある場合は、食物繊維の摂取量を増やすことを心がけて下さい。

● 食物繊維は、腸内の発がん物質やコレステロールを吸着して排便をスムーズにさせる働きがあり、便秘、大腸がんを予防して腸内の良い菌を増やします。いわば、お腹のおそうじ役です。
● 食物繊維とは、食物の成分のうち、人の消化酵素で分解されない成分のことで、野菜や果物、海藻などに多く含まれ、水に溶ける(水溶性)と水に溶けない(不溶性)に大別できます。
◎水に溶ける食物繊維
* 海藻やジャムなどに含まれるぬるぬるしたもの
(特徴)
・ 糖の吸収を抑えて血糖値の上昇を抑制するので糖尿病の予防になる
・ コレステロールの吸収も妨げ、体外に排出されやすくし、脂質異常症予防になる
・ 塩分(ナトリウム)を吸着して体外へ排出し、血圧の上昇を抑えて、高血圧を予防する
・ 脂っぽいものを大量に食べるとできやすいコレステロール胆石をできにくくする
◎水に溶けない食物繊維
* 野菜や果物などを食べていて、たまに口の中に残るスジ状のもの
(特徴)
・ かむ回数を増やし、唾液や胃液の分泌を促す
・ 満腹感を早めに得ることができるので、過食の予防になる
・ 消化管の働きを活発にして、便量を多くし、便秘や大腸がんを予防する
・ 身体の有害物質を吸着し、排出する
・ 善玉の腸内細菌を増やし、悪玉のものを減らす働きをする


調理上のポイント
* 野菜やきのこ類は、加熱して煮物や炒め物などにしてから食べると、かさが減り生で食べるときの3〜5倍多くとれる
* 豆類は、煮物、サラダ、スープにすると摂りやすくなる
* 海藻類は、和洋中華と献立に変化をつけて、食卓に頻繁に登場させる
* 大豆製品は、豆腐だけでなく、おからを上手に利用する


〜こんな時の食べ方〜
◎下痢と便秘をくり返す
* 水溶性・不溶性の食物繊維をとる
◎がんこな便秘に悩む
* 野菜やきのこ、海藻を食べて食物繊維をたっぷりとる
◎胃痛や膨満感に悩む
* 高脂肪、高たんぱく質の食事は避ける


《何事もとりすぎは禁物》
 健康効果の高い食物繊維ですが、カルシウムや鉄分などのミネラルの吸収も妨げるので、摂りすぎには注意が必要です。
 適量は、1日当たり成人男性19g以上、女性17g以上が目標量とされています。野菜類を1日350g〜400g食べると、食物繊維は約18g摂取することができます。
 もっと簡単な目安は、毎日の規則正しい快便です。
 日頃より質の良い食事、適度な運動十分な睡眠を心がけて行きましょう。