以下の記事は、福島県厚生農業協同組合連合会(JA福島厚生連)「健康アドバイス」として、過去に掲載された情報のバックナンバーです。
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農家の皆さんへ

「生活不活発病」
2012年10月1日放送
鹿島厚生病院
リハビリテーション科 横谷 直俊

 おはようございます。私は南相馬市鹿島区にあるJA福島厚生連 鹿島厚生病院リハビリテーション科の横谷直俊と申します。今日はよろしくお願い致します。
 さて、皆さんは「生活不活発病」という言葉を聞いたことはあるでしょうか?
 「生活不活発病」とは、まさにその文字が示すように、「“生活”が“不活発”」になることで心身の機能が低下する状態が続くことをいい、特に昨年の3月11日に発生した東日本大震災後から「生活不活発病」となる人達の数は増加傾向にあります。
 「生活不活発病」は、特に高齢者や持病のある人に起こりやすく、歩くのが難しくなってきたり、疲れやすくなるなど、まず生活行為が困難になっていきます。そうして生活行為が困難なることにより、いままで家庭内で行なってきた仕事が辛くなったり、外出したりする事が少なくなっていきます。そうして仕事や外出などをしないことによりますます生活行為が困難になっていくという悪循環に陥ってしまいます。また、外出などが減り、昼間に家で横になっている生活が続きますと、立った時に血圧が低下し気分が悪くなり、めまい・立ちくらみが出る「生活不活発病」の症状の一つである起立性低血圧が起こりやすくなります。単なる疲労だろうと考えて、更に横になっていると「生活不活発病」を一層進行させてしまい、結果として寝たきりの原因となってしまいます。

 また、「生活不活発病」によって活動範囲が狭くなることにより、部屋に引きこもることが多くなるため、うつ状態や知的活動の低下などもみられてきます。
 この様に「生活不活発病」は、身体面だけではなく精神面にも悪影響を与えているのです。
 この「生活不活発病」を発見するポイントとしては一年前と比べて、(1)関節が固くなった。(2)筋肉のこわばりが強くなった。(3)動くのが面倒くさくなった。(4)楽しみだったことへの興味が薄れてきた。(5)悩むことが多くなり、寝つきが悪くなった。等があります。以上のような事に心当たりがある場合は注意が必要です。

 このような「生活不活発病」に陥らないためにも、心身機能の低下の予防をしていきましょう。
 予防をする上でのポイントは、「生活不活発病」は生活の不活性によって起こるものなのですから、予防は逆に生活を活性化させることにあります。車を使わずに歩ける距離を歩く、家にこもらないで出かける用事を作るなど活発に過ごすことを心がけましょう。また、日常の家事なども積極的に行うことも生活の活性化に繋がります。その他としては、壁に手をついての踵上げやつま先上げなど、その場で簡単にできる体操も効果的です。踵上げやつま先上げをすることは、足腰に滞りやすい血液を心臓へ送り返す働きがあります。この体操を各20回で一日2セット行なうことで血流の改善が期待できます。

 また、体を動かしていく時に注意したいのは一気に活動性をあげるのではなく、少しずつ活動性をあげていくことです。無理な運動などを行い、疲れ果ててしまって、後が続かないということでは効果は期待できません。まずは、一回の量を少なくして、休憩をはさんで一日で回数を多く行うようにしましょう。
 散歩をするなら、30分を一度に歩くのではなく、10分間歩行するのを3回行う。家事をするなら、一度に家事を全部しようとせず、細かく分けて行うなど、無理なく継続的に活動することで生活の活性化は達成しやすくなります。
 まずは「散歩」から始めてみてはいかがでしょうか?季節も夏から秋へと涼しくなってきましたし、スポーツの秋とも言われる様に運動をするのに適した気候です。「散歩」は外へ出ることによって気分転換もでき、生活の活性化にも効果的です。外出することによって新しい発見などがあるかもしれません。また、ご家族やご友人と一緒に散歩をするのも楽しく運動を続けるコツです。もちろん、涼しくなってきたといっても、水分補給は忘れずにしっかりと行なって下さい。
 生活不活発病は日常の生活動作を賢く続けることで、回復または予防ができる病気です。「動くこと」をあきらめないことが一番大切です。動ける範囲で出来ることを行ないましょう。その行動が自分の調子を整えてくれます。
 それでは皆様、今日も元気に明るく一日を過ごしましょう。
 では、本日はありがとうございました。