以下の記事は、福島県厚生農業協同組合連合会(JA福島厚生連)「健康アドバイス」として、過去に掲載された情報のバックナンバーです。
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農家の皆さんへ

夏の農作業対策
2014年5月放送
高田厚生病院
皮膚排泄ケア認定看護師 佐藤 厚子

農家の皆様、おはようございます。

 はじめまして、高田厚生病院の皮膚排泄ケア認定看護師の佐藤厚子と申します。本日は、よろしくお願いいたします。
 日差しがだんだんと強くなり、夏の気配を感じるこの頃です。今日は、外での作業が多い農家の皆様に日焼けと熱中症の予防など、「夏の農作業対策」についてお話しさせていただきます。
 初めに日焼け対策についてお話しいたします。日焼けは紫外線を浴びることによっておこります。この「日焼け」の原因になる紫外線には、種類があります。紫外線Bは、いわゆる「日焼け」と、一般的にいわれるような症状、皮膚が赤くなり、ひどければ水泡などが発生する「サンバーン」という状態を引き起こします。紫外線Aは、その後に徐々に色が黒くなり色素沈着を起こすことを「サンタン」という状態を引き起こします。紫外線は、日焼けだけでなく皺やたるみ、皮膚がんなどの原因になります。皮膚の健康に、紫外線は良いことは、一つもありません。実は、紫外線対策は、どの季節においても必要です。紫外線Aは、通年を通して変わりなくふりそそいでいます。「サンバーン」、いわゆる「日焼け」の原因である紫外線Bは、春ごろから多くなり真夏にピークをむかえます。そのため、夏は、特に対策が必要になります。その対策については、「紫外線を浴びないこと」です。1つは、日焼け止めを使用することです。日焼け止めには、SPFやPAという表示があります。SPFは、Sun Protection factor(サンプロテクションファクター)の略で、紫外線Bをどれだけカットできるかの指標とされ、紫外線防御指数と呼ばれるものです。SPF30の場合は浴びる紫外線が1/30にカットされます。PAは紫外線Aをカットします。PA+(プラス)なら効果がある、PA++(2プラス)なら、かなり効果がある、PA+++(3プラス)では非常に効果があると判定されています。
 日焼け止めを選ぶ目安は、仕事で外にいることが少し多い場合は、SPF30、PAは++ぐらい、長時間になる場合はSPF50ぐらいになります。日焼け止めは皮膚の負担にもります。そのため、自分の肌にあったものを選択しましょう。また、こまめに塗りなおすことが上手な使用方法です。紫外線Bは、目に対しても影響をあたえます。屋外での作業時にはサングラスなどの使用をおすすめします。他にも、帽子・長袖の作業着、手袋などを使用し日陰での作業をこころがけましょう。
次に熱中症についてお話いたします。
 熱中症とは、高温の環境の中で、体内の水分や塩分(ナトリウムなど)のバランスが崩れ、体内の調整機能のバランスを崩し発症する障害の総称です。主な症状に、めまい・立ちくらみ・大量の発汗・頭痛・吐き気・体温の上昇などがあります。
 夏になると、この熱中症を発症される方がいらっしゃいます。平成24年度は、農作業中に21名の方が熱中症で亡くなっています。これは、建設業・製造業といった他業種と比較しても多いものです。農作業は炎天下やビニールハウスでの作業であること、また、一人での作業が多いことが要因であるといわれています。
 また、熱中症患者の約半数は65歳以上のかたです。年齢を重ねると暑さや水分不足に対する感覚が低下するため重症化しやすくなります。農業に携わっている方は65歳以上の高齢の方が多いため特に注意が必要です。
 農作業時の熱中症予防のポイントは、[暑さを避けることと水分補給]です。
農作業に行く前には、天気予報と体調を確認しましょう。急に暑くなる日は、熱中症になる危険が高くなります。二日酔い・寝不足・風邪気味の時も危険が高くなります。無理せず作業を行うことが予防になります。
 農作業中は、帽子で日差しを遮り、汗を逃しやすい服装で行いましょう。部屋の中でも風通しの良い環境にしておきましょう。また、異常があった時に早く見つけることができるように、作業はできる限り2人以上で行うことを心がけてください。そして、涼しい場所でこまめに休憩をとるようにしてください。
 高齢者は暑さや喉の渇きを感じにくくなっています。水分は喉が渇く前にこまめに飲みましょう。大量に汗をかく場合は塩分も補いましょう。
 熱中症になってしまったら、まずは風通しの良い日陰やクーラーの効いている室内など涼しいところに避難しましょう。次に衣服を脱がせ身体を冷しましょう。意識があり水分を自力で取れるときは水分補給をします。塩分も適切に補えるスポーツドリンクや経口補水液などが最適です。自力で水が飲めない時や意識がない場合は緊急で医療機関に運びましょう。

 本日は夏の農作業対策として日焼けと熱中症についてお話しさせていただきました。今日のお話が皆さんのお役にたてれば幸いです。お時間頂き、ありがとうございました。