以下の記事は、福島県厚生農業協同組合連合会(JA福島厚生連)「健康アドバイス」として、過去に掲載された情報のバックナンバーです。
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農家の皆さんへ

スギ花粉症について
2017年2月放送
坂下厚生総合病院 検査科
藤田 有美

ラジオをお聞きのみなさま、おはようございます。
私は、坂下厚生総合病院検査科 藤田有美と申します。
今回は、「スギ花粉症」についてお話したいと思います。

 はじめに花粉症とは、花粉が原因となり体内で異物として過敏に反応することにより、くしゃみ・鼻水・鼻づまり・眼のかゆみや異物感等の症状がみられる季節性アレルギー性疾患をいいます。現在、日本人の約25%が花粉症であると言われています。原因となる花粉は、スギ・ヒノキ・イネ・ブタクサ・ヨモギなど約60種類あります。その中でもスギ花粉は、東北地方にて2月下旬〜4月下旬に飛散量を増加させ猛威を振るいます。花粉の飛散量が多いほど、症状が悪化する傾向があり、発症者を苦しめます。日本では、1960年代に花粉症が新しい病気として報告されてから、わずか40年間で、スギ花粉症が大幅に増加し、今日に至っています。では、なぜスギ花粉症は短期間に増加してしまったのでしょうか?

理由としては、3つ挙げられます。

1つ目は、1960年代大量に植林されたスギが伐採されずに現存し、開花適齢期を迎えていることや地球温暖化の影響で、春のスギ花粉飛散量が増加しているためです。

2つ目は、車や工場から排出される排気ガスが、スギ花粉を汚染し、人の体内で過敏に反応するためです。

3つ目は、生活リズムの乱れや過度なストレスなどの生活習慣の変化や、食生活の欧米化による高たんぱく・高脂質の食生活の蔓延などの食環境の変化のためアレルギーを起こしやすくしているからです。

 これらの理由から考えると、今日のスギ花粉症の増加は避けられない状況にあると理解して頂けると思います。
 もし、スギ花粉症が疑われる際には、病院へ行き、アレルギー検査を受けてみましょう。
 採血をして、血液検査で調べることができます。アレルギーの原因物質を特定することで、治療の対策が立てやすくなります。
 スギ花粉症をはじめとした、花粉症シーズンは辛い症状のため、仕事・家事・勉強などの集中力が低下したり、精神状態が不安定になったりしてしまい、日常生活に支障をきたしてしまう場合があります。しっかり症状を抑えて、花粉症シーズンを生き生きと過ごすためには、どのように対策すれば良いのでしょうか?

対策法として、みなさんへ5つのことをお勧めします。
1.テレビや新聞、インターネットなどで花粉飛散量の情報収集を行いましょう。晴れて風の強い日や湿度の低い日、雨上がりの後に晴れた日、夜間よりも昼間などに花粉飛散量が多い傾向があります。特に12時〜14時の間は花粉飛散量が多くなりやすいので、外出時の注意が必要です。

2.外出時は、帽子やメガネ、マスク、マフラーなどを身に着けることで、花粉との接触を防ぎましょう。

3.帰宅時には、玄関で花粉をしっかりとはらってから室内へ入るようにしましょう。花粉を室内へ入れない努力が大切です。花粉が飛散している時期に、洗濯物や布団を外に干すことは、控えたほうが良いでしょう。

4.掃除をこまめに行い、清潔を保ちましょう。空気清浄器の利用も効果的です。ただし、花粉飛散量が多い時には、窓やドアを閉めて花粉の侵入を防いで下さい。

5.事前対策として、医療機関から抗アレルギー薬を処方してもらい服用しましょう。花粉が飛散する1〜2週間前から服用を続けることで作用があらわれます。
以上が花粉症対策として、有用とされるものになります。

逆に、悪化させてしまう習慣についてお話します。

1.過度な飲酒は気をつけましょう。飲酒により、血管が拡張するため、鼻づまりや目の充血などの症状を起こりやすくしてしまいます。

2.喫煙を控えましょう。タバコの煙は鼻の粘膜を直接刺激し、鼻づまりを悪化させる原因となります。 
これまでお話した、有用な対策法を上手に活用し、かつ悪化の可能性がある習慣に注意して頂ければ、スギ花粉症他、その他の花粉症の症状緩和につながることと思います。是非、実践してみて下さい。

 今年の東北地方の花粉飛散予測をお伝えします。昨年東北地方では、気温は高めだったものの、曇りや雨の日が多かったため、飛散数は前シーズンより少なくなると思われます。
 終わりになりますが、花粉症は発症すると、個人差があるとは思いますが、時間を掛けて向き合わなければなりません。農家のみなさまは、外出する機会が多いと思いますが、1人1人対策をしっかりと取って頂いて、生き生きとした毎日を送りましょう。
 では、本日も健やかな1日をお過ごしください。