以下の記事は、福島県厚生農業協同組合連合会(JA福島厚生連)「健康アドバイス」として、過去に掲載された情報のバックナンバーです。
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農家の皆さんへ

「免疫機能を高める食生活について」
2020年1月放送
鹿島厚生病院
管理栄養士 西畑 拓真

 ラジオをお聞きの皆さんおはようございます。鹿島厚生病院で管理栄養士をしております西畑と申します。まだまだ寒く感染症も流行している時期なので、「免疫機能を高める食生活」をテーマにお話しさせていただきます。

 免疫機能とは、生命の維持に必要な身体を守る防御反応のことです。普段、私たちは様々な細菌やウイルスが周囲にいる状態で生活しています。しかし、免疫の働きのおかげで元気に過ごすことができているのです。

 この免疫力が低下すると、疲れを感じやすくなったり、皮膚炎や口内炎、口唇ヘルペス、などにもなりやすくなったりします。冬はインフルエンザやノロウイルスなど、怖い病原菌が猛威を振るう時期です。これらの病原菌から身体を守るため、持ち前の免疫力を有効活用することが大切です。

 今日は、「食べる」に着目して、おすすめの食事についてご紹介します。ただし、「これさえ食べれば免疫力は完璧!」というような食材や食事の方法はありません。免疫力を高める食事の基本は、いろいろな食材をバランスよく摂ることです。この基本がとても大切です。そのうえで、免疫力を高める食材を積極的に取り入れましょう。

 たんぱく質は私たちの粘膜、皮膚、免疫細胞も、全て蛋白質からできています。肉や魚、卵、大豆製品、乳製品などの良質の蛋白質は、免疫力の土台を支える栄養素です。これらが不足すると免疫細胞まで減少し、抵抗力が落ちてしまいます。

 ねばねば成分(ムチンなど)は、粘膜を保護し丈夫にすることで、風邪などの感染症にかかりにくくします。このねばねば成分は、皮膚や喉、鼻、目などの粘膜を潤す、すぐれた効果もあります。意外かもしれませんが、腸は自分の免疫システムを持っており、身体を様々な病原菌やウイルスから守っています。

 腸内環境を改善することで、この免疫力を高めることができます。腸内環境が良ければ、免疫機能が活性化され、免疫機能が高まれば、腸内の善玉菌を増加させることができます。 
 腸内環境と免疫系には相関関係が成り立っており、人間の体に備わる免疫系の半分以上の働きが腸にあるとも言われます。

ここで、腸内環境をととのえるために有効な食材をご紹介していきます。

 それがプロバイオティクスです。健康食品などでよく見かける「プロバイオティクス」とは、「人体に良い影響を与える微生物」で善玉菌を指しています。
 ヨーグルトや納豆、キムチ、チーズ、甘酒などの発酵食品に、乳酸菌として豊富に含まれています。
 一方プレバイオティクスというものもあり、こちらは、プロバイオティクスのような善玉菌を増殖させ腸内環境を改善する食品や栄養のことで食物繊維やオリゴ糖です。

 このプロバイオティクスとプレバイオティクスを同時に摂取することをシンバイオティクスと言われ、最も効果的であると言われます。ヨーグルトや納豆などのプロバイオティクスと食物繊維やオリゴ糖などのプレバイオティクスを同じ食事に取り入れることを意識してみてください。

 次にプレバイオティクスでも紹介した食物繊維についてです。
 食物繊維は不溶性と水溶性に分けられます。
 不溶性食物繊維は、穀類、野菜、豆類、キノコ類、果実、海藻、に含まれています。
 保水性が高く発酵性を持つ事が特徴です。
 水溶性食物繊維は昆布、わかめ、こんにゃく、果物、里いも、などに含まれています。
 粘性や吸着性、発酵性を持つ事が特徴です。
 食物繊維を多く含む野菜や果物、海藻類にはビタミンやミネラルも豊富で、これらの栄養素も免疫力を強化してくれます。要するに、免疫力強化のためには「野菜をたっぷり食べる習慣」が大切です。

 これらの栄養素や食品をただ大量に食べても意味がありません。
 大切なのはまんべんなくいろいろなものを食べることです。体に良いものを食べても偏っていては逆効果になります。ごはんや麺などの主食、肉や魚、卵や大豆製品などを取り入れた主菜、野菜や海藻、きのこを使った副菜をそろえて食べましょう。
 日ごろからバランスの良い食事を心がけ、そのうえで効果の高い食材を意識することが免疫力を高めた体づくりの近道になります。

 最後に、何気なく行っている食べることは、生きることそのものです。生活の中で少しの意識を持つことが健康へつながる第一歩です。今日も元気にお過ごしください。