以下の記事は、福島県厚生農業協同組合連合会(JA福島厚生連)「健康アドバイス」として、過去に掲載された情報のバックナンバーです。
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農家の皆さんへ

健康増進活動について
2021年3月放送
農村健診センター
内山 文子

 みなさんおはようございます。JA福島厚生連 農村健診センターの内山と申します。本日は健康増進活動についてお話をさせていただきます。
 健康増進活動は、JA福島共済福祉事業団とJA福島厚生連農村健診センターで共催しており、JA健康寿命100歳プロジェクトとして活動しています。みなさん、健康寿命をご存じですか?健康寿命とは病気や認知症、衰弱などで要介護等になった期間を平均寿命から差し引いた寿命です。すなわち自立して健康に暮らせる期間です。その健康寿命には「運動」「食事」「健診・介護・医療」といった3つの柱があります。一つ目の「運動」は健康寿命を支えます。楽しく無理なく続けられる運動習慣を持つことが大切です。二つ目の「食事」は健康寿命の命です。五色を食べて幸せで心身共に健康になりたいものです。三つ目の「健診・介護・医療」は健康寿命の基本です。年に一度の健診は忘れずに受けましょう。組合員、地域の皆様が一体となって健康寿命づくりをしているこのJA健康寿命100歳プロジェクト、それはゆとりと生きがいをもたらす活動でもあります。この健康増進活動は高齢者の方を中心に誰もが楽しく無理なく参加できます。多くの人と交流し、様々な物、事柄に興味を持ち接することで創造的な毎日を送ることができるのではないでしょうか。また趣味や目的をもって生活している人は何歳になっても生き生きしているものです。
 次に健康増進活動の内容についてお話します。一般的な基本健診に加え、胸部や胃部のエックス線検査や骨密度検査を実施しております。検査費用は一部のオプション検査を除き無料となっております。オプション検査は大腸がん、前立腺がん、肝炎、ピロリ菌検査です。
 健診の結果は令和元年度までは当日に報告していましたが、今年度は新型コロナウイルス感染症流行拡大防止のため健診の時間を短縮しており、健診結果は後日報告しております。また医師による健康講話や事務局からの生活情報コーナー等を通じ、健康や生活に役立つ情報を提供します。
 宿泊の場合は2日目の早朝に専門の講師を招いた健康トレーニングの実践的講義があり、毎日継続的に取り組める運動のヒントを提供します。
 次に骨密度について紹介します。
 骨が弱くなって骨折しやすくなる骨粗鬆症はこれまで更年期から高齢の女性に多い病気だと言われてきました。しかし骨粗鬆症を原因とした大腿骨骨折の25%は男性におこっております。男女における発症の違いに関しては、女性の骨粗鬆症は加齢に関連しておきることが多いのに対し、男性の場合は病気や薬、栄養障害などが原因でおこることが多いのが特徴です。そのため男性の場合、骨粗鬆症のリスクを判定する骨密度測定は70歳以上の高齢者や骨の質が弱くなり骨の減少する病気や薬を服用している人などに対して推奨されています。また筋肉量が減少し筋肉が低下するサルコペニアと骨粗鬆症を同時におこす割合も女性より高く、症状が悪化してしまう場合があります。このため男性受診者の方々にも積極的に骨密度検査を進めてまいりたいと思います。これにより受診者本人の骨の状態を知ることができ、また骨折がきっかけの場合もある寝たきりの予防にも役立つと思われます。          
 さらに今年度は、胃がんリスク層別化検査を準備しております。この検査は血液検査で胃の健康度がチェックできます。別名ABC検診とも呼ばれています。バリウムを飲む苦労や被爆量、検査後の便秘なども不安視される胃部レントゲン検査など胃がん健診と聞くと不安が拭えない方が多いかもしれません。この検査は採血のみで検査可能なので体の負担と心的ストレスが少なく、年代に関係なく受診できます。また、レントゲン検査や内視鏡検査をどのくらいの間隔、頻度で受診すべきかの目安にもなります。このABC検診は胃がんの直接的な発見にはつながりませんが、胃の健康状態を確認して将来的な病気のリスクを診断することができる検査です。この検査は2つの血液検査を組み合わせて胃の病気になりやすいかどうか調べる方法です。1つはペプシノゲン法で胃の粘膜の健康状態(萎縮)を調べる検査です。2つめはヘリコバクターピロリ抗体法で胃がピロリ菌に感染していないか調べる検査です。この2つの検査の組み合わせでABCの3タイプに分類し、胃の健康度を評価する方法です。
 Aのタイプでは、ピロリ菌の感染がなく、胃粘膜の萎縮も見られません。おおむね健康な胃粘膜です。
 Bのタイプはピロリ菌の感染がありますが、胃粘膜の萎縮は進んでいません。
少し弱った胃粘膜です。
 Cのタイプはピロリ菌の感染があり、胃粘膜の萎縮が進んでいます。萎縮の進んだ弱った胃粘膜になります。
 ABC健診を受けた方はご自分の胃のタイプを把握し、リスクに応じた検査を受け、胃がんの早期発見、早期治療につなげてほしいと思います。
 お話は以上です。今年度も健康増進活動を実施します。開催日程、詳細については最寄のJAにお問い合わせください。
 今朝は、JA福島厚生連農村健診センターからのお話でした。