以下の記事は、福島県厚生農業協同組合連合会(JA福島厚生連)「健康アドバイス」として、過去に掲載された情報のバックナンバーです。
JA福島厚生連からの最新の情報は、TOPページからご覧ください。



Dr.メッセージ

胎盤(母親からの有害物質をシャットアウト機能を持つ)
2002年5月

 胎盤は胎児にとっても、母親にとっても大切な臓器です。胎盤は胎児にとって大人の肺、肝臓、腎臓、さらには内分泌や免疫機能を一手に担うすぐれた臓器です。

[1、胎盤の役割]
1. 胎児に酸素や栄養素を供給し、老廃物を捨てる。
2. 胎児の発育に必要なさまざまなホルモン、タンパク質、酵素を生成し、妊娠を維持する。
3.

母親の血液中に含まれる有害な物質から胎児をまもる。


[2、胎盤での有害物質のシャットアウト機能]

 胎盤でもシャットアウトできない化学物質が多くあります。たとえば、サリドマイドのような精神安定剤、流産防止剤(DES)などのホルモン剤、ある種の抗生物質、モルヒネ、水俣病の有機水銀、たばこのニコチンなどの化学物質は胎盤を通過し胎児に影響をおよぼします。

環境ホルモン(エストロゲン様作用)はこの仕組みをかいくぐってしますものが多く胎児にいろいろな指令を出してしまいます。その結果、精子の減少、生殖器の形成以上、精巣ガンの増加、オスのメス化など深刻な影響をおよぼすと考えられます。


[3、サリドマイド事件]

 サリドマイドは副作用の少ない、すぐれた鎮静睡眠剤として、1960年から62年に広く使われました。ことに精神が不安定になりがちで眠れないことの多い、妊娠初期の妊婦が服用するケースが多かったのが悲劇のはじまりでした。

 1960年に上肢に奇形をもったアザラシベビーが急増し、1961年ドイツとオーストラリアの学者がこの原因がサリドマイド服用と報告し62年8月に使用禁止となり回収されました。

 この教訓

1. 母親のサリドマイドを服用した時期です。被害者は推定受胎後21日から36日にサリドマイドを服用した子に限られていました。
この時期の薬をはじめとする化学物質の摂取は気をつける必要があります。
2. 専門的になりますが動物の種類による影響の現れ方の違いです。サリドマイドをマウスやラットに投与しても奇形はおこらず、ウサギとある種のさるにだけ奇形が発生することがわかりました。
極端にいえばヒト以外の全ての種類の動物試験をおこない、大丈夫と判断されてもヒトへの影響がないといい切れないのです。許認可は慎重にする必要があります。
3.

アメリカではサリドマイドの被害者がでなかった点です。それは当時の許認可権限をもっていた女性の係官が「妊婦がサリドマイドを服用した場合の安全性を示すデータがない」との理由でメーカーの申請を受理しなかったからです。この女性係官はその後、アメリカ政府から表彰されています。


※胎盤を通過し胎児におよぼす影響を考えると自衛手段としては「妊娠初期には出来るだけ薬を飲まない、タバコを控える」