以下の記事は、福島県厚生農業協同組合連合会(JA福島厚生連)「健康アドバイス」として、過去に掲載された情報のバックナンバーです。
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Dr.メッセージ

肩関節の脱臼
2002年6月

 気候もよくなりスポーツを行う機会も多くなると思われます。ラグビーや野球、柔道などコンタクトスポーツをする人は、脱臼の可能性が高いものです。
 肩の関節は、人体の関節のなかで最もどの方向にも動く可動性の大きい関節です。しかしその大きな可動性と引き換えに安定性を欠いているため脱臼しやすい関節です。これは関節面が小さく関節を接合する筋肉の働きで安定性を保っているためです。今回は肩関節脱臼についてお話します。

[1、脱臼の原因]

 肩の脱臼が最も多いのは、腕から先に地面に落下し手をついたようなときです。また腕を急に引っ張られたときなどにも脱臼が起こることがあります。
——原因別に分けると先天性、病的、外傷性の3つです。先天性は先天性股関節脱臼などで病的は麻痺性、炎症性などがあります。今回は外傷性を主にお話します。——
 肩関節の脱臼には前方脱臼(上腕骨上端が関節の前にでます。)と後方脱臼(上腕骨上端が関節の後ろ、または下にいくこともあります。)が主なタイプです。

[2、診断]

 肩が前方脱臼すると、肩の先端のすぐ下にくぼみができます。肩をどの方向にも動かしづらくなり、動かそうとすると痛みを感じます。脱臼の90%以上がこのタイプです。
 診断が難しいのは後方脱臼です。しかし後方から診断すれば両肩が非対称になっていることから診断が可能です。
 患者の姿勢からも診断できます。受傷した直後は肩の異常が脱臼と気づかないかもしれません。しかし、けがをした腕をもう一方の腕で支えているなら、それは典型的なサインです。この自然な動作で肩に腕の重みが掛かるのを防いでいるのです。

[3、合併症]

 肩のすぐ下には神経が通っており、肩関節の周囲の筋肉をカバーすると同時に、肩の側方の狭い範囲の皮膚感覚をつかさどっています。脱臼の時は神経に損傷がないか調べるために、この感覚を調べます。
 必ず肩のX線撮影を2方向から撮り骨折が併発していないか確かめます。

[4、整復の方法]

 整復の方法はいろいろありますが、一般的なものは前方挙上法がおこなわれています。また、ワゴンの上か、高いベッドの上にうつぶせになってもらい脱臼した腕を端から垂らして軽い重し(8−10kg)で引張っておく方法もあります。こうすると自然に整復される場合もあるのです。時には鎮痛剤を注射し、肩の力を抜くと腕の重みで自然に整復に成功することもあります。

[5、整復後のケア]

 整復後は腕と肩を三角巾で固定させます。3−4週後に理学療法を始めます。
また、脱臼時に関節包(関節の周囲の膜)が裂けることがあります。このため若い人ほど脱臼が習慣性となる可能性が高くなります。場合によっては手術が必要となることもあります。

※脱臼は合併症や手術が必要な場合など専門的な治療が必要です。軽く見ないで受傷した場合は専門医に受診しましょう。