以下の記事は、福島県厚生農業協同組合連合会(JA福島厚生連)「健康アドバイス」として、過去に掲載された情報のバックナンバーです。
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Dr.メッセージ

C型肝炎とは(その1)
2003年8月
農協会館診療所
所長 伊勢 重男

 昨年4月から、多くの市町村で、40歳から70歳までの5歳刻みの年齢を対象にした、いわゆる「節目健康診査」にHCV検査という項目が加わった事をご存じですか。HCVとはC型肝炎ヴィールスのことを言うのですが、まず肝炎はどのようなものが原因になるかをお話しします。

[肝炎の分類と原因]

 肝炎は普通大きく分けて、A型肝炎、B型肝炎、そしてC型肝炎に分類されます。それぞれA型、B型(HBV)C型(HCV)と呼ばれる肝炎ヴィールスによって肝臓の炎症が引き起こされるわけです。(この他アルコールの摂り過ぎによって起こるアルコール性肝炎が有名です。)
 A型肝炎は、予後がよい。即ち治りがよいので、今はあまり問題にはなりません。今社会的に問題となっているのはB型、C型肝炎なのです。
 B型肝炎は、約20年前にその原因であるHBVが発見されて早くから対策が施されてきました。しかしA型でもないB型でもない別種の肝炎があるらしいと判明していたのですが、その原因が不明だったので、悩んだ医学者はこれを苦し紛れに『非A非B肝炎』と命名し研究が行われてきました。その後10年ほど前にやっとこの原因ヴィールスが発見され、C型肝炎と名付けられました。

[肝炎の実態]

 日本において、原因を特定出来ない急性の肝炎は、一年間におおよそ35万人が罹ると云われていました。後に述べるウイルスマーカーで診断が出来るようになると、C型肝炎は約7万人が罹っていることが分かってきました。
 またC型肝炎ヴィールス(HCV)が発見されていない時代の輸血後に起こる急性肝炎は、年間約20万人と云われていました。B型肝炎の原因は、HBVが含まれている血液を輸血することによって起こることが早くから分かっていましたから、HBVを含む血液は輸血しないという対策を取ればよいわけです。しかし、HCVが発見されたのはそのずっと後なので、それまではHCVが含まれている血液が輸血され続けていました。今となってみれば、輸血後の急性非A非B型肝炎は大部分がC型肝炎であったわけです。

[潜伏忍者のHCV]

 B型肝炎、C型肝炎は血液を介して感染することが明らかになりました。つまりB型肝炎ヴィールス(HBV)、C型肝炎ヴィールス(HCV)を持っている人の血液が輸血などに使われると、輸血された人はそれぞれに感染してしまうことになります。しかし感染したからといって、必ず発症するとは限りません。
 また昔輸血された後に罹るいわゆる「輸血後肝炎」に罹った人が当時治癒したと云われていたとしても、長期間じっと鳴りを潜めて潜伏している可能性のあることが分かってきました。このように無症状に経過している人々を[HCVキャリアー]と云います。最初から肝炎を発症していなくて無症状のままキャリアーとなっている人も少なくないと考えられています。まだHCVの存在が分かっていなかった昭和30年代から40年代は、治療のために輸血や血液製剤が盛んに使われた時代でした。

[HCV抗体検査とは]

 さて、HCVが体内に侵入しますと、身体はこれに対抗するためHCV抗体というものを作ります。このHCV抗体を指標(マーカー)としてキャリアーかどうかを検査することが出来るようになりました。こうして検査が行われるようになると、驚くべきことに、平成14年度現在でHCVキャリアーは全国で120 万人いるらしいと推定されるようになったのです。この最多年齢層は中高年層に多く、60~70歳代では25万人に上っていると考えられています。

[肝癌予防のために]

 HCVに感染した人たちのうち60~70%は、ほとんど無症状のキャリアーのまま長期間経過します。そして感染が発見されず、適切な治療が行われなければ、20年から30年の歳月を経て慢性肝炎から肝硬変に移行します。このままで終わればいいのですが、このうち20~25%が肝臓癌に陥ると考えられています。現在肝癌が確実に増え続けていますが、以上のことが大きく関与していることは間違いないでしょう。
 昨年4月から老人保健法に基づき各市町村が実施するHCV検査は、潜在するHCVキャリアーを拾い上げ、慢性肝炎・肝硬変ひいては肝癌の予防に大いに貢献することでしょう。

[節目健診としてのHCV検査について]

 農協会館診療所は、平成15年4月から福島市の住民基本健診事業の施設に指定され、住民の皆さんの申し込みを受けています。住民基本健診のうち節目健診のHCV検査も行っております。
(なおこの検査を住民健診と一緒に受けることが出来る方は、節目健診ですので40歳から5歳刻みの年齢(40、45、50、55、60、65、70歳)に該当する方に限られます。ご注意下さい。)
 当診療所での基本健診は、毎週月・火に行っております。ご希望の方は電話(024-554-3488)にて申し込み下さい。
 基本健診を希望する方で、節目健診に該当しない年齢の方でも、ある一定の条件を満たしている方であれば、公費で受けることができますが、詳しくは次回で述べることに致します。