| [花粉症は国民病]
そろそろ「アレ」の季節がやってまいりました。そうです、アレとは毎年悩んでいる人ならすぐピンとくることでしょうが、いわゆる花粉症のことです。
花粉症のうちでも、スギ花粉症は年々増え続け、日本の総罹患人口は2000万人ともいわれ、まさに国民病とも呼ばれています。典型的な症状は、3月初旬からクシャミ、鼻水、眼の痒みと流涙などを主徴とし、約3ヶ月間持続します。この症状は直接生命に危険を及ぼすことはありませんが、日常生活や仕事に大いに支障をきたし、結局その社会的損失ははかり知れません。
[花粉症とは]
私達が子供の頃は、花粉症はあまりポピュラーではなかったように記憶していますが、実は180年前英国の医学論文に「枯草病」として発表されています。英国の地方病と知られながら原因不明の病気とされていたものが、原因は細菌ではなく、枯草そのものだったと判明したことで、当時としては画期的な発見でした。この発見はアレルギー学の第一歩として高く評価されています。
アレルギーとは、体の外から侵入してきた異物(抗原)とこれを排除するために作られた抗体との間に行われた戦争(抗原抗体反応)のことをいいます。スギ花粉症の場合は、抗原がスギ花粉で、これに対する抗体が過剰に反応して困った症状を引き起こす訳です。
花粉症の原因となるのは、スギ以外にもいろいろあります。普通は風媒花で、季節がはっきりしていますから、アレルゲン花粉飛散カレンダーが作られています。その傾向を見てみましょう。
春は樹木類が原因となることが多く、スギ、ヒノキ、ハンノキなどが挙げられます。とくにスギは2月頃から飛散し始め、4月初旬がピークにあたり、7月に終わります。
初夏から秋にかけては、イネ科の植物が原因となります。カモガヤ、ハルガヤなどのカヤ類やオオアワガエリ、ギョウキシバなどが代表的です。
これらは6月と10月にというように二つのピークがあり、特徴的です。したがって、人によっては寒くない時以外はいつも鼻汁、眼の痒みに悩まされるという感じになる人もいます。
夏から秋にかけては、ブタクサ、ヨモギなどのキク科の植物が原因になり、ピークは9月頃です。
以上の特性を知っていれば、自分のアレルゲン(抗原)が何か大体の見当をつけることも可能です。
また、何が原因か診断を確定するには、侵入してきた花粉抗原に対する血液中の抗体を探せばよいわけです。ただし珍しい花粉によっておこる場合もあり、これに対する診断は容易ではありません。
アレルゲン飛散カレンダー

[花粉症の予防と対策]
スギ花粉症の場合には、新聞・TVなどで毎日花粉情報が流されますから、飛散の多い日はできるだけ外出を控えるようにします。
外出するときはマスクと眼鏡をかける。重症の人は、眼鏡を粉塵作業用か手術用の準密閉式眼鏡をかけるのが理想的でしょう。
帰宅時は、抗原を除くため、うがい・洗顔・鼻かみを励行します。またシーズン中は、刺激を避けるためコンタクトレンズは使用しない方が望ましいです。
[治療法の進歩]
薬物療法としては、抗ヒスタミン剤の服用が古くから行われてきました。しかし最近は優秀な抗アレルギー剤が登場し、以前よりはるかに進歩した治療が行われるようになりました。
どちらを用いるにせよ、花粉が飛来する前から服用を開始することが肝心です。スギ花粉症の場合は、2月頃から抗アレルギー剤を飲み始めるのが理想です。
使用する薬によっては眠気の強い副作用もあるので、自動車運転・危険な作業に従事する場合は充分な注意が必要です。
体質を根本的に変える減感作療法という治療法が昔から行われてきましたが、治療に長期間を要するため、最近はあまりやらなくなりました。しかしこれはまた見直されるようになり、研究が進められています。患者さんにやさしい治療となりそうで、今後の研究成果に期待が集まっているところです。
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