以下の記事は、福島県厚生農業協同組合連合会(JA福島厚生連)「健康アドバイス」として、過去に掲載された情報のバックナンバーです。
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Dr.メッセージ

=他人ごとではない鳥インフルエンザ=
2004年4月
福島県農協会館診療所
所長 伊勢 重男

[SARSの恐怖が去ったと思ったら]

 この2、3ヶ月前から鳥インフルエンザの記事が新聞に載らない日はないようです。しかし、鳥インフルエンザ感染を身近な問題として感じたことはないのが普通の感覚なのではないでしょうか。
 確かにこのインフルエンザは、人間のかかるインフルエンザと違って対岸の火事視してもよいように感じるでしょうが、実はSARS(新型肺炎)と同じように扱わなくてはならない大きな問題なのです。いますぐ問題とはならないことかも知れませんが、将来鳥インフルエンザは人間にうつる可能性が懸念されますので、今から十分な予備知識を持っておくべきです。

[渡り鳥が犯人か]

  専門家にいわせますと、SARSが海外からの旅行者を通じて、日本に侵入してこなかったことは本当に奇跡に近いものだったそうです。日本の検疫体制がまずまず厳重だったことも関係していたからかも知れません。
  しかし鳥インフルエンザは渡り鳥を媒体として飛来した可能性が強く疑われています。そうすると、日本中どこで発生してもおかしくないことになります。
  事実、山口県で最初にニワトリのインフルエンザ感染が報道されて以来、厳重な防疫体制がとられたはずでしたが、またたく間に名古屋、京都に波及したことは記憶に新しいところです。しかも3月8日のマスコミ報道では、ニワトリのみならずカラスの死亡例までが報告されています。

[鳥インフルエンザの歴史]

 鳥インフルエンザは、正式名を『高病原性鳥インフルエンザ』といい、法律的には第四種感染症として届出しなくてはならなくなりました。
 このインフルエンザは、日本ではまだ人間に感染した例がないので、養鶏業者以外は大きなパニックとはなっていませんが、実は海外で以前から人間の死亡例が出ていたのです。
 1997年香港でニワトリから人間に感染して6名が死亡していたことはあまり知られていません。昨年は2名死亡でした。さらに昨年2003年にヨーロッパのオランダで獣医が一名死亡し、ヒトからヒトへ感染した例があります。

[人にうつった場合の鳥インフルエンザ]

 潜伏期間は1~3日と考えられており、症状は人間の通常インフルエンザと変わりありません。突然の高熱、咳、全身の節々の痛み、呼吸困難、肺炎など、強い全身症状を引き起こします。
 ここで注意しなくてはならないのは、ニワトリ・あひる・七面鳥・うずら等の家禽類を飼っている人で、突然のインフルエンザ様症状が現れた時です。このような家禽類を比較的多く飼育している農家の方は特に要注意です。
 鳥インフルエンザはA型インフルエンザビールスによるものであることは分かっていますから、前述のような症状が現れたときはすぐに病医院を受診してください。まずA型インフルエンザかどうか判定してもらう必要があるでしょう。
 ワクチンはまだなく、有効な予防策はありません。しかし感染した場合は(まだ確定した訳ではありませんが)、おそらくA型インフルエンザに効く薬が有効だろうと考えられています。
 以上のような情報を知っていれば、いくら強い病原性を持つビールスとはいえ、決して恐ろしいものではありません。