以下の記事は、福島県厚生農業協同組合連合会(JA福島厚生連)「健康アドバイス」として、過去に掲載された情報のバックナンバーです。
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Dr.メッセージ

=続 健康食品との上手なつき合い方=[健康食品ブームの実態(その2)]
2004年8月
福島県農協会館診療所
所長 伊勢 重男

 前回は、健康食品の医薬品まがいの宣伝文に惑わされるなと書きました。健康食品でも副作用さえなければ、効かなかったで済まされるでしょうが、最近はそうでない場合も増加し話題になっています。
「痛みのひどい変形性膝関節症に効く」とか「末期の癌が嘘のように消えた」などという効能をうたい文句にしている高価な商品が目に付くようになったと思いませんか。(このような商品はもはや食品とは言えないかも知れません。)
 しかし、実際に商品を手にとってみればわかりますが、商品ラベルには「膝の痛みに効く」とか「癌が小さくなる」などとは一句も表示されていないのが普通です。これを表示すると薬事法違反になってしまう恐れがあるからです。
 ですが、購入者は本や広告に効くと書いてあったからと信じて食べたり、飲んだりしている人が大部分でしょう。


[効くと思わせる巧妙な仕掛け]

 ここに巧妙な宣伝方法が仕掛けられていることはあまりよく知られていません。本で効能を発表することは、表現の自由を尊重して、何をかいても薬事法には触れないところがミソなのです。つまり、メーカーはこのことを利用して、ある特定の成分がいかに効果があるかを述べた文(学術論文でない)を単行本にまとめ、出版社に発行依頼します。同時にマスメディアでその本を大々的に宣伝します。
 このような本の著者は医師ではなく、「医療ジャーナリスト」と称する人たちが大部分で、これを権威づけるため「医学博士○×監修」、「元△△ガンセンター医師」などと表示してあるのが普通です。

[いわしの頭も信心から]

 さて、これからが肝心なところですが、この類の本の巻末には「このように驚くべき効果のある製品をもっと詳しく知りたい方は○×○×へ電話ください」とか「この製品は△※販売会社から入手できます。連絡先は………へ」というような注意書きが挿入されています。
 これを頼りに実物を購入しても、本に書いてあるような機能はまったく表示されていません。それでも購入者は本の内容を信じて(例えばガンが自然に治ることを期待して)飲み続けるというパターンになっています。

[同じ成分でもこんなに違うとは]

  いま、ガンに対する代替療法の一つとして,「ア○リ○ス」という成分が流行となっているようですが、上記の本によれば様々な種類があるようです。
ざっと書店で調べただけでも「水溶性」「即効性」「発酵」「液体」「発酵処理」「濃縮」「高濃度」のア○リ○スと名づけられ、それぞれがア○リ○スのうちでも最も効果があると謳っています。名前だけみれば、一見一般名のように見えますが、各名称は特定のメーカーが独自にネーミングしたもので、それぞれのメーカーに直結している訳です。どれが本当に有効なものか、学術的根拠がはっきりしていないだけに、迷うばかりです。

[業界のあり方を報道したのはNHKだけ]
 このような事態は決して望ましいことではないので、厚労省はすでに平成15年8月健康増進法改正時に広告規制をかけています。
にもかかわらず、このような傾向は改善されないので、平成16年7月同省は本に薬品でない商品を販売元に誘導するような記載はしないようにと通達を出しました。
  しかし、驚いたことにこれをニュースとして報道したのは商品のコマーシャルを載せないNHKテレビ一社だけだったのです。
マスメディアがこのような広告を取り扱ってきた関係上、厚労省通達を報道することは具合の悪いことだったのでしょう。


[代替医療の現状]
 前回で医学的に世界の最先端をゆく米国でさえ、代替医療をまた盛んな事情をお伝えしました。
代替医療が社会現象となって多額なお金が動かされている現状をみて、国としても無視できなくなりました。
 そこでまた多大な公的研究費が投入され、その効果を検討しています。(これを壮大な無駄と批判する研究者もいますが) その研究の実状は「がんの代替医療」坪野吉隆訳著[㈱法研]に詳しく報告されています。代替医療を試みたいと考えておられる方は、ぜひ一度目を通されることをおすすめします。

[おわりに]
 私はなにも健康食品が全て効果がないと思っている訳ではありません。ただ日本の健康食品ブームの中で、宣伝やムードに浮かれることなく、本当に効くものを上手に利用して、よい健康を長く保ってほしいと願っているだけなのです。
(この項終わり)