以下の記事は、福島県厚生農業協同組合連合会(JA福島厚生連)「健康アドバイス」として、過去に掲載された情報のバックナンバーです。
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Dr.メッセージ

一般人に理解されにくい医学用語を易しくすると(1)
2009年12月
福島県農協会館診療所
所長 伊勢 重男

福島県農協会館診療所 所長 伊勢 重男
 医療の分野では、医療側が病状や治療法を詳しく説明し、患者さんはそれらを十分理解、納得した上で自分の治療法を選択するという時代になりました。それだけ患者さんの自己責任も重くなるわけですが、そのために医学的な言葉を正しく理解することが絶対に必要です。
 患者さんの中には「とっても詳しい説明を受けたけれど、結局半分位しか理解できなかった。帰り際に出口で看護師さんに私の病名を説明してもらった」などという例があるほどです。しかし、医学用語をわかり易く言い換えすると、長ったらしくなって非常に時間がかかってお互いに困ってしまいます。
 例えば、「あなたのお母さんはゴエンセイハイエンになってしまい、ジュウトクな状態です」と説明された時、どの位の人がすぐに理解できるでしょうか。それを易しく説明するには「食べ物と空気を分けて取り入れるノド(喉)の弁がうまく働かなくて、正常なら食道に入るべき食べ物が誤って気管に入ったために肺炎になってしまったのです。大変危険な状態にあります。」と言わなくてはなりません。しかもこの他に今後の見通し(ヨゴ)、病状説明、治療方針など沢山なことを短時間で伝えておかなくてはなりません。診療側とすれば、緊急事態になればなるほど手短かに伝えて診療に十分に時間を掛けたいという気持ちになります。
 そんな事情で、つい短い医学用語を使ってしまう場合もしばしばあります。それで患者さんや家族が状況を理解できなかったことにつながるのでしょう。そのような時に大切なことは、わからない言葉はわからないとはっきり言って、言葉の説明を求めて下さい。私たち医療者はできるだけ理解していただくよう努力してますから、遠慮せずどしどし聞き直して下さい。
 さてもう一つ考えなくてはならないことは、医学用語が一般に使われている意味と違う場合があることです。その典型的な例が「ショック」という用語でしょう。一般的には「ショック」とは、精神的に大きな衝撃を受けることと受け取られているようですが、医学的には全く違います。
 ですから、救急車で搬送された患者の家族に「患者さんはショック症状がまだ回復せず、ジュウトクな状態から脱していません」ととりあえず説明しても家族はピンとこない場合も少なくありません。
 次回は医療側が日常用語として使っている言葉でありながら、患者さんが理解しにくい、あるいは誤解されやすい医学用語を具体的に説明しましょう。