以下の記事は、福島県厚生農業協同組合連合会(JA福島厚生連)「健康アドバイス」として、過去に掲載された情報のバックナンバーです。
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Dr.メッセージ

心房細動を軽く見ないで。
2010年2月
福島県農協会館診療所
所長 伊勢 重男

福島県農協会館診療所 所長 伊勢 重男
  先日、元阪神タイガースの投手小林繁氏が急性心不全で亡くなりました。
私も「江川卓投手移籍騒動」の際、彼が潔い身の処し方をみせてくれてから彼のファンとなっただけに残念な思いです。このような心臓病が、日本人の死亡の第ニ位を占めていることはすでに周知のことでしょう。
 ところで、心臓がドキドキしたり、胸が何となく苦しいと訴える人は案外多いのですが、このような方の脈を診ますと、不規則なリズムとなっている例が少なくありません。そこで心電図をとってみますと、「心房細動」の所見を認めることもあります。
 さて、心臓の解剖を復習してみましょう。心臓は右と左にそれぞれ心房と心室があり、合計四つの部屋に分かれた筋肉の塊です。(図1)全体として一つのふいごのように膨らんだり、縮んだりするポンプ運動で全身に血液を運んでいます。心臓の動きは、まず、左心房の特定の部位(洞結節)から規則正しい信号が送られることから始まります。そのリズムが心臓全体に伝わり、一連の収縮と拡張を繰り返している訳です。
[図1]
 何らかの原因で心房のリズムが狂ってしまうと、心房が細かな痙攣(けいれん)をおこしてしまい、その結果心臓全体の動きが乱れてしまいます。この状態を「心房細動」と呼びます。
 心房細動は、心臓弁膜症、狭心症などの虚血性疾患、心筋梗塞、高血圧症などの患者に起こりやすく、また加齢に伴う動脈硬化によってもみられますが、これ単独は命への危険性は低いようです。しかしこれを軽視してはいけません。なぜなら脳の血管が詰まる脳梗塞の原因の30~40%をこの心房細動が占めているからです。
 心房細動を起こすと、心房から正常に血液が送られませんから、血液の流れ淀んで血の塊が出来ます。この血塊が剥がれて脳に送られますと、脳の血管が詰まり、脳栓塞症という形の脳梗塞を起こす状態になってしまいます。こうなりますと、半身麻痺やひいては寝たきりの原因になることはご承知のことと思います。
 症状として、(1)胸がドキドキして何となく苦しい(2)脈拍が不規則になる(不整脈)(3)体を動かさないのに脈が1分間100以上になる(頻脈性不整脈)こんな症状を自覚した時は必ずかかりつけ医に相談することをお勧めします。