以下の記事は、福島県厚生農業協同組合連合会(JA福島厚生連)「健康アドバイス」として、過去に掲載された情報のバックナンバーです。
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Dr.メッセージ

HbA1c(ヘモグロビン・エーワン・シー)とは
2010年4月
福島県農協会館診療所
所長 伊勢 重男

福島県農協会館診療所 所長 伊勢 重男
 糖尿病はいまや普通の国民病になったこともあって、患者さんは激増しています。国もその対策にあの手この手でやっきになって早期発見に努めていることは御承知のことでしょう。特定検診(いわゆるメタボ検診)が新しく発足したのもその一つです。この検診では糖尿病の早期発見のために血糖検査や後で詳しく説明するHbA1c(ヘモグロビン・エーワン・シー)も採用されており、その検診基準値(5.1mg/dl以下)は現在の一般検査基準値(5.85.8以下)よりずっと厳しくなっています。
 しかし、日本糖尿病学会が定めていた従来の「糖尿病診断基準」では、血糖値だけで糖尿病か否かを判定することとし、HbA1cは除外されていました。本年5月にこの糖尿病の診断基準もやっと11年ぶりに改訂されることになりました。その最も重要な改定は,除外されていたHbA1Cという項目が従来の糖尿病診断基準に加えられたことです。これでより的確な診断ができ、早めに治療方針が立てられるようになりました。
 ところで、HbA1cとはどのようなものなのでしょうか。赤血球中にはヘモグロビンという酸素を取り込むための成分があります。これにブドウ糖が付加された成分をHbA1cといい、過去1~2か月前の平均的な血糖状態を反映しているものとみなされています。これを診断に導入すると、つい最近の血糖状態をより正確に把握できるので、従来の診断基準では2回検査しなければ決定できなかった場合でも1回で済むようになります。
 血糖値は検査前の食事時間の間隔や中程度以上の運動などの影響でその数値が変わる場合もあり、血糖値だけでは一度で正確な診断が下せなかったのですが、これで糖尿病の早期発見早期治療につなげられると期待されます。
  HbA1cは、糖尿病の診断だけでなく、治療においても重要な目安となっています。この基準値(正常値)は5.8mg/dl以下ですが、糖尿病の患者さんで6.5以上となった方は、6.5以下になるように治療を進めます。 
 この欄で何度も強調してきたように、糖尿病が恐ろしいのは、早期には全く無症状なところにあります。症状がないからと言ってくれぐれも放置しないで下さい。症状が出てからでは遅すぎますから。