| 最近問題となっている「ロコモティブ シンドローム」とは | |
| 2010年5月 福島県農協会館診療所 所長 伊勢 重男 |
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しかし、考えてみますと、高血圧やコレステロールがいくら高くてもそれ自体が無症状ならば、日常生活の活動に差し支えないでしょう。とはいっても、年をとるにつれて膝が痛くて歩けない、200~300m歩くと腰が痛くなるなどの症状があると、つい動くのがおっくうになりがちです。こんなことをきっかけにして終には寝たきりになったり、介護を必要とする人々が増加しています。 このように骨、関節、筋肉が衰え、運動機能が低下したために介護が必要となったり、寝たきりになったりする危険性が高い状態を「運動器症候群(ロコモティブ シンドローム)」といいます。略して「ロコモ」と呼ばれるようです。 体の内臓器系の異常に対してだけでなく、運動機能の不具合も問題にしなければ高齢化社会の問題解決に対処できないことが分ってきたのです。 さて、皆さんのうちで次のような症状が思い当たるようなことはありませんか。 (1)片脚立ちで靴下が履けない。 (2)家の中でよく滑ったり、つまずいたりしがちだ。 (3)階段は手すりに掴まりながらでないとで上がれない。 (4)横断歩道を青信号のあるうちに渡りきれない。 (5)15分くらい続けて歩けない。 (6)2kgくらいの買い物袋(1L牛乳パック2本程度)を持って帰るのが難かしい。 (7)家の中のやや重い仕事(電気掃除機での掃除、布団の上げ下げ)が困難だ。 このうち一つでも当てはまる症状のある方は「ロコモ」の危険性ありと判定されます。 ある調査機関の調査結果による推定では、40歳以上で自覚症状を気にしない人を含めると、全国では約4700万人がロコモの状態にあるか、またはその予備軍とみられるそうです。高齢者でロコモに該当する方は加齢によって膝や腰に問題のある方が大部分ですから、いまさら加齢性変化を若い人と同じ状態に戻せと言っても現在の医学を以てしても無理な話です。加齢ですり減った関節の軟骨や弱った関節周囲を支えるのは筋肉ですから、これを丈夫にして支える力を強くした方がずっと効果があります。 アメリカ大リーグ・エンジェルスの松井秀樹選手も膝の故障に悩まされていましたが、膝の周囲の筋肉を鍛える筋トレに励んだ結果、見事に復活して大活躍中なことはご存じでしょう。 そこで、ロコモの予防策ですが、最も手っとり早くしかも簡単な方法は「筋肉を丈夫にしておく運動」です。中高齢者に負担のない方法は「目を閉じないでの片脚立ち」を左右1分間ずつ、一日3回続けることです。足は床面から軽く上げるだけで結構です。これだけでも長く続ければ十分効果があります。 ただし、片足立ちでふらつくようでしたら転ばないように必ず掴まるところがある場所でやってください。床に足を上げて片足で立った際、膝や腰に痛みを感じる場合は医師に相談してからやりましょう。 |
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