以下の記事は、福島県厚生農業協同組合連合会(JA福島厚生連)「健康アドバイス」として、過去に掲載された情報のバックナンバーです。
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Dr.メッセージ

冬に流行るウィルス性腸炎の親玉はやはりノロウィルス
2014年1月
福島県農協会館診療所
所長 伊勢 重男

福島県農協会館診療所 所長 伊勢 重男
 新年あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願い致します。
先月はちょっと聞きなれないRSウィルス感染症について解説しましたが、一番注意しなければならないのは、やはり冬に多くそして手ごわい「ノロウィルス」でしょう。
 主な症状は「下痢」「腹痛」「嘔吐」「発熱」などです。症状の始まりは突然のことが多く、熱が強く出た場合はインフルエンザと間違われてしまうこともあります。症状の程度は、下痢や嘔吐がひどく体力がひどく低下するものから、軽い風邪程度で終わるものなどさまざまです。しかし2,3日で治まるのが多いようです。
 ただし、体力の落ちているお年寄りや乳幼児では、抵抗力が弱いため、時には重篤な余病(合併症)に陥る場合があるので要注意です。
 感染経路(感染の罹り方)は、患者の吐いたものや便に触れたものが他人の口に入ることでうつるのが大部分です(これを経口感染といいます)。あるいは患者のウィルスを含んだ吐いたものや便が飛散し、その飛沫に触れた手指から口を介して感染します。
 以上のことから、感染予防は①まずよく手を洗うことです。特に外出先から帰った時は、かならず手を洗いましょう。石鹸と水道の流水でしっかりと洗いましょう。できれば続いてアルコール入りの消毒薬を摺りこむのが理想的です。
 このやり方は同時にインフルエンザの予防策ともなりますので、ぜひ習慣的に実行して下さい。②もし家族の中で前に述べた症状が強く、感染を疑われた場合には、嘔吐物や便を処理する際に必ず使い捨ての手袋を付けて、雑巾やティッシュペーパーも含めてすべてポリ袋に入れ、焼却するようにしましょう。患者さんが吐いて病院に行く場合でも、事前にこのことを実行することが家族内感染を防ぐ最良の策です。③飛び散った周囲は塩素系消毒薬で消毒しておきましょう。
 (参考)消毒液は家庭用の塩素系漂白剤(自亜塩素酸系漂白剤)(商品名;キッチンハイター、ブリーチ、クロロックスなど)で簡単に作ることができます。
①市販の次亜塩素酸ナトリウム液は濃度6%ですから、この原液100mlを6リットルの水道水に溶かすと0.1%次亜塩素酸ナトリウムの溶液が出来ます。
②これを飛び散った吐物の上に散布するか、浸した雑巾で拭います。ただしこの消毒液は皮膚に有害ですので、必ずビニールの手袋をはめて処理して下さい。