以下の記事は、福島県厚生農業協同組合連合会(JA福島厚生連)「健康アドバイス」として、過去に掲載された情報のバックナンバーです。
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Dr.メッセージ

アレルギーの話
2015年2月
福島県農協会館診療所(所長)
重富 秀一

 2月17日から23日までを「アレルギー週間」と言います。1966年に日本の研究者(石坂公成・照子夫妻)がアレルギー反応に重要な働きをするIgEという物質(免疫グロブリン)を発見して2月20日に米国の学会で発表しました。その日を記念して1955年に日本アレルギー協会が、2月20日を「アレルギーの日」に、その前後の1週間を「アレルギー週間」に制定したのが始まりで、この期間は全国各地で患者さんや医療従事者向けにさまざまな啓蒙活動が行われます。花粉症の季節にはまだ早いですが、自分のからだにはないもの(異物=抗原)がからだに入るとそれを排除するために免疫反応が起こります。この反応はからだを守るしくみとして重要なのですが、人によってはこの反応が過剰に起こることが知られていました。この現象を研究していたオーストリアのクレメンス・フライハー・フォン・ピルケという人が、1906年に「変な、奇妙な = allos」と「反応、仕事 = ergon」を合わせて「アレルギー = allergy」という言葉を提唱し、現在に至っています。世の中には数えきれない数の抗原があり、私たちは日常的にさまざまな抗原に曝されていますが、個々の抗原にはほとんど毒性がないので、普通の生活をしている限り健康に何らかの影響を及ぼすことはありません。しかし、抗原に対して敏感に反応するヒトの場合は、アレルギー反応を起こす生理活性物質が放出されたり、臓器の原因となる免疫複合体が生産されたりします。アレルギー反応が起こるまでの時間は様々で、アレルゲンがからだに入ってわずか10分くらいで蕁麻疹、鼻水、気管支喘息などの症状が出て、ひどいときはショック状態に陥るもの(Ⅰ型、即時型過敏)から、2〜4日かかってゆっくり反応が出るタイプ(Ⅳ型、遅延型過敏症)までさまざまです。アレルギーが関係する病気としては、鼻炎・喘息・皮膚炎・食物アレルギー・他(Ⅰ型アレルギー)、溶血性貧血・血小板減少症・他(Ⅱ型アレルギー)、過敏性肺臓炎・ループス腎炎・他(Ⅲ型アレルギー)、接触皮膚炎・ベーチェット病・拒絶反応・他(Ⅳ型アレルギー)などがあります。花粉症や鼻アレルギーなどのような季節性のものや、接触あるいは食べ物が原因の蕁麻疹などの場合は近くの診療所で治療をうければ治ることが多いのですが、治療に難渋するときは、一人で悩まず、かかりつけの医師に相談してアレルギー専門医を紹介してもらいましょう。