以下の記事は、福島県厚生農業協同組合連合会(JA福島厚生連)「健康アドバイス」として、過去に掲載された情報のバックナンバーです。
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Dr.メッセージ

インフルエンザについて
2017年8月
鹿島厚生病院 薬剤科
横田 弘美
普通の風邪との違い
 インフルエンザは、毎冬、人口の約10%が感染する我が国最大の感染症です。インフルエンザ対策の重点は、高齢者を中心としたハイリスク(高危険)群の健康被害をいかに減らすかという点にあります。
 一般的に、風邪は様々なウイルスによって起こりますが、多くは喉の痛み、鼻汁、くしゃみや咳等の症状が中心で、全身症状はあまり見られません。重症化することもほとんどありません。一方、インフルエンザは、インフルエンザウイルスに感染することによって起こる急性の呼吸器疾患で、38℃以上の発熱、頭痛、関節痛、筋肉痛等の全身症状が突然現れます。のどの痛み、鼻汁、咳等の症状も見られます。小児ではまれに急性脳症を、御高齢の方や免疫力の低下している方では肺炎を伴う等、重症化することがあります。

インフルエンザの予防薬、治療薬
 抗インフルエンザ薬の役割はインフルエンザウイルスの増殖を食い止めることで、増えてしまったウイルスを消滅させることはできません。ウイルスに感染し48時間(増殖が最大になる)以内に抗インフルエンザ薬を使用できれば、重症化や長期化を防ぐ可能性が高くなります。48時間過ぎての使用は意味がなくなってしまいます。予防接種(ワクチン)はインフルエンザが発症する可能性を減らし、もし発症しても重い症状になるのを防ぐ効果があります。効果は接種2週間後から5か月程度です。




まとめ
 インフルエンザは大人であれば2〜3日で熱が下がり、通常は1週間もすれば自然に治ります。熱が出るというのは、細菌やウイルスと戦ってくれるための免疫細胞が働きやすいように、わたしたちの身体がわざとやっていることなので、薬で熱を下げすぎてしまうとかえって体の免疫力を弱め、インフルエンザの治りを悪くしてしまいます。解熱剤(アセトアミノフェン)は発熱による苦痛が強いときに限って使うと良いでしょう。まずはインフルエンザにかからないように、十分な睡眠とバランスのよい食事、適度な運動を心がけ免疫力を高めておきましょう。手洗いをし湿度(50%〜60%)を保つことも効果的です。他の人にうつさないようにマスクを着用し、人混みや繁華街への外出は控えましょう。感染を広げないために、一人一人が、インフルエンザに「かからない」、また、インフルエンザを「うつさない」ための対策をしっかりすることが大切です。