以下の記事は、福島県厚生農業協同組合連合会(JA福島厚生連)「健康アドバイス」として、過去に掲載された情報のバックナンバーです。
JA福島厚生連からの最新の情報は、TOPページからご覧ください。



Dr.メッセージ

訪問看護の仕事、役割とは?
2018年8月
JA福島厚生連 鹿島厚生病院 訪問看護ステーション万葉
所長 羽根田 民子
 「病気や障害があっても住み慣れた家で暮らしたい」「人生の最期を自宅で迎えたい」と望まれる方が増えています。でも「家族だけで介護や医療的ケアができるだろうか」「一人暮らしだけど大丈夫?」と不安に思うことも多いと思います。そんな時に頼りになるのが訪問看護です。看護師が定期的に自宅を訪問し、本人の処置や血圧・体温・脈拍などの測定(バイタルチェック)などはもちろん、家族へ処置の方法を伝えたり、家族からの医療的な相談を受けたりしています。訪問看護の強みは、地域で暮らす全ての年代の方に、関係職種と協力しあって、一人ひとりに必要な支援が行えるところです。
 訪問看護ステーションに所属する看護師の方々の仕事はどんな内容で、役割とはどういうことであるのか、紹介します。

■訪問看護とは?
 在宅でのサポートとして利用できるサービスに訪問看護があります。訪問看護とは、看護師等が利用者宅に訪問し、住みなれた自宅でその人らしい生活を送れるように、担当のケアマネジャーからの依頼をもとに必要なケアを提供するという介護保険や医療保険によるサービスの一つです。
 主に訪問看護ステーションと呼ばれる事業所に所属することになります。訪問看護ステーションで仕事をする人たちは、看護師、准看護師、保健師、作業療法士、理学療法士、言語聴覚士などの国家資格を所有している人たちです。
 また、訪問するときの手段は、都心部の場合には自転車での訪問が可能ですが、郊外であれば訪問先が広範囲になることがあるので、所属する訪問看護ステーションの車で訪問することがあります。

■訪問看護の仕事内容
 訪問看護は介護の計画(ケアプラン)に沿って医師の指示のもと動きます。療養中の利用者の自宅等へ訪問し、療養上のお世話や必要な診療の補助を行います。バイタルチェックにて健康状態の観察等も行います。
 本人の健康、病気や障害の状態を常に把握し、今後起こりうる変化を予測した看護を行っていけるよう心がけています。体の変化に早期に気がつくことで病態の悪化を防ぎます。
 また、日常生活に必要な食事のお手伝いや口腔内の清掃ケア・洗面、洗髪、シャワー、入浴、身だしなみや排泄のお手伝い、体位交換など療養生活のお世話を身体に負担をかけないように行います。
 末期ガンや終末期等ターミナル期であっても、自宅で過ごせるよう適切なお手伝を行います。痛みの緩和や精神的なケアにより本人、家族の精神的負担の軽減をはかります。(表1)


■訪問看護の役割とは
 訪問看護での在宅支援となると、常に利用者のそばにいることができませんが、必要に応じて医師をはじめ関係している様々な職種の人たちとも情報交換を行い、連携をとりながら安心して生活をしていけるように支援することが大きな役割となっています。また、ご家族の相談に乗り、不安を軽減するような関わりを行います。またケアプランに沿って必要な場合には在宅でのリハビリも実施します。
 状態の変化をしっかりと専門的に把握し早期に発見することで悪化を防ぐという大切な役割を担います。在宅での療養は家族にとって大きな負担にもなりかねません。看護師は家族、本人に寄り添いながらサポートしていきます。

■サービスの申し込み
 訪問看護は医療保険、介護保険のどちらでサービスを受ける場合もかかりつけ医の指示書が必要となります。最初に介護保険が優先となりますので、介護保険でサービスを受けようとする場合は、市町村の介護の窓口に相談し介護認定してもらいます。訪問認定調査などを経て介護認定をしてもらい要支援、要介護のランク付けがされます。その後、地域包括支援センターなどでケアマネを決めてもらいケアプランを作成していきます。そこで医療行為が必要になった場合は、ケアマネからかかりつけ医に訪問看護指示書の作成を依頼していただき、その訪問看護指示書に従ってケアが開始されます。次に介護認定が受けられなかった場合などは医療保険を使ってサービスを受けることになりますが、直接かかりつけ医に相談して医師が必要とした場合にはかかりつけ医から直接訪問看護指示書が作成されそのケアを受けることができるようになります。訪問介護のサービスを受ける場合は、介護認定を受けた後、ケアマネが作成するケアプランに訪問介護の利用を入れていただいてサービスを受けることとなります。(表2)


■まとめ
 訪問看護の仕事は、主に在宅で生活する人たちの健康管理や身体状況の変化に気づくことが大切です。施設や病院よりは、住み慣れた環境の中で療養したいと思う人は多くいると思います。 
 鹿島厚生病院では、平成30年4月から在宅診療科が始まりました。
 訪問看護ステーション万葉では、在宅診療科との連携を取りながら利用者さんの状態を把握し、身体への看護や精神的な看護を行い、24時間365日、ご自宅での療養生活を支援いたします。 
お問い合わせ  〒979-2442 福島県南相馬市鹿島区横手字川原2
鹿島厚生病院 Tel 0244-46-5125  Fax 0244-46-4870 
訪問看護ステーション万葉 Tel 0244-46-5776  Fax 0244-46-3948