| 尿失禁について |
| 2003年6月20日放送 塙厚生病院 泌尿器科 医師 鶴谷 善昭 |
| 皆さんおはようございます。塙厚生病院泌尿器科医師の鶴谷善昭です。 本日は、ラジオの前の皆様へ尿失禁についてのお話をさせていただきます。尿失禁と言われても、耳慣れないかもしれませんが、これは、おしっこのおもらしを示す言葉です。赤ちゃんや子供さんがおもらしをすることは当たり前のことですが、大人になってからのおもらしは病気の一つなのです。しかし、『年のせいだから』とあきらめてしまったり、相談するのが恥ずかしい、などといった理由で病院を受診されずにそのまま我慢をしている方がたくさんいらっしゃるようです。ラジオの前の皆様の中にもお困りの方がいらっしゃるのではありませんか?今日の私のお話が、そんな皆様の治療の手助けになれば幸いです。 さて、一口に尿失禁と申しましても、その原因や漏れかたによっていろいろな種類がございます。その中の2つのタイプについてご紹介いたします。 まず、1つ目として、おしっこを貯める役割を持つ膀胱が悪くなって起こる、切迫性尿失禁が挙げられます。これは、おしっこをしたいな、と思ってトイレに向かっている間に間に合わずにおもらしをしてしまうというタイプで、おしっこが近くなる『頻尿』という症状を伴います。これは、膀胱がおしっこを十分に貯めることができなくなり、さらに自分勝手に縮んでしまうことで、おしっこが始まってしまうために起きます。原因としては、脳梗塞や脳出血などの脳や脊髄の病気で神経が傷ついてしまうために起きる場合や、前立腺肥大症や膀胱炎などにより膀胱が刺激されることで起きる場合などがあります。この切迫性尿失禁に対する治療は飲み薬によるものが中心となります。これらのお薬は、膀胱をゆったりとリラックスさせ、おしっこをたくさん貯められるようにすることでおしっこをもれにくくする働きを持ち、多くの方々に効果があります。またその他に、電気や磁気の刺激を膀胱に与える治療法なども行われる場合があります。 次いで2つ目として、主に尿道が原因で起こる腹圧性尿失禁があります。咳やくしゃみ、重いものを持ち上げるといった、急にお腹に力が入ってしまった時に、勝手におしっこが漏れてしまうタイプです。このタイプの患者さんのほとんどは女性で、特に中高年の方々に多く認められます。これは、おしっこがもれないように、尿道を締め付ける働きをする『骨盤底筋』という筋肉が妊娠や出産などによって緩んでしまうことが原因のひとつとされています。そのため、治療としてはその緩んだ筋肉を鍛える体操がまず行われます。これは骨盤底筋体操と呼ばれる方法で、おしっこやおならを我慢するときのように肛門や膣を意識しながら締める運動です。若干のこつが必要ですが、家庭でも簡単にできますのでお困りの方はぜひお試しいただけたらと思います。しかし、これでも良くならない重症の方には手術が行われることもあります。尿漏れの原因である尿道を手術で吊り上げるという方法ですが、患者さんのお体にあまり負担をおかけしないように局所麻酔や下半身麻酔で行われていますので、漏れのひどい方はご検討いただければと思います。 以上、簡単に2種類の尿失禁について、説明させていただきましたが、その他にもいろいろな原因で尿失禁が起こることがあります。中には前立腺癌などのように悪性の病気が隠れていることもありますので、尿失禁でお困りの方々はぜひお近くの泌尿器科専門医のいる医院や病院などを受診され、治療を受けられることをお勧めいたします。また、尿失禁以外にもおしっこに関してお困りのことがございましたら、泌尿器科を受診してみたらいかがでしょうか? それでは皆様、今日も一日、明るく元気にお過ごしください。 |
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