以下の記事は、福島県厚生農業協同組合連合会(JA福島厚生連)「健康アドバイス」として、過去に掲載された情報のバックナンバーです。
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農家の皆さんへ

薬の正しい使い方
2003年10月24日放送
鹿島厚生病院
薬剤科 斗蔵 勲

 今日は、薬の正しい使い方についてお話させていただきます。
 まず始めに皆様ご存知のお薬は大きく2つに分けられます。
 一つは医師が患者さん一人ひとりを診察し、その症状に最も適した薬を処方し医療機関や調剤薬局等でもらう薬、これを医療用医薬品といいます。
 もう一つは一般に大衆薬とも呼ばれ、自分の判断で薬局・薬店等で購入する薬、これを一般用医薬品といいます。
 これらの薬はいずれも病気を治したり、体の正常な働きを促すなど、健康な生活を保ち助けるためのお手伝いをします。しかし薬は「諸刃の刃」といわれ、使い方を間違うと危険な毒になってしまうものです。その原因の一つが薬の正しい使い方に対する知識不足なのです。
 それでは、基礎知識として薬の剤形・効き方・飲み方・保存方法について説明します。
 まず薬の剤形について説明します。
 薬は取り扱いやすい形で、体に入って治療効果が最大限に現れるように作られており、その形を「剤形」と呼んでいます。医薬品の種々の剤形は、薬物の体内動態に大きな影響を及ぼし、同一の薬物でも効果・副作用が異なる原因になっています。投与経路によって大きく内用剤、外用剤、注射剤に分けることができます。
 内用剤は、錠剤・カプセル・粉薬・水薬など口から飲む薬です。外用剤は、軟膏・目薬・坐薬・シップ薬など皮膚あるいは粘膜に使用する薬です。注射剤は、皮下または筋肉内あるいは血管内に直接用いる薬をいいます。
 次に薬の効き方について説明します。薬は体内で吸収、分布、代謝、排泄されます。たとえば、口から飲んだ薬は食道から胃、十二指腸から小腸へと送られ、その間に消化管から吸収され、門脈という血管を通って肝臓に入り、血液の中に入ります。吸収された薬は、血液などによって体の組織に運ばれ薬の作用を発揮します。薬の作用を発揮したあと、肝臓などで体の外に出やすい形に変化し、最後に尿中や糞便中などに排泄されます。薬を飲んで尿や便が黄色くなったり黒くなったりすることがありますが、この事により薬が吸収されたのち尿中や糞便中に排泄されていることが分かります。また、呼気・汗・乳汁中に排泄されるものもあります。そのため、授乳中のお母さんはその旨を医師に必ず申し出てください。
 次に薬の飲み方について説明します。薬は食後に飲むのが一般的と思われますが、食事により薬の吸収量や吸収速度が変化して薬の効き方が違ってくる場合があります。薬をいつ飲むかは製薬会社が薬を開発するときに臨床試験に基づいて決めています。たとえば、食前・食後・食間と薬を飲む時間が指示されている場合は薬の適切な効果をえるために必ず服用時間を守るようにしましょう。食前服用とは食事の30分?1時間位前、食後服用とは食事が終わってから30分以内、食間服用とは食事と食事の間で、およそ食後2時間が目安です。寝る前服用とは寝る約30分前に飲むことをいいます。
 では、薬を飲み忘れた時はどうすればいいでしょうか。薬の種類や作用時間によっても異なりますが、基本的には思い出した時にすぐ服用します。次の服用時間が迫っている場合には忘れた分は服用しないで、次回からきちんと服用するようにしましょう。忘れたからといって2回分を一度に飲む事は決してしないでください。思わぬ副作用や中毒をおこす場合があります。
 また、「薬をお茶やジュースなどで飲んでもいいですか」という質問を受けることがありますが、お茶やジュースの成分が薬の成分と結合したり、薬の薬効成分を分解したりして、薬の吸収や効き目を悪くする事があるため、基本的にはこうした物と一緒に飲むことは避けるべきでしょう。また、アルコールは薬の作用を増強する事がありますので絶対に一緒に飲まないでください。
 次に薬の保管方法について説明します。薬はたいへんデリケートなものです。ですから、薬の保存方法は薬の効き目を保つ上でたいへん重要な事です。使用期限が過ぎたり、保存条件が悪いと成分の分解や変質が起こり、これを知らずに飲むとたいへん危険です。薬の品質に影響を与える原因としては、温度・湿度・光・酸素などがあげられます。薬は通常、高温多湿を避けて、直射日光の当たらない場所で保存します。薬を受け取った際には必ず薬袋をよく見て保存条件を確認するようにしましょう。また、小児が誤って薬を飲んでしまう事故が多いので、小児の手の届かない場所に保管するようお勧めします。
 最後に、薬に関してわからないことや疑問がありましたら、まずは医師か薬剤師におたずね下さい。近年薬に関する本も多数出版されておりますし、インターネットの普及によりお薬の情報を手軽に手に入れることができるようになりましたが、薬をもらったその場で処方された医師あるいは薬剤師に直接おたずねになると、きっと薬に対する理解も深まり安心して服用できると思います。今自分がどんな薬を飲んでいるのか知っておくことは、もし他の医療機関にかかった場合に薬の重複を防ぐ意味で必要であると思います。
 薬の名前、作用、効き目、副作用、使い方などについて、知りたいと思っていることは遠慮せずに医師や薬剤師にお聞きになるのが一番だと思います。
 以上、薬の正しい使い方について述べさせていただきました。