以下の記事は、福島県厚生農業協同組合連合会(JA福島厚生連)「健康アドバイス」として、過去に掲載された情報のバックナンバーです。
JA福島厚生連からの最新の情報は、TOPページからご覧ください。



農家の皆さんへ

結核について
2004年9月21日放送
白河厚生総合病院
看護師長 八木 三好

 大正時代から昭和20年代までの長い間「国民病」と恐れられてきた結核。
当時は、年間死亡者数も10万人に及び、死亡原因の第1位でした。
 わが国の適切な 結核対策や、生活水準の向上、さらに、優れた抗結核剤の開発により、すでに克服された過去の病気であると認識してきました。
 昭和54年まで新登録患者は、毎年10~11%ずつ減少しておりましたが、平成9年では、前年に比し、わずかでは あるが逆転増加してしまいました。厚生省は平成11年7月26日「結核 緊急事態」 を発表し、日本中に結核対策への取り組みを呼びかけました。日本でも 年間 33,000人の結核患者さんが新たに発生しています。
 なぜ結核の感染が広がり、心配されるのでしょうか。
 
 主な理由として3つあげられます。

1. 若い頃に感染した結核が、免疫力の低下する高齢で発症しやすくなります。
2. 若い世代の多くは結核菌に未感染のため、感染しやすく比較的早い時期に発症する危険があります。また、HIV感染が広まりつつある現在、エイズとの合併症としての結核も心配されます。
3. 結核への関心が薄れており、受診や診断が遅れがちで、重症化して結核に気づく頃は、周囲の人に感染させてしまうのが現状です。

 それでは、結核とは、どんな病気でしょうか。「ゴホン」と咳をすると普通に会話している時の5分間分のしぶきが一度に放出されます。菌を持った患者さんが咳やくしゃみをした時、患者さんに近い所ほど空気中の飛沫核の濃度が高く、家族や親しい人ほど菌を吸い込む機会が多くなります。
 結核の発病率は10%と言われております。発病しやすい時期あるいは、発病に気をつけなければならない状態がいくつかあります。まず、感染後数ヶ月から2年以内に発病する初感染発病は、年齢の低い子供や若者に多い。乳幼児は、身体の抵抗力も弱く、発病率が高く重症化する危険性が高い。また、生活習慣病などにより、免疫力低下に伴う発病、いろんな病気の治療のため、免疫抑制剤の使用に伴う発病が促されます。
 結核の感染径路は、空気感染であり、患者さんの使用した食器や衣類などから感染する危険性はありません。
 わが国の結核患者さんの3/4は、咳などの症状が出てから医療機関を受診する事により発見されています。結核の初期症状は、風邪に良く似ています。「咳・痰・発熱・血痰・胸痛」の5大症状のほか、だるさ、寝汗などの症状が現れます。
 このような症状が2週間も続く場合は、早期に医療機関の受診をお勧めします。
 また、高齢者は、咳がめだたず、食欲不振や体重減少を主症状とする場合も多いので注意を要します。結核はかつて、長い療養生活を必要とされておりましたが、化学療法がめざましい効果をあげており、化学療法を開始すると2~3週間で菌の排出が激減し、感染の心配もなく入院期間も短縮されてきました。しかし、入院、外来通院にかかわらず結核の治療は、最低でも6~9ヶ月必要です。
 治療により咳などの症状が軽快しても結核菌が弱っているだけでしぶとい菌です。勝手に中止せず、毎日忘れず薬を飲み続けることが大切です。結核予防法の 25条に定められた治療法であり、結核は、継続して治療が必要な病気です。結核医療公費負担制度により、治療費の一部、あるいは全額を公費で負担する制度があります。

 結核撲滅への国家的対応の1つとして、昭和26年に制定された「結核予防法」が平成17年4月1日より改正されます。

 改正点として

1. 乳児には、ツベルクリン反応検査は廃止し、BCG直接実施。
2. 高齢者等の高リスク集団や二次感染を起こしやすい医療関係者等には定期検診の重点実施。
3. 保健所や医師によるDOTSの推進などです。

 最後に、結核予防のポイントとして

 医療面では、

1. BCG接種を受けること。免疫をつける方法で、発病率を防ぐためのワクチンです。乳児期の3ヶ月 から1歳の間の可能な限り早い時期での接種が重要です。
2. 検診を受けること。
3. 結核早期発見。咳が2週間以上続くような場合、早急に受診し、検査を受けましょう。身近な人が結核にかかったら、検査を受けることも大切です。

 生活面では、

1. 栄養のバランスのとれた食生活をしましょう。
2. 禁煙をしまLよう。タバコの煙に含まれる有害物質が、肺がんの危険性はもちろん、結核の発病にも影響する危険性があります。
3. 疲労を避け、ストレス解消を心がけましょう。
4. 発病の危険性の高い、高齢者、 乳幼児、その他免疫力が低下している状態の人は、日頃から、健康管理に注意が必要です。

 結核と診断された場合、その患者のご家族や周囲の人へ保健所から「接触者検診」の通知が届きます。結核の早期発見と感染拡大防止のために、保健所の指示に従って検査を受けましょう。感染していた場合は、抗結核剤を飲んで発病を予防します。家族に乳幼児がいる場合は、通知が届く前でも保健所、医療機関に相談しましょう。