
| 高血圧とは? |
2004年10月22日放送
鹿島厚生病院
医師 根本 文彦
|
| おはようございます。今日は「高血圧」についてお話しようと思いますが、その前に「血圧とは何か?血圧とはどういう性質を持っているか」についてお話します。
人間は、地上で生活しています。しかも直立して生活していますので、脳などへ十分な血液を送るためには、圧力をかけて血液を送り出す必要があります。
心臓から押し出された血液は動脈という血管を通っていきますが、この血管の壁には圧力がかかります。この圧力が血圧です。
つまり血圧はポンプである心臓とホースである血管によってつくられます。そして血圧は周囲の要因により大きく影響を受けます。立ち上がったり、座ったり、しゃべったり、食事したり、運動したり、眠ったり日常生活の一つーつの場面で大きく変わっているのです。
例えば、誰でも気分は絶えず変わっています。まったく一日中変わらないという人は少ないと思います。正確には、気分は日常のいろいろなことに応じて一瞬一瞬変わっていると言っていいと思います。ときには爆発したり、ときには落ち込んだりします。しかし普通は一定の範囲におさまっています。血圧もそのようなイメージで考えてもらうと理解しやすいかと思います。心臓は1日におよそ10万回も休みなく拍動しています。したがって測ろうと思えば血圧は1日10万回測れるのです。外来で「うちの血圧計は測るたびに値が違うので壊れているのではないか?」と言われる方がいますが、測るたびに違うのは当然であり、厳密には脈拍1回1回違うのであって、血圧計が壊れているのではないのです。
それではいよいよ高血圧に話を移します。高血圧とはもちろん血圧が一定以上高いこと、一般には収縮期血圧が140mmHg拡張期血圧が90mmHg以上のことをいます。
しかし、気をつけないといけないのは健康診断や病院の外来ではじめにたった1回や2回血圧が高かったからと言ってすぐに「あなたは高血圧です」とは言えないということです。その中には本当に高血圧の方もおられますが、そうでない方も混じっているのです。そうでない方とは病院に来た時だけ高い人のことです。女性に多いのですが、緊張しやすい方や不安の強い方によくみられ、医師や看護婦さんに測られると起こりやすいため、その制服をもじって白衣高血圧と呼ばれ、本当の高血圧とは区別されます。
では本当に血圧が高い場合、その高血圧には原因があるはずです。一般には体質(遺伝)、年齢ストレス、塩分、肥満、タバコなどが血圧を高くしているといわれますが、実際には、大部分の高血圧ではそ原因を特定することが出来ません。これらの因子が複雑に絡み合って起こっている高血圧は本態性高血圧症と呼ばれ高血圧の90%以上を占めます。逆に腎臓疾患やホルモンの分泌異常などはっきりとした原因のある二次性高血圧症も少数ながらあるのです。これらの二次性高血圧症は根治することができる場合があるのでしっかり見つけておかなければなりません。
ではなぜ高血圧は治療しなければならないのでしよう?
高血圧とは、血液が血管に通常以上の圧力をかけている状態で、血管の壁は引き伸ばされて薄くなります。この状態を元に戻そうとするため動脈の壁が厚くなっていきます。その結果、動脈硬化が進行し心臓では狭心症や心筋梗塞、脳では脳出血や脳梗塞、そして腎臓では腎不全など命に関わる恐ろしい合併症を招きやすくなるのです。高血圧は別名サイレントキラーと呼ばれます。これは姿の見えない殺し屋という意味ですが、高血圧には症状がなく症状が出て気が付いたときはもう遅いという意味をこめてつけられたあだ名なのです。ただ血庄が高いだけで合併症が起こらなければ放っておいてよいはずですが、合併症を予防するために冶療が必要なのです。
現在、日本における高血圧患者数は推定330万人、じつに国民の4人に1人は高血圧といわれています。高血圧治療の現場で経験的にも昔から言われていることに1/2の法則というものがあります。これは高血圧患者さんのうち、医療機関で実際に治療を受けている人は全体のわずか1/2のうち高血圧治療をしているにもかかわらず、きちんと血圧の治療目標値が達成できない人はさらにその1/2ということをあらわした法則です。的確な降圧療法を行うためには、どうしても頻回に血圧測定を行う必要がありますが、医療機関での測定には限界があります。そこで血圧の自己測定をおすすめします。
最近、電気店等で家庭血圧計をよく目にします。血圧計のタイプもさまざまなものがあり、大きく分けて上腕に力フを巻いて測るもの、手首に巻いて測るもの、指で測るものがあります。手首に巻くタイプや指で測定するタイプのものは手軽ではありますが精度が低く信頼性が落ちるので、上腕にカフを巻いて測定するタイプのものをおすすめします。家庭血圧の測定は、朝起床時と夜寝る前の一日2回が薦められます。毎日測定することが出来ればより良いのですが、長く続けることが重要であるため私は週2日の測定をおすすめします。外来で測定した血圧は、日常安静時の血庄と比較して高いことが多く家庭血圧を参考にして血圧のコントロールが行われるようになっているのです。
以上高血圧について簡単にお話しましたが、日頃から自分の血圧に目を向け定期的に医療機関を受診し、高血圧と上手に付き合っていってください。
|
福島県厚生農業協同組合連合会 福島県福島市飯坂町平野字三枚長1−1 TEL(024)554−3450 FAX(024)554−3483