| インフルエンザについて |
| 2005年2月18日放送 塙厚生病院 小児科医師 陶山 和秀 |
| 皆さん、おはようございます。塙厚生病院小児科の陶山和秀です。例年より一ケ月ほど遅いのですが、インフルエンザが流行してきました。今日はインフルエンザについてお話したいと思います。 インフルエンザはインフルエンザウイルスの感染によって起こります。発熱・頭痛・全身の倦怠感及び関節痛などが突然現われ、咳・鼻水などがこれに続き、約1週間で良くなって行くのが典型的なインフルエンザの症状です。その他の、いわゆるかぜ症候群に比べて全身症状が強いのが特徴で、まれにインフルエンザ脳炎・脳症といった重篤な合併症を伴います。成人の大人では脳炎・脳症を合併することは非常に少ないのですが、5歳以下の小児と高齢者では注意が必要です。 冬には、インフルエンザ以外にも、かぜ症候群も流行します。かぜ症候群の中にも咳を伴い5日間ぐらい発熱することがあります。実際私たち小児科医が患者さんを診て、臨床症状だけでインフルエンザと診断するのが、なかなか難しい場合があります。しかし、最近では外来などで、インフルエンザを簡単に検査できるようになりました。のどや鼻水などから検査をし、大体20分くらいでインフルエンザかどうか分かります。ただし発熱してから数時間しかたっていない場合は、インフルエンザウイルスがまだ検査をするには十分に増えていないため、本当はインフルエンザなのに、検査をしてもインフルエンザではありません、といった結果になることがありますので注意が必要です。発熱してから12時間経過していればほぼ確実に診断できると思われます。発熱したときは、あわてず、お子さんがどんな状態なのか、把握しましょう。インフルエンザ脳炎・脳症がおきてくるのは、発熱してから1日以内におきることが多いようです。家庭で見ていて注意することは、41℃を超えるような発熱がある時、痙攣がおきた時、またわけのわからないことを口走る時、たとえば、自分の手を見て、ハムだ、芋だと言ったり、虫が手の上を歩いていると言ったりする場合は、すぐに医療機関にかかるようにしてください。 家での熱の対処の仕方についてお話します。熱の出始めは寒気を起こして手足が冷たくなることがあります。その時は手足を温めてあげましょう。熱ができって高くなると、今度は体が熱くなってきますので、頭やわきの下などを冷やしてあげましょう。また熱さましの薬の使用ですが、熱が出ること事態は、悪いことではありません。体温37度前後が、ウイルスにとって一番繁殖しやすい環境です。発熱することによって、ウイルスは繁殖することができず、ウイルスは死んでいきます。発熱することは、ウイルスをやっつける体の防御反応なので、熱があった方が治りも早くなります。水分が取れて元気もまずまずであれば、無理に熱さましを使用して熱を下げる必要はありません。体温41度ぐらいまでは、熱によって頭がダメージを受けることはありませんので、ぐったりして水分が取れないときだけ、熱さましの薬を使うようにしましょう。また、インフルエンザにかかった時に使ってはいけない熱さましの薬もありますので、医療機関でよく確認してください。 次に食事についてですが、具合が悪いときは、無理して食べる必要はありません。水分がある程度取れていれば、2、3日食べられなくても問題ありません。しかし、水分が取れないと脱水によって具合が悪くなることがありますので、水分はこまめにとるようにしましょう。 インフルエンザウイルスに対する治療として、現在ではインフルエンザウイルスをやっつけるお薬があります。発熱してから48時間以内にその薬を飲むと、インフルエンザウイルスの増殖を抑えて、発熱期間を短くすることが出来ます。しかし残念なことに、そのお薬を飲んでも、インフルエンザ脳炎や脳症の発症を抑えることが出来るかどうかは、まだわかっていません。またこの薬が広く使われようになると、薬が効かなくなってしまう耐性インフルエンザウイルスが出てくる問題もあります。医療機関でよく相談してください。 インフルエンザに対して科学的な予防方法として世界的に認められているものは、インフルエンザワクチンを接種することです。現在のインフルエンザワクチンは、はしかワクチンのように発病をほぼ確実に阻止するほどの効果は期待できませんが、インフルエンザにかかったとしても、高熱などの症状を軽くしたり、肺炎や脳炎などの合併症による入院や死亡を減らすことができると考えられています。 インフルエンザが流行する前に、ワクチンによる予防をお勧めします。また、お子さんがインフルエンザワクチンを接種していても、インフルエンザの人と濃厚に接触すると、インフルエンザがうつる可能性が非常に高くなってしまいます。お子さんと一緒にいる方も、是非あわせて予防接種をしてください。 最後に、手洗い、うがいも感染の予防策として非常に有効です。家に帰ったら、手洗い、うがいを忘れずにするよう、心がけてください。 では、みなさん、今日も一日元気にがんばりましょう。 |
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