| こんなに増えている透析患者さん |
| 2005年8月19日放送 坂下厚生総合病院 腎センター長 栗城 実 |
| 今日は、腎臓病について少しお話ししてみようと思います。 透析療法を必要とする患者さんは年々増加し、現在では全国で23万人前後で、毎年1万人ずつ増加しています。 実に日本人の600人に一人が透析を必要としている現状を踏まえて、この原因となる腎臓病を早めに発見して、早期に的確な治療をすることで透析をを受けなくてもいいようになるのではないか、という観点から腎臓について少し述べてみたいと思います。 腎臓の中は糸くずのような血管のかたまり、これを糸球体といいますが、それが一個の腎臓で100万個集まってできています。 糸球体で血液の中の成分がろ過されて尿のもとができますが、必要な水分や大事な成分は途中で再吸収され、最終的に大体1~1.5リットルぐらいのおしっこになって出ていきます。 ところが、もし、この糸球体がダメージをうけていたらどういうことになるでしょうか。 この血液の中の赤みの成分である赤血球やタンパクが漏れだして、200万個ある糸球体が全体にかなりのダメージを受けてくると、ついにはこのにじみ出た液のずっと最後の結果である尿の中にも、血尿や蛋白尿となって出てくることになります。 腎臓の働きは、第一に老廃物の排泄があります。からだにとって有害な物質を排泄し、水分やミネラル成分をコントロールします。 腎臓が弱ってくると老廃物が体外に排泄できなくなり、体の中に毒がたまって最終的に尿毒症となり、透析をしなければ生きていけなくなるわけです。そのダメージの原因は、以前は腎臓そのものに何らかの原因で炎症がおきる慢性腎炎が透析の原因として圧倒的に多かったのですが、最近は糖尿病が原因の糖尿病性腎症が増え、1998年から透析導入原因の一位になっています。 糖尿病は600から700万人はいるといわれ、今後ますます増えると予想されており、これは食生活の欧米化、運動不足、ストレスなどが原因となっているといわれています。 糖尿病が増えるに伴い糖尿病からの透析導入も増えるものと考えられ、現在非常に問題となっています。糖尿病は自覚症状に乏しく、合併症がいったん発症するとなおすことは非常に困難であるため、血糖の測定、尿の検査、眼の検査は定期的に行い、合併症を早期に発見し、治療することが重要になってきます。 また、慢性腎炎はいろいろなタイプがあり、たんぱくも血尿も消えてしまう場合もありますし、不変のままで経過するものもありますけれど、なかには進行性に悪化するのも少なくありません。できれば早く発見して腎生検などの検査を行って確定診断し、早期の治療をしたいわけです。 このような腎臓の働きが低下してくる病気を早く発見するには、やはり職場検診、住民検診などの検診は毎年受診し、異常をチェックされたら医療機関を必ず受診し、相談して下さい。 また、蛋白尿、血尿などにみる試験紙は市販もされていますのでこれを利用するのもいいと思います。腎臓が悪くなると血圧も高くなってきますので、できれば血圧計を買っていただき家庭での血圧を測定することもおすすめです。自覚症状がないからといって放置することはあとあと後悔することになるのです。自分の体は自分で守る、そういう気持ちが大切なのではないでしょうか。 いままで簡単に腎臓病についてお話してきましたが、まとめると腎臓病の早期発見のためには、 (1)年に1回は検診を受ける。 (2)家庭でも試験紙で尿検査を行う。 (3)尿の量・尿の回数・尿のみため(あかくないか、にごってないか)・ 夜におしっこをする回数が増えていないか・尿のにおい・尿のあわの有無。 について注意して気になることがあれば早めに医療機関を受診することがポイントとなると思います。 |
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