以下の記事は、福島県厚生農業協同組合連合会(JA福島厚生連)「健康アドバイス」として、過去に掲載された情報のバックナンバーです。
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農家の皆さんへ

高齢者の転倒をふせぐために
2006年1月20日放送
白河厚生総合病院
理学療法士 近藤 和弘

 白河厚生総合病院に勤務していますリハビリテーション科の近藤といいます。病院というとレントゲンやお医者さんのイメージが強く、リハビリテーション科という言葉では馴染みが少ないと思いますが、リハビリと言えばよく耳にされるのではないでしょうか。
 リハビリテーションとはいろいろな意味で使われておりますが、病院で使われるリハビリテーションとして説明しますと、病気やけがにより日常生活が困難な方や何らかの障害を伴っている方に対して、その人が最も適した生活を送ることのできるように治療・支援することになります。
 リハビリテーションを支援する職種は病院内・外でも様々で、私は理学療法士という職種で活動しております。理学療法士とは主に起きる、立つ、歩くといった移動動作を中心とした治療を行う職種になります。よく話題になる脳梗塞などの病気や交通事故によるケガなどが対象です。後遺症によっては障害が残り、歩くことや日常生活を送ることが困難になります。その為、理学療法士を含めたリハビリテーションのスタッフが日々治療に当たっております。

 今回は冬場に多い怪我の骨折についてお話ししたいと思います。
 骨折は主に交通事故のような強い衝撃を受けた場合や転倒により骨の一部に過剰な外力が加わった場合に発生します。年齢的には高齢者に多くみられまして、つま先が引っかかる・足がもつれるといった程度のふらつきで転倒し、骨折することもあります。骨折になりますと、症状としては痛みが出ることはもちろんですが、さらに折れた関節の周囲の運動ができなくなります。つまり太ももの骨を折った場合では、太ももを持ち上げることや膝を曲げるといった、足を使った運動ができなくなり、立つ・歩くという日常動作が非常に困難となります。また骨折により動くことが困難となるので体力の低下、筋力の低下など身体機能に大きな影響を招くことにもなります。場合によっては病院に入院されるケースも多いため、生活状況が一変してしまうことも考えられます。

 治療法として折った場所をギプス等で固定して自然治癒で様子をみる方法と、手術をして折れた骨を固定する治療法があります。どちらの方法をとっても骨が治った後は、筋力の低下や関節が動かなくなる症状が起こります。一番はできる限り骨折しないで生活することが望まれます。

 冬場になりますと特に多い骨折ですが、転倒で起こる場合は、外では雪や氷に滑って転倒する、家の中ではコタツのかけ布団に足を引っ掛けて転倒する。体が思うように動かなくて足がもつれるなど、冬ならではの理由で骨折することが多くなります。家の中でも、外でも注意が必要になります。そのため骨折を防ぐためのポイントをいくつか挙げてみたいと思います。
 まず、冬になると誰でもそうですが、動くことが億劫になり、用事が無ければコタツに座っているなど、ほとんど動いていないことが多いようです。そうなりますと、動かなければ体の筋肉が硬くなります。筋肉がほぐれていない状態で動こうとすれば、どうしても動きがぎこちなくなります。そのため、動き始めに足がもつれる、引っかかるなどで転倒することが多くなるのです。長時間座っていた場合でも、動きにくくなりますので、動き始める前には座ったままでも結構なので、膝を屈伸するなり、両腕を伸ばすなどして手足の筋肉をほぐしてから、立ったり、歩いたりしていただいたほうが、体の動きがスムーズになります。特に寒くなれば肌着の数が増え、厚手の服を着込むようになりますので、余計に動きにくくなります。手足を動かしてから作業をしていただいたほうがより安全に行えると思われます。
 次に冬になるとコタツ布団やストーブ、電気毛布など暖房用品が多くなります。お部屋に物が多くなればそれだけ、障害物が増えることになりますので、転倒の危険性も上がってしまいます。日常的には何気ないものでも、高齢者にとっては躓きやすくなりますので、できる限りお部屋の整理整頓をして動きやすい環境を心がけていただきたいと思います。
 最後に野外での転倒に対してですが、冬場の凍結した道路では若い方でも転倒の危険性は高く、高齢者の方になりますとなお高くなります。転倒に注意するためには凍結した場所はなるべく歩かない、また歩く場合は大またで歩かず、ゆっくり歩くこと、可能であれば杖を使って路面に注意することが重要です。
また、歩く前に膝の屈伸などをして体の筋肉をほぐしていることも重要になります。

 最後になりますが、骨折はちょっとした油断で起こってしまうことが多いです。ですから体に十分にほぐしてから、ゆっくり余裕を持って活動することが一番大切です。急ごうとすれば無理をすることになりますので、無理をせずに過ごすように心がけて下さい。