
| 「食い合わせ」現代版の話 |
2006年4月21日放送
農協会館診療所
所 長 伊勢 重男
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今から2・30年前までは、古くから言い伝えられてきた「食い合せ」というものがありました。これは同時に食べると身体に害になる食品の組合せのことをいいます。
「食い合せ」は、江戸時代の有名な学者=貝原益軒が「養生訓」という健康読本にまとめて発表して以来、長い間本当と信じられてきました。
私が子供の頃、「梅干しとうなぎ」は食い合せだから絶対に一緒に食べてはいけないと、祖母にきつく言われたものでした。
食い合せの中には、同時に食べるとおなかを壊すような組合せ=例えば、「カニと氷水」「天ぷらとスイカ」のような組合せもあります。これはまあ合理的ともいえますが、他は大部分が迷信となって、今ではそのようなことを伝える人もいなくなりました。
しかし、現代では合理的な「新しい食い合せ」と呼べるようなものが生れています。これには「食品と薬」「食品と病気」その他「健康を損なう食品」などいろいろな組合せがありますが、その中でもぜひ知っておいていただきたい大切な事項をいくつかお話しすることに致します。
1)まず最初に紹介する例としましては『心臓病や脳梗塞の薬の中には「納豆」や「クロレラ」を絶対に食べてはいけないものがある。』ということです。
その薬とは「ワーファリン」という薬でありまして「ワーファリン」は血液を固まらないようにして血管が詰まるのを予防する薬ですが、納豆やクロレラの中に大量に含まれているビタミンKがこの作用を妨げます。ですからワーファリンを服用している間はいつでも食べてはいけません。せっかくの薬の作用が効かなくなって再発する恐れが高くなるわけです。
逆にこの薬の作用を強めてしまう食品もあります。「ウコン」「イチョウ葉エキス」「EAD」などは今健康食品として盛んに宣伝されておりますが、これらはワーファリンの作用を増強する働きがありますので、これらを常に食べたりしていますとチョッとした傷でも血が止まらなくなる恐れが生じます。また今話題の「コエンザイムQ」も同様の作用があり、米国の権威ある医学誌に警告が発表されています。
2)次に『高血圧の薬の中には、のむと同時に「グレープフルーツ」を食べてはいけないものがある』というのを御存知でしょうか。
広く使われている高血圧の薬で「カルシュウム拮抗薬」という種類の薬があります。
この薬の食い合せとしては「グレープフルーツ」があります。薬と同時に、あるいは時間を空けないでグレープフルーツを食べますと、果汁の成分が薬の作用を打消すことがありますので注意して下さい。
今まで血圧が安定していたのに、どうも最近血圧が高めに出る患者さんがいました。この方によく聞いてみましたところ、最近健康のためにと毎朝グレープフルーツを含む生ジュースを自作し、薬と一緒に飲んでいたという事例がありました。
3)三番目としまして『偏頭痛もちの人がなるべく避けたい食品』を御紹介します。
偏頭痛の発作に悩まされている患者さんはアルコール(特に赤ワイン)、コーヒー、チョコレート、ミカン、グレープフルーツ、それからチーズ、中華料理などを食べると発作の引き金になることがあります。その他高音性の騒音、睡眠不足、ストレスなども誘因になることもあるので、避けるように努めて下さい。
4)最後にコレステロールが高くて薬をのんでいる方、また糖尿病の治療をしている方に、特に聞いていただきたいことがあります。
今「膝の痛い人のために」というキャッチフレーズで盛んに宣伝されている「グルコサミン」という健康食品、これを御存知の方も多いと思います。
サメの軟骨から採れるグルコサミン、あるいはコラーゲンが膝の痛い人にいいと宣伝されてもいます。効果の程は医学的に証明された訳ではありませんが、のむとよさそうだというムードに乗せられて、のんでいる人も多いようです。
ところでこのグルコサミンがコレステロールや血糖を上げる恐れがあることをどの位の人が知っているでしょうか。新聞・テレビなどではまったくといっていい程報道が伏せられていますので、ほとんどの人が知らないはずです。
そこで強調しておきたいことですが、コレステロールや中性脂肪が高くて薬をのんでいる人、あるいは糖尿病で治療中の方は「グルコサミン」の類いを避けるべきである。このことを認識しておいていただきたいと思います。
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