
| 突然死を防ぐために |
2007年4月27日放送
農協会館診療所
所 長 伊勢 重男
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最近働き盛りの世代に、突然亡くなったというケースが増えてきております。突然死は昔からいわゆる「ポックリ病」という名で問題になっておりましたが、大部分は原因不明と片付けられていました。
しかし、最近の研究によりますと、突然死の60%が心筋梗塞によるものと考えられています。その次の死因として肺血栓症が10%、三番目が不整脈7.3%、四番目が急性大動脈解離3%となっています。
この結果は、突然死の原因の大部分が循環器系の疾患であることを物語っています。ですから、突然死を防ぐためには、これら循環器疾患の成り立ちとその予兆を知っておくことがとても大切なことです。
1)急性冠動脈症候群
心臓を養っている血管(冠動脈)が急に詰まってしまい、心筋が壊死してしまう状態を一括してこう呼びます。この代表的な病気が「急性心筋梗塞」や「不安定狭心症」と呼ばれるものです。
この初期症状として最も重視しなければならないのが、「胸痛」です。軽いうちの訴えとしては「胸がなんとなく苦しい」とか「胸に圧迫感がある」と表現するのが多いようです。この予兆の段階で検査を受ければ心配ありませんが、放置していて突然の激烈な胸痛に襲われた時は生命の危険に及ぶことがあります。このリスクはタバコ愛好者やコレステロールの高い方に特に高くなるので要注意です。
狭心症は、冠動脈が一時的に細くなって心臓の酸素不足になる状態のことです。不安定狭心症とは、何か日常の動作をしている時に数分間胸が苦しくなる状態のことをいいます。長時間持続しないのであまり気にしない人もおりますが、これを放置しますと本格的な心筋梗塞に移行しますから、早めに検査を受けておきましょう。
2)急性肺血栓症
飛行機の中で長時間エコノミー席に座っていた人がなりやすいので有名になった「エコノミークラス症候群」もこれに含まれます。長時間窮屈な姿勢でじっと動かないでいますと、下肢の静脈に血の塊り(深部静脈血栓)が出来ます。これが急に剥がれて肺に達し、肺の動脈を塞いでしまいます。詰まった肺組織は壊死して酸素を取込むことができなくなりますから、ひどい呼吸困難に陥ります。
症状としては、しばらく安静を保っていて急に立ち上がったりした時に「呼吸困難」や「胸痛」を覚えます。一般的には比較的徐々に起こるので見逃されやすいといわれます。しかし、突然強い呼吸困難か胸痛を訴えた時は、一刻も早く病院に運ばなくてはなりません。
3)不整脈
狭心症、心筋梗塞、心弁膜症などいわゆる心臓病を有する人が、突然重篤な不整脈を来たして死にいたることがあります。心電図を撮りますと、多くは「心室細動ないし心室粗動」というパターンを呈します。これは心臓が激しく痙攣して正常に血液を送れない状態を意味しています。これを防ぐためには、先に述べた狭心症、心筋梗塞の予兆を見逃さないことに尽きます。
ここで知っておいて頂きたいことは、「心室細動」があるときはAED(自動式体外除細動機)で劇的に救命できるということです。この機械は素人でも操作できますから、機会があればぜひ講習を受けておきたいものです。
4)急性大動脈解離
この病気は、突然大動脈の厚い壁が剥がれ、またそこに血液が侵入して広い範囲に「剥がれ」が及ぶ危険な状態になります。剥がれる部位によって痛みの部位は異なりますが、「突然の激しい胸部痛」や「背部痛」がきます。「棒で殴られたよう」と表現する人もいました。
厳密にいうと、予兆という予兆はありません。ただしこの病気は、高齢者で高脂血症と高血圧症を合わせ持っている患者に起こり易いことが分かっています。このような患者さんはこんな可能性もあることを認識しておいて下さい。
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