以下の記事は、福島県厚生農業協同組合連合会(JA福島厚生連)「健康アドバイス」として、過去に掲載された情報のバックナンバーです。
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農家の皆さんへ

視能訓練士の仕事について
2007年10月19日放送
坂下厚生総合病院 眼科
視能訓練士 大塚 直、谷澤 理恵

 皆さんおはようございます。私たちは、坂下厚生総合病院に勤務しております視能訓練士の大塚直と谷澤理恵です。
 皆さんは、視能訓練士という職業をご存知ですか?恐らくご存じない方が多いのではないでしょうか?今朝は視能訓練士の仕事についてお話したいと思います。視能訓練士は、1971年に制定された「視能訓練士法」に基づいて三年または四年制の学校を卒業後に受験資格をえて、国家資格を持つ眼科領域の医療技術者です。
 仕事の内容は、医師の指示の下に眼科の一般検査や両眼視機能の回復のための矯正訓練とこれに必要な検査を行います。坂下厚生総合病院には、私達二名の視能訓練士が勤務しており、各種の視機能検査や、ルーペ等の補助具を用いたリハビリ指導、斜視・弱視の訓練治療に携わっています。また、福島県厚生連の六病院には、こういった業務を行う視能訓練士が白河に二名、塙に一名、高田に一名、鹿島に一名、双葉に二名、坂下二名の計九名が勤務しています。
 当院の眼科は、医師以外に看護師二名と視能訓練士二名のスタッフがおります。視能訓練士は、看護師と違って採血、点滴、人体に影響を及ぼすような検査や緊急時の患者様への処置を行うことはありません。その代わり、看護師の行わない業務も行います。
 それは、眼の動きが障害され眼位のずれがある斜視や三歳までに1.0にみたない弱視の治療や訓練などです。眼鏡での治療が主ですが、子供の眼は、ピント調節をする力があるため薬による調節麻痺後に眼鏡を合わせます。その後も視力が回復されない時には、片眼を隠し弱い眼を使う訓練をおこないます。施設により訓練の方法は異なります。そのほか、ケガや物が二つに見える場合には、眼の動きを調べる眼球運動検査や、眼の奥にある網膜の異常を調べる網膜電位図検査をおこなっています。
当院を訪れる患者様のもっとも多い病気は、白内障と緑内障です。この病気についての説明と同時に私達が行う検査について説明致します。
 白内障は、眼の中にあるレンズの役割をしている水晶体が濁る病気です。まぶしさや眼のかすみがあり、次第に視力が低下していきます。多くは、歳とともに誰にでも起こるものですが、生まれながらのもの、他の病気が原因のもの、糖尿病によるもの、ステロイドの長期使用による白内障もあります。
治療法としては進行を遅らせる目薬をさしますが、最終的には手術が必要になります。手術にいたるまで私達が関連する検査についてお話ししましょう。
 まず、気球の絵が見える器械を覗いていただきピントの位置を確認し近視、遠視、乱視など屈折値を決定します。その後視力表を見ていただき裸眼視力と更に屈折値をもとに眼鏡のレンズを選んで矯正視力を測定します。そのほか眼に風をあてて眼の堅さを測定する眼圧検査も私たちが行います。このように私達視能訓練士は診察室に行くまでに行う様々な検査に携わっています。
 白内障の手術の場合は、以上の検査に加えて、角膜内皮細胞の検査、術後に視力が改善するか確かめる網膜視力検査、水晶体のかわりに入れる眼内レンズの度数を決めるための検査を私たち視能訓練士が行います。
 白内障手術のあとは眼の具合や時期に応じて、視力や屈折値、眼圧、術後の角膜内皮細胞の変化を随時検査していきます。手術により、見えやすくなりますが、ピント合わせができなくなります。そのためピントの位置にもよりますが、眼鏡が必要になります。術後視力が落ち着く頃に私たちが眼鏡合わせをし、医師に眼鏡処方箋を書いていただき、眼鏡屋さんで作製してもらいます。
 次に、緑内障についてお話します。緑内障は、視神経の障害により見える範囲が欠けてきて、時に失明に至ることもある病気です。40歳以上の5人に1人はかかるといわれています。緑内障にもいくつかの種類があります。まず急な眼圧上昇により充血、眼の鈍痛、眼のかすみを起こす急性緑内障発作があり、緊急で治療が必要です。多くの場合は、自覚症状がなく知らずに発症しています。眼圧に異常のない正常眼圧緑内障が日本では増えています。健康診断や人間ドックの眼底検査で視神経乳頭陥凹を指摘されたら、緑内障の疑いがありますので、眼科での精密検査が必要となります。
 緑内障の診断に必要な検査は、視力、眼圧、眼底検査に加えて、重要なのは視野検査です。眼圧は、平均が10~21mmHgといわれますが、日本人はやや低めです。眼底検査は医師が行う精密眼底検査となりますが、当科では私達も眼底写真の撮影行っております。
 次に緑内障の診断と進行具合をみるのに大事な視野検査についてお話します。視野検査には静的視野検査と動的視野検査の二種類があります。両者とも暗室にて行い検査中は私達が横について、検査の説明やうまく検査ができているか声をかけて確認をしています。静的視野検査は、初期の緑内障の発見に有効です。器械が自動的に出す指標が見えたらボタンを押していただきます。所要時間は両眼で15分程度です。結果はすぐに器械から印刷されます。異常は黒い点で表れるので患者様も理解しやすいと思います。
 動的視野検査は、私たち視能訓練士が手動で測定します。視野全体の形や暗点の大きさを表現する場合に有用なので、進行した緑内障の診断や経過観察に適しています。結果を私達が記入するため先ほどの静的視野検査より時間がかかります。
 緑内障は残念ながら、進行性で、一度失われた視野は元に戻りません。治療法は主に点眼による眼圧コントロールにより進行を極力遅くし、視野を残すことです。早期発見・早期治療が非常に大切です。そして、定期的な診察と検査が必要です。
 今回のお話で少しでも皆さんの参考になると同時に、私達のことを知っていただくよい機会となればと思っています。私たち視能訓練士は今後も皆様の目の健康のために、お力添えができればと思います。