| 結膜炎について |
| 2008年2月22日放送 双葉厚生病院 眼科医師 伊勢重之 |
| 今回は、この時期ならではのアレルギー性結膜炎について取り上げたいと思います。 一般的にアレルギーは、カビやダニ、フケ、ペットの毛などの家のホコリや特定の食べ物が原因物質となって起こりますが、花粉で起こるアレルギー反応がご存知、花粉症です。結膜は白目の表面だけではなく、まぶたの裏側まであります。眼科でうわまぶたをめくられた経験のある方もいらっしゃるのではないでしょうか。結膜は眼球と外を隔てているバリアーのような役割があるために色々な物質が溜まりやすく、アレルギー反応が起こり易い場所になっています。 2月から4月頃まではスギ花粉症が猛威をふるいますが、今年は例年以上にひどくなると予想されています。しかも、昭和40年以降はスギに代わってヒノキの植林が進んだため、最近はヒノキ花粉症も急増しています。ヒノキはスギより飛散時期は遅いのですが、短期間で大量に飛散するため、一旦軽くなった症状が4 月から5月頃に再発すればヒノキ花粉症の可能性があります。 この放送がある頃には、いわき周辺は既に花粉の飛散が始まっています。双葉・浪江町周辺は2/20ごろ、その後に白河、郡山と続き、3/1には福島市や相馬地区、会津のほぼ全域に広がります。驚くことに、いわき市では空気中1センチ四方あたりの花粉の今季総数が11361個と去年の2.9倍、全国トップレベルの飛散量になります。ちなみに福島市では4628個で、去年の1.5倍の予想です。 痒みや充血といった症状は、花粉の飛散量・暴露量に比例して強くなります。年齢別では働き盛りの30歳から44歳、次いで45歳から59歳に多く見られますが、発症が低年齢化しつつあります。最近では花粉症対策として、顔にぴったりフィットする形のマスクや、顔との隙間をカバーしているメガネやゴーグルなども市販されています。これらのグッズは症状軽減に効果的ですが、点眼療法、つまりアレルギー症状を抑える目薬も非常に有効な手段であるということを忘れてはなりません。 本来、花粉症は抗アレルギー点眼薬のみで治癒することが多いのですが、抗アレルギー薬はいわゆるステロイド薬とは異なり、長期に使用し続けても眼圧上昇や白内障といった副作用がないので、第一選択になる薬物です。抗アレルギー薬には大きく分けて2種類あります。1つは、花粉に反応した免疫細胞が作る化学伝達物質の放出を初めからブロックしてしまう、化学伝達物質遊離抑制剤です。もう1つは、免疫細胞が放出してしまったヒスタミンという、痒みに直接関係する物質が体に作用しにくくするための、抗ヒスタミン薬があります。前者の化学伝達物質遊離抑制剤は、効果発現までは多少時間がかかり効き具合はマイルドなため、比較的軽い症状の場合によく使われます。 しかしここで重要なのが初期療法です。これは、症状が出る前や花粉飛散がピークになる前から点眼を開始するというものですが、これにより、あらかじめ症状の出現を抑えるだけでなく、結果的には発症してから治療を開始するよりも症状が軽くて済むというメリットがあります。初期療法は点眼の場合、2週間くらい前から事前に開始するのが一般的です。症状が出る前から点眼を始めるのは面倒と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、毎年症状がひどくなる方には、花粉シーズンを楽に過ごして頂くためにお勧めしたい治療法です。 そして一旦発症してしまったあとは、後者の抗ヒスタミン薬が効果的です。痒みに対して比較的即効性がある薬物ですが、アレルギー症状はヒスタミン単独で起こるわけではないので万能ではありません。この抗ヒスタミン薬も、最近は初期療法で使われ始めてきています。 もしそれらの薬物でも効果が不十分だった場合は、ステロイド点眼薬も併用せざるを得なくなります。ステロイドは炎症を強力に抑える作用がある一方、感染症になり易くなったり、眼圧が上昇して緑内障の状態になったり、白内障を進行させてしまう副作用があります。特にお子さんはステロイド緑内障になり易いため、注意が必要です。 ステロイドは症状が強い時の一時的な使用に留め、改善してきたら減量したり中止しなくてはなりません。まだ点眼薬が残っているから…と漫然と使用せず、眼科での定期的な診察をお願い致します。アレルギー性結膜炎は、コンタクトレンズをしている方やドライアイ、アトピー性皮膚炎のある方で特に重症化しやすいので、併せてお近くの眼科で診てもらいましょう。ところで普通のメガネをかけても花粉を若干抑えることができるのですが、普段コンタクトレンズが手放せないという方は、できれば1日使い切りタイプにするのがよいと思います。また、点眼薬の種類によってはコンタクトレンズに対する影響も無視できませんので、眼科で御相談ください。 次に、内服薬についても少しお話しします。一般的にはアレルギー性結膜炎のみでは、抗アレルギー内服薬は必要ないとされています。内服するより薬を直接点眼した方が、眼局所での効果が出やすいからです。しかし、アレルギーそのものやアトピー性皮膚炎などでまぶたに皮膚症状が出る場合や、点眼薬でまぶたの皮膚がただれてしまう場合などでは、内服薬が必要な場合もあります。また、目と鼻の症状は合併していることが多いのですが、花粉の鼻への神経刺激によって目元も痒くなることもあると言われています。そのため、アレルギー性鼻炎を内服や点鼻薬で治療することにより、眼症状も多少改善することが期待できるかもしれません。点鼻薬の中身の成分は、基本的に点眼薬と同じものが多いようです。 今年も花粉症の季節が来たか…とウンザリしているラジオの前の皆さん、備えあれば憂い無し。これからはまずは初期療法から始めてこの季節を乗り切りましょう! |
福島県厚生農業協同組合連合会 福島県福島市飯坂町平野字三枚長1−1 TEL(024)554−3450 FAX(024)554−3483