以下の記事は、福島県厚生農業協同組合連合会(JA福島厚生連)「健康アドバイス」として、過去に掲載された情報のバックナンバーです。
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農家の皆さんへ

五月病について
2008年5月23日放送
塙厚生病院
臨床心理士 佐々木 愛

 みなさんおはようございます。五月の朝、みなさまいかがお過ごしでしょうか?
 田んぼには、早苗が風にそよぎ、初夏の訪れを告げています。
私は、塙厚生病院の神経精神科で臨床心理士をしております、佐々木愛と申します。
 5月も残すところあと少しとなりました。
入学や進級、就職などで新しい環境に入られた方は、もうその環境に慣れてきた頃かと思います。
しかし、慣れ始めた一方で、そろそろ、心身ともに疲れも出始めていませんか?

 ゴールデンウィークがあけた頃から、「なんとなく集中できない」「無気力になってしまう」「このごろイライラする」「なんだかやる気がでない」・・・・。それは、もしかしたら、五月病の注意信号かもしれません。


 今日は、この時期にかかりやすいと言われている「五月病」について、お話させていただきたいと思います。


 では、「五月病」とはどんな病気なのでしょうか?

 「五月病」とは皆さんご存知の言葉だと思いますが、実はこれは医学用語ではなく、正式な病名ではありません。
 四月は、新入生や新社会人にとって新しい環境になれるだけで精一杯ですが、少し慣れ始めた五月に、心身ともにたまっていた疲れが出てきてしまい、うつ病に似た症状が、五月の連休明けに多くみられることからつけられた名称です。

 もともとは、四月に入学してきた学生が大変な受験を乗り越え、燃え尽きるなどして、次の目標を見失い「自分が本当にやりたいことがわからない」といった無気力状態になってしまうことをさしていました。

 五月病は環境の変化が背景にあるので、同じような症状は、何も五月に限ったことではなく、人によっては、夏休みがあけた九月ごろにでることもあります。最近は、転職や異動をした中高年の方にも多くみられると言われています。

 では、五月病の症状にはどんなものがあるのでしょうか?
五月病は、心と体の両方に症状がみとめられます。


●心の症状については、
 やる気が低下して、イライラしたりします。その他には、何となく落ち込んで、何をするのも億劫になり、興味や関心が持てない無気力状態になります。その他には、勉強をしても頭に入らないなど、思考・判断力の低下があげられます。

●身体の症状については、
 疲れやすくなったり、寝た気がしなくて、朝起きられないなど、何となく調子が悪いこともあれば、食欲が低下したり、頭痛、動悸、めまいなどがあげられます。内科などで検査しても、はっきりとした異常がみつからないことが多いです。

 つぎに、五月病になりやすい性格傾向としましては、さきほど、五月病は環境の変化が背景にあるとお話ししましたが、それだけではなく、その人個人の性格傾向も大きく関係しています。まじめに物事を考えて、「こうするべきだ」と義務感の強い人は、こだわりすぎて調子を崩しやすいことがあります。

 では、どうしたら五月病は予防できるのでしょうか?五月病にならないための対策方法についてお話しします。

<一つめは、気分転換をすることです>
 悩み事は考えれば考えるほど、ふくらんでいき、かえって大きなストレスになりかねません。また、調子の悪い時に考え込んでも、いい解決策は浮かびません。むしろ行き詰ってしまいます。そこで思い切って、気分転換をしてみましょう。
 自分が得意とするものの中から、自分に合った気分転換法を見つけましょう。無理に新しいことにチャレンジすることはありません。
 趣味や特技、好きなことをして、楽しいと思える時間を増やしていきましょう。おいしいものを食べたり、体を動かしたり、自分のやれることであればなんでもかまいません。
 ただし、お酒の飲みすぎや夜更かしをしては、かえって逆効果です。あくまで規則正しい生活をおくるなかでのことです。

<二つめは、新しい目標をみつけることです>
 ささいな動機やちっぽけとも思える目的でも、生活にハリがでてきます。自分の気持ちに素直に問いかけてみましょう。

<三つめは、学校や会社の健康相談室に行きましょう>
 調子が悪くて、学校や会社に行かれないで困っているときは、学校や会社の健康相談室を尋ねてみましょう。五月病は、その環境になれようとがんばった証拠です。調子が悪いときには、自分ひとりで解決しようとせずに、専門家を尋ねてみるのもいいかもしれません。

<四つめは、クリニックや病院などの医療機関に受診しましょう>
 なかなか体調が改善しないときは、医療機関を受診しましょう。具合が悪い時は、症状を軽くするお薬を処方してくれることもあります。こちら塙厚生病院の精神科では、月~金曜日の9時~17時、第2、4土曜日の9時から12時半まで業務にあたっています。どうぞお気軽に受診してください。
 精神科は敷居が高いと思っておられるかたもいらっしゃるかもしれませんが、診察を受けて医者から現在、自分がどんな状態にあるのか説明を受けるだけでも、少しは気持ちが楽になるかもしれません。

 五月病は、新しい環境に慣れようと頑張った証拠でもあります。「なんだかいつもと違う」それは、もしかしたら、自分の中からの注意信号かもしれません。そんな時は、注意信号によく耳を傾けて、ひとやすみをして、気分転換をしてみることをおすすめします。
 農家のみなさん、田植えも終わり、ひと段落している頃かと思います。今日もさわやかな一日をおすごしください。