| 農家の皆さんおはようございます。
本日は、関節リウマチについてのお話しをさせていただきます。
関節リウマチは、体内の免疫異常により関節の痛みや腫れをおこす病気ですが、その免疫異常がなぜおこるのかは、いまだにわかっていません。決してお年寄りの病気ではなく、30歳から50歳代に発症することが多く、特に女性に多くみられます。日本では約70万人の患者さんがいるといわれています。
関節リウマチは、四肢の関節に痛みを起こすことはもちろん、発熱や貧血、間質性肺炎、心膜炎など全身の炎症をおこすことがあります。また、基本的に進行性の疾患であり、時間の経過とともに関節破壊が進んでしまうため、適切な治療をしないと10年後には約半数が寝たきりになると言われています。
関節リウマチの初期症状は漠然としていますが、そのサインを見逃さないようにすることが大切です。たとえば、朝起きたときに関節の動きが硬くこわばったようになります。とくに手や指の関節がこわばることが多いようです。この朝のこわばりが一時間以上続くときは注意が必要です。また、咳や頭痛、のどの痛みといった風邪症状が全くないのに、37℃くらいの微熱やだるさがだらだらと続くことがあります。もちろん、最も多い初期症状は関節の痛みや腫れです。複数の関節に腫れや痛みが現れます。左右対称におこることが多く、手や足の小さな関節からおこり始め、肘や肩、膝などの大きな関節に広がっていきます。
これらの関節リウマチのサインに気づいたら、早めにリウマチ科や整形外科などリウマチ専門医のいる医療機関に受診しましょう。近くにリウマチ専門医のいない場合は、かかりつけ医に相談してください。医療機関では、まず症状のある関節の腫れや痛みの具合を診察し、「リウマトイド因子」などの血液検査やレントゲン検査を行います。関節リウマチでは、発症早期に診断をつけることが難しい場合があります。そのため、従来の方法では診断がつかない場合に、「抗CCP抗体」という血液検査を行うことがあります。これは昨年の4月から使用できるようになった検査方法で、関節リウマチの発症早期から陽性になることが多く、ほかの病気で陽性になることがほとんどないため関節リウマチの早期診断に有用な検査です。
関節リウマチの治療方法には、大きくわけて「薬物療法」と「手術療法」があります。その他に、患者さんが日常生活の中で注意していただく「基本療法」や「リハビリテーション療法」も大切です。
基本療法とは、例えば「一日の中で安静にする時間をつくる」「冷えないように注意する」「喫煙を控える」などといった点を患者さんご自身が心がけることです。また、関節の痛みがあると積極的な運動を避けてしまいがちですが、炎症が落ち着いたら、筋力や関節の動く範囲を維持するためにリハビリテーションを行うことも大切です。ただし、このリハビリテーションはあくまでも今ある関節の機能を維持するためにおこなうもので、筋肉や体力をつけるために行うものではありません。
手術療法は、薬物療法などの効果がない場合に行われます。関節炎のもととなっている滑膜とよばれる組織を切除したり、破壊された関節を人口関節に置き換えるなどの手術方法があります。近年の手術材料の進歩は目覚ましく、とくに膝や股関節の人口関節に関してはかなり安定した手術成績が残せるようになっています。
薬物療法は関節リウマチ治療の中心です。以前は消炎鎮痛剤や副腎皮質ステロイドホルモン剤がよく用いられていました。これらは痛みや腫れを取る効果はありますが、関節破壊を抑制する効果はあまりありません。そのために、関節リウマチにかかると、やがて四肢の関節が大きく変形し、車いすや寝たきりの生活になってしまうことがしばしばありました。
現在の薬物療法の中心は「抗リウマチ薬」です。関節リウマチの発症に関わる免疫の働きを抑制したり関節の炎症を抑制することにより、関節破壊の進行を防ぎます。抗リウマチ薬の効果は個人差があり、効かない場合は別の抗リウマチ薬を併用するか、薬の種類を変更することになります。これらの薬を効果的に用いることにより、まったく症状がなく検査値でも異常がみられない「寛解」という状態にまで達する患者さんが増えています。世界的によく使われている抗リウマチ薬のメトトレキサートを発症早期から用いた場合、約25%の患者さんが寛解という状態に至っているというデータもあります。
さらに最近では「サイトカイン阻害薬」と呼ばれる新しいタイプの抗リウマチ薬が次々と開発され、使用されています。これは、関節に炎症を起こす「炎症性サイトカイン」の働きを抑える薬です。サイトカイン阻害薬の治療効果は非常に高く、その中のひとつであるレミケードというお薬を発症後一年以内に使用開始した場合、67%の患者さんが寛解に至ったと報告されています。日本では、現在4種類のサイトカイン阻害薬が使用可能となっております。当院でもこの4種類がすべて使用可能で、すばらしい効果をあげています。
従来は、関節リウマチによる関節破壊はゆっくりと長い年月をかけて進むと考えられていました。しかし、近年、関節破壊は発症後1年から2年ほどで急激に進むことがわかってきました。そのため、現在では関節リウマチの診断後、抗リウマチ薬を中心とした治療を三ヶ月以内に開始することが推奨されています。なかでもサイトカイン阻害薬を早期から用いることによって、関節破壊をほぼ完全に抑え込めることもわかってきました。
しかし、そのサイトカイン阻害薬も万能ではなく、日本人の1~2割には効果がありません。また、免疫機能の一部を抑えるために細菌やウイルスに対する抵抗力が低下します。とくに結核や肺炎には要注意です。さらに薬の値段が高いのも大きな問題です。医療費が3割負担の場合、一年間に数十万円の薬剤費用がかかります。そのため、高額療養費の払い戻し制度や身体障害者福祉制度などの各種制度を用いることにより、自己負担額を減らすことが大切です。
難病と言われてきた関節リウマチですが、現在の治療方法を持ってすれば、決して悲観的になる必要はありません。サイトカイン阻害薬は関節破壊の進行を抑え日常生活の困難な動作を減らすなどの優れた効果があります。また、手術の技術も進歩しています。「ひとりで歩きたい」「旅行をしたい」「外にでて働きたい」「もとの仕事にもどりたい」など、具体的な目標を立ててみましょう。その目標にかなった一人一人にもっとも適した治療方法をうまくさがしていくことが、我々リウマチ専門医の仕事となります。目標ができたならば、ぜひ一度ご相談いただければ力になれるのではないかと考えています。
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