以下の記事は、福島県厚生農業協同組合連合会(JA福島厚生連)「健康アドバイス」として、過去に掲載された情報のバックナンバーです。
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農家の皆さんへ

メタボリック症候群と運動
2008年11月21日放送
鹿島厚生病院
リハビリテーション科 横谷 直俊

 「メタボリック症候群」という言葉もここ数年で全国的に広まり、あらゆる場所や会話の中で「メタボ」という単語が普通に出てくるようになりました。そして今年(2008年)の4月から国民健康保険、組合健康保険などの健康保険に加入している40歳から74歳までの方を対象に「メタボリック症候群」に着目した「特定健康診査」の実施と、基準対象者への「特定保健指導」の実施が義務付けられました。
 しかし、意外と「メタボリック症候群」という言葉は知っていてもその基準についてはよく知らないという人もいますのでここで簡単に説明したいと思います。
 いわゆる「メタボリック症候群」と診断されるのは、ウエストサイズが男性なら85cm以上、女性なら90cm以上あり、それに加えて「高脂血症」「高血圧」「高血糖」という3つの生活習慣病のうち2つ以上が該当していると診断された方々のことを言います。平成18年に発表された、厚生労働省による「平成16年度 国民健康・栄養調査」報告書では、男性では、30歳代の20%、40歳代では40%以上、女性では、30歳代の3%、40歳代では10%以上がメタボリック症候群およびその予備軍であるという結果が出ています。また、人数にすると「メタボリック症候群」に該当する、またはその予備軍である人が約2000万人いるといわれ、日本の人口が約1億3000万人ですから約1/6が該当するという驚くべき数値になります。
 「メタボリック症候群」となると動脈硬化になりやすく、血液が血管内で詰まりやすくなります。それにより、脳梗塞や心筋梗塞などの恐ろしい病気を発症しやすくなります。
 そして、その原因となる1つが内臓脂肪です。内臓脂肪というのはその名の通り内臓の周りに脂肪が溜まる肥満であり、お腹がぽっこり出た体型から「リンゴ型肥満」とも呼ばれています。この内臓の周りの脂肪は、比較的溜まりやすいですが食事の工夫や運動をしたりすることによって減りやすいと言われています。
 まず食事では夕食を腹八分目にすることです。夜は寝るだけですので、活動用のエネルギーを確保する必要はあまりありません。そして夕食の量を控えれば翌朝はお腹が空きますから朝食がおいしくしっかりと摂れます。朝食で得たエネルギーは一日の活動のために使われるので、脂肪に変わることはあまりないようです。
 次に運動ですが、運動をせずにダイエットに取り組んでも脂肪は減少します。しかし、運動をせずにダイエットに取り組むと筋肉量が減少し、基礎代謝の低下をもたらします。(基礎代謝とは、運動などをしないでじっとしているときの呼吸や体温の維持などに使用されるエネルギーのことであり、人間が生きていくために体内で行われる活動のことです。)基礎代謝が減るということは、これまでと同じ量の食事をしてもカロリーが減りにくくなり、結果として痩せにくい身体となってしまうため、やはり、運動を取り入れ内臓脂肪が溜まりにくい身体を作っていくことが「メタボリック症候群」予防に繋がります。
 運動をするといっても、いきなりランニングやジョギングなどの激しい運動をしても辛いですし、なにより身体に良くありません。まずはウォーキングから始めてみましょう。ウォーキングでの歩き始めはエネルギー源として体内の糖分が使われるので朝や夕方に20分続けて歩くようにすれば脂肪も燃焼しやすくなります。また、ウォーキングも同じ道順ばかり歩くのではなく「今日はこの道を行こう」「今度はこっちの道に行ってみようかな」と、道順を変えながら歩けば風景も変わり毎回違った気分でウォーキングが楽しめると思いますし、いままで気付かなかった風景などの新しい発見があるかもしれません。
 また、運動は広い意味で捉えると、仕事に行く徒歩や家事など、日常生活での身体活動も含まれます。仕事に行く時や買い物に行く時などの歩行時に普段よりペースを上げて歩く、エレベーターやエスカレーターの利用を控えて階段を利用する、家でも階段の昇り降りなどを意識的にやるといった軽めの運動でも毎日継続すれば、体重も落ち、「メタボリック症候群」予防に効果があります。そしてウォーキングなどで下半身の筋肉を鍛えることによって、膝関節の負担を軽減し、膝痛やつまずき・転倒などの予防にもなります。
 肩肘を張って「運動するぞ!」と意気込むのではなく、気張らずに自分の体調や体力と相談しながら無理のない運動を行ないましょう。