以下の記事は、福島県厚生農業協同組合連合会(JA福島厚生連)「健康アドバイス」として、過去に掲載された情報のバックナンバーです。
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農家の皆さんへ

日本の乳がんの現状と乳がん検診の重要性
2008年12月19日放送
塙厚生病院
放射線科 幕田 節男

「農家のみなさんおはようございます。JA厚生連塙厚生病院で放射線技師をしております幕田です。
よろしくお願いします。本日は日本での乳がんの特徴と、乳がん検診の重要性についてお話させていただきます。
 日本の乳がん検診は、長い間医師による視触診によって行われてきました。欧米では視触診に加え乳房のX線写真であるマンモグラフィを用いて行われており、乳がんにかかる方は増加していますが、乳がんによる死亡率は下がってきています。このことは、視触診では見つけられない早期の乳がんをマンモグラフィで見つけることができるということです。日本でも平成12年に厚生労働省が各市町村に対し、乳がん検診は視触診にマンモグラフィを加える併用検診にするよう通達を行い、実施されるようになりました。しかし、日本での乳がん検診の受診率は10数%程度だと言われています。欧米諸国での受診率は70%を超えており、死亡者数は年々減少しているにもかかわらず、日本が増加の一途をたどっているのは、乳がん検診の受診率の低さにあるとされています。つまり医療側がいくら努力しても、受診者の意識を変えてもらい受診率を上げなくては、乳がんの死亡率を下げる事は出来ないと言う事です。当院でも市町村のマンモグラフィ検診を行っていますが、初めて受診した方にいままで受けなかった理由を聞いてみたところ、1)知らなかった 2)何も症状が無いので私には関係ないと思っていた 3)はずかしいという答えが返ってきました。日本での乳がんは、壮年期女性のがん死亡の1位になっており、まだまだ子育てに追われている40代後半に一番多いと言う事が特徴になっています。女性の20人に1人が乳がんにかかると言われており、発症された方の30%、毎年1万人が亡くなっているのが現状です。乳がんになる方が年々増加している原因はホルモンに関係していると言われていますが、そのホルモンの分泌を促す要因としては、タンパク質や脂肪を摂りすぎる欧米型の食事や、その影響である肥満、生活習慣、ストレスや喫煙・環境ホルモンによる活性酸素の増加などが挙げられます。以上のことから、1)年齢40歳以上の方 2)子供を産んでいない方 3)初産年齢30歳以上の方 4)初潮が早く、閉経が遅い方 5)乳がん家系の方 6)肥満等により危険率が増加すると言われています。社会での関心も徐々に高まっており、アメリカ発祥の乳がん啓発活動のシンボルマークであるピンクリボンによって、乳がんに対する正しい認識と健診に対する意識を高めてもらえるように、東京タワーをピンクにライトアップするといった、ピンクリボン運動イベントが各地でおこなわれるようになりました。テレビでも「マンモグラフィ健診を受けましょう」というCMが流されてはいますが、患者さんが知らないことによる損失を受けないよう、また意識改革をしてもらう為にもまだまだ広報活動を拡大し情報を伝えていくことが大切なんだと思います。がん対策基本法が成立し最終目標であるがん死亡率20%減少を達成するには、がん検診受診率の向上とがん検診の精度をたもつ必要があります。精度を維持する為、委員会が立ち上げられました。マンモグラフィにたずさわる医師・技師に試験が行われるようになり、マンモグラフィ写真の判定は試験を受け認定された医師が行い、撮影する技師は撮影技術・精度管理に関する基本講習プログラムを受講しています。福島県には会員500名を数える福島県放射線技師会があります。その委員会のひとつである乳房撮影研究会が中心となり、講習会の開催を行い、技師全体の技術向上に努めています。次に乳房撮影はどのようにおこなわれているのか説明したいと思います。乳がん検診は、医師による視触診にマンモグラフィと呼ばれるX線写真を組み合わせて行うことが基本となっています。自治体によっては超音波検査も組み合わせて行っているところもあるようです。それではどのように撮影しているのでしょうか?まず専用のガウンに着替えていただきますが、撮影の際には乳房部分のみ出していただきます。これは着ている物が写真上に写らないようにするためです。次に乳房を撮影台の上に乗せていただき、技師が手で乳腺を広げるように伸ばしながら、プラスチックの板で圧迫し撮影を行います。左右の乳房を2枚ずつ縦方向と斜め方向から4枚撮影しますが、斜め方向のみの場合もあります。対称的に撮影することにより、左右を比べながら異常がないかを判断していきます。検査時間は10分ほどで終了します。受診者の方から、「マンモグラフィって痛い検査だよね」と言う言葉を良くお聞きします。乳房の圧迫時に痛みを感じているものと思いますが、圧迫には次のような意味があります。1)薄くした方がX線の量が少なくてすみます。2)乳房を薄くすると乳房内の乳腺の重なりが少なくなり、異常を見つけやすくなります。3)動きによる写真のブレやボケが無くなります。これらは全て良い写真をとることに繋がっています。痛みの限界を超えてまで強く圧迫することはありませんので、我慢できる範囲で結構ですから撮影にご協力していただければと思います。以上の説明から、それほど大変な検査ではないと思われたのではないでしょうか。また乳がんの現状をお知りになり、他人事では無いと思われたのではないでしょうか。乳がんへの関心も受診率も低く、年々死亡率は増えています。乳がんの発生は20歳過ぎから認められ、40歳代後半から50歳代前半にピークをむかえます。働き盛りの女性がいちばん多くかかる癌が、乳がんであると言うことができます。乳がんにかかる方が増加している中で早期発見のチャンスを逃さないように、定期的に乳がん検診を受診する事が大切です。いくら治療技術が進んだとはいえ、病気が進んでしまってから見つけたのではその後の治療が難しくなってしまいます。早期に発見し治療すれば、乳がんはほとんど治るがんです。家庭の太陽であるお母さんが元気でなければ家庭は暗くなってしまいます。いつまでも家庭を明るく照らし続けていくためにも、自分自身の健康に関心を持ち他人事と思うことなく、意識を変えていただきたいと思います。1年に1度は健康診断を受診しましょう。2年に1度はマンモグラフィ検診を受けましょう。乳がん検診に対する厚生労働省の指針は、原則として40歳以上の女性に対し、2年に1度のマンモグラフィ検診としています。本日は乳がん検診の現状と乳房撮影のあらましについて説明させていただきました。これで終わりにいたします。