
| 網膜静脈閉塞症について |
2009年2月20日放送
双葉厚生病院
眼科医師 薮内 由美子
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今回は網膜静脈閉塞症という病気を取り上げたいと思います。
網膜静脈閉塞症は糖尿病網膜症ほどは知られていませんが眼底出血の原因の多くがこれによって起こっています。病態は文字通り網膜の静脈が閉塞し血管が詰まって流れなくなる病気です。ではこの病気が具体的にはどんな病気なのか説明したいと思います。
網膜静脈閉塞症は、比較的高年齢の50歳以上の方に起きやすく特に高血圧のある入に多く見られます。これは高血圧などによる動脈硬化が原因になるのです。網膜の血管の視神経乳頭部付近や網膜内の勅静脈の交叉部では勅諭と静脈が外膜を共有するため硬化した動脈が静脈を圧抑するので網膜の静脈に血栓ができやすくなりこの血栓が網膜の静脈につまることによるのです。糖尿病などの血液の粘度が増す病気でも発症しやすいといわれています。50歳以下の若い人にも見られることかおりますが原因が血管炎によるものが多いです。静脈が詰まるとそこまで流れてきた静脈血が血管よりあふれ網膜出血となったり、網膜の浮腫が起ったりします。網膜は眼球の内側の膜でカメラならフィルムにあたる部分ですからこれによって網膜は障害を受け出血が起こった部分や、浮腫の起こった部分の視力低下や視野欠損が起こります。
特に黄斑部(ここは網膜のほぼ中心にあり視力の最もでる部分ですが)ここに出血や浮腫が起こると視力は極端に低下します。逆に周辺部で詰まった場合には気付かれない場合もあります。このように網膜静脈閉塞症は起きた場所によりだいぶ病状が異なります。
部位的には網膜の静脈は網膜全体に枝分かれして広がっていますが最後は眼球後方にある視神経乳頭部に集合しここから外にでてゆくのですがこの乳頭部で閉塞した場合はここを中心に放射状に出血が広がり網膜中心静脈閉塞症といわれ、静脈の枝分かれの部分で閉塞したものを網膜中心静脈分枝閉塞症といいます。網膜中心静脈閉塞症の方がより高度に広い範囲が障害されます。
どちらの場合も眼底の出血自体はゆっくりと時間をかけて引いていきます。出血が引いた後、最終的にどの程度視力が回復するかは視力にとって一番大切な、黄斑の障害の程度によるのです。また発症後3か月以上経ち慢性期に入ると出血した部位をはじめとして眼球のいろいろな場所に合併症が生じてきます。まず閉塞部位より末梢側は血管のない領域となりますが、この領域が広いと、新たな血管の新生を促す物質がここより出され、新生血管が作られます。ただこの新生血管は大変もろく容易に眼球内に出血を起こします。これが硝子体出血です。これが起こると急に視力が低下してものが見えなくなります。次にさきほど述べた新生血管は眼球内を満たしている硝子体中に伸びます。そしてこの血管は網膜と硝子体を癒着させます。硝子体が収縮すると癒着した網膜が引っ張られるようになりますが血管が閉塞した網膜はもろくなっておりひっぱられると容易に孔があき剥離に進展します。気付かず放っておくとこのような状態が起こることがあります。
次に治療ですが静脈閉塞が起きた直後の急性期にはあまり強い治療は行わず網膜循環改善薬などで様子をみます。完全に閉塞した静脈が再疎通することはまれですが、閉塞が不完全な場合には影響を少なくできます。静脈に完全な閉塞が生じている場合にはその部分にさきほど述べたような新生血管が生じないようにするためレーザー光凝固術が施されます。黄斑に淳腫が生じ長期遷延する場合には黄斑淳腫に対する羊術もありますが詳しくは専門医にご相談ください。このように網膜静脈閉塞症は、眼球内に多くの影響を及ぼします。閉塞の部位や程度によっては患者さん本人がまったく気付がないこともありますし高度の視力障害にいたることもあります。
幸いにして視力が急性期を過ぎ一旦回復した場合でも油断しているとさきほど述べたように閉塞した血管野に新しい血管ができここから眼球内への出血である硝子体出血を起こしたり、閉塞した血菅野はもろくなっていて網膜剥離などの合併症を起こしやすくなり取り返しのつかない事態をまねいてしまうこともあります。ですから発症後は、眼科検査を定期的に受けるようにしましょう。また再度の閉塞をきたしたり、対側の眼に発症することもあるので、視力がさほど回復しなかった場合でも、またもう片方の眼を守るためにも網膜静脈閉塞症の原因になっている高血圧などの内科的な治療も受けるようにしましょう。
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