
| お薬の使用期限と保管方法について |
2010年1月22日放送
白河厚生総合病院
薬剤師 芳賀慎一
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始めに
最近、病院等で処方される患者さんの処方日数が、30日分や60日分と長くなってきました。それに伴って、処方されたお薬の「使用期限切れ」や「間違った保管方法による品質の変化」などが問題になってきています。お薬は化学物質なので、光・温度・湿度に影響を受けやすく、時間とともに品質が変わってしまう可能性があるのです。
患者さんから、たびたび「前にもらった薬があるのですが、使用してもいいですか?」という質問を受けることがありますが、はっきり「使用しても大丈夫です。」と言えない場合があります。それは、私たちが食べている食べ物に、必ず賞味期限があるように、お薬にも使用期限があるので注意が必要ですし、病状も変わっているかもしれないからです。そして、使用期限内であっても、きちんとした保管方法を守っていない為に、変質してしまっている場合があるのです。そのことについてすこし詳しく述べたいと思います。
使用期限及び保管方法について
医薬品には使用期限が記載されているものと、そうでないものがあります。ただし、開封してしまった場合の薬品の品質は、その後の保管状態に左右されますから、ここで言う「使用期限」とは開封しない状態での事です。
使用期限が記載されているものは良いのですが、記載されていないものはどうしたらよいでしょうか。市販薬の場合は、保存状態が良い状態で開封していなければ3年を目安にすると良いと思いますが、使用期限の切れた薬や、いつ開封したかわからない薬は絶対に使用しないでください。
飲み薬の場合、開封した後は高温・多湿・直射日光を避け、15℃~25℃くらいの涼しいところを選んで保管し、なるべく3カ月以内に使用されたほうがいいと思います。なお、小さい子供さんがいる場合は、子供の手が届かないところを選んでください。いつ購入したかわからない薬は、何度もお話しますが、変質している場合があるので使用しないでください。忘れ防止対策として、瓶のふたなどに購入年月日や開封年月日を記入しておくのが良い方法だと思います。
ドラッグストアなどで購入した薬は、箱などに使用期限が記載されているので安心なのですが、病院や診療所で処方された薬には、使用期限の記載がほとんどありません。なぜでしょうか?その理由は、基本的に処方薬は、指定された日数で使い切る事を想定して調剤されているからです。医師が患者さんを診察して、その結果いちばんよいと思われる処方日数をその都度決めています。特別な指示がない限り、処方を受けた日から医師の指示通り使用して使い切る日までが、使用期限と考えて下さい。残った薬は処分するか、処方医に相談してください。
最後に、お薬を開封した後の、使用期限の「目安」と「注意点」を述べたいと思います。
・錠剤や粉薬は、吸湿性の高いものがあるので、乾燥剤を入れた薬箱や缶に入れて冷暗所で保管してください。そして、定期的に整理して古くなった薬は処分してください。市販薬は開封後、半年~1年くらいを目安にするといいと思います。
・点眼薬は、特に記載がなければ、開封後1~2週間が目安です。
・耳につける点耳薬は、基本的に今述べた点眼薬と同じで良いと思います。ただし冷蔵庫に保存していた場合、冷蔵庫から出して冷たいまま耳にさすと、「めまい」を起こすことがあるので、手で体温くらいに温めてから使用してください。
・原液の液剤は、約2週間以内を目安に使用してください。
・水で薄めた液剤は、処方日より約1週間から10日以内に使用してください。残ったものは、処分してください。また、水薬のカップや瓶の口などは細菌に汚染されやすいので常にきれいにしてください。
・坐薬は、基本的に冷蔵庫で保管してください。未開封の場合は1年以内が目安ですが、一度溶けてしまった場合は使用しないでください。開封後はなるべくすぐに使用してください。
・軟膏剤やクリーム剤などは、容器に使用期限が書いてあるものが多いので、容器に開封日を書いておくと良いと思います。開封後は、ふたをしっかり締め冷暗所で保管した場合、約1年使用できると思います。
・シップなどは、開封後封をしないでいると、乾燥して貼りつきが悪くなることがあります。
・糖尿病の患者さんに処方されるインスリン注射薬は、未開封の場合は凍結を避け冷蔵庫に保管して下さい。使用開始してからは、室温保存で約4週間から6週間を目安にするとよいと思います。また、温度変化の激しい車の中には絶対放置しないでください。車の中はかなり温度が高くなり保存条件が悪いので、インスリンに限らず、車の中に何日も放置した薬は、使用期限内であっても使用しないでください。
以上、いくつか例をあげましたが、あくまでもこれは目安です。保存条件によって、薬の状態は大きく変化しますので、管理はきちんとしてください。わからないときは、かかりつけの医師や薬剤師に必ず確認するようにしましょう。
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