以下の記事は、福島県厚生農業協同組合連合会(JA福島厚生連)「健康アドバイス」として、過去に掲載された情報のバックナンバーです。
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農家の皆さんへ

「糖尿病について」
2010年8月20日放送
双葉厚生病院
内科 菅谷芳幸

 みなさん、おはようございます。双葉厚生病院内科の菅谷です。今日は糖尿病についてお話しします。
 糖尿病とは血液中の糖分、すなわち血糖が高くなってしまう病気です。血糖を下げるためにインスリンというホルモンが膵臓で作られていますが、このインスリンの作用不足のために血糖が高くなると糖尿病になってしまいます。現在、日本の糖尿病患者は890万人と言われており、糖尿病の可能性を否定できない方も含めると2210万人になります。これは日本の全人口の6分の1にあたり、糖尿病がいかに多い病気かが分かります。
 糖尿病は血糖がかなり高くならなければ症状がないため、皆さん糖尿病を軽く考えてしまいがちです。しかし、糖尿病は放っておくと様々な合併症を引き起こす非常に怖い病気です。糖尿病治療の最大の目標は合併症の予防であり、食事や運動または薬によって血糖を下げるのはそのためです。
 糖尿病の合併症では糖尿病網膜症、糖尿病性腎症、糖尿病神経障害の3つが有名です。それでは、これからそれぞれの合併症について説明していきます。
 まずは糖尿病網膜症です。糖尿病網膜症とは糖尿病により眼の網膜が傷害される合併症で、失明の主な原因の一つです。この病気の怖いところは、自覚症状がないまま病気が進行することです。そして、ある日突然、「昨日までは見えていたのに今日になって急に目が見えなくなった」ということもしばしばあります。現在、糖尿病網膜症が原因で視覚障害の認定を受けている方は、全ての視覚障害者の5分の1にあたり、年間3000人もいます。このような方達は普通に仕事もできなくなり、社会復帰も困難となり、家族親戚の負担も大きくなっているというのが現状です。
 次に糖尿病性腎症について説明します。これは糖尿病により腎臓が傷害される病気です。腎臓では血液の老化物を濾過して、尿として排泄しています。腎臓の障害が進行していくと、最終的には末期腎不全となり、尿が出なくなります。そうなると人工透析が必要になり、透析なしでは生きてゆけなくなります。近年、糖尿病による透析患者はどんどん増えています。現在は透析導入の原因として糖尿病がトップとなっており、全透析患者の約3割を占めています。透析にかかる時間は1回につき4時間で、これを週3回行わなければなりません。そうなると、今まで通りの仕事ができなくなり、結局現在の仕事を辞めざるを得ない方が多いようです。
 最後に糖尿病神経障害について説明します。これは糖尿病により神経が傷害される病気で手足のしびれや痛み、感覚の麻痺、下痢や便秘、立ちくらみ、尿が勢いよく出ないなど様々な症状があります。眼や腎臓の合併症に比べるとそれほど重大ではないように思えるかもしれませんが、神経障害が進行すると皮膚の激痛で服が着れなかったりすることもあります。逆に手足の感覚が麻痺している場合は、足の裏にとげが刺さったり怪我をしたことに気付かず、そのまま放ってしまい、足壊疽という状態になり、足を切断しなければならない場合もあります。
 今述べた糖尿病網膜症、糖尿病性腎症、糖尿病神経障害が有名な糖尿病の合併症です。その他にも動脈硬化により脳梗塞や心筋梗塞の危険性が高くなると言われており、糖尿病の合併症により生活の質はかなり悪化してしまいます。
 糖尿病治療の最大の目標はこれらの合併症の予防です。合併症を予防するためには血糖をしっかりコントロールしなければなりません。糖尿病は合併症の怖い病気ではありますが、血糖さえしっかりコントロールされていれば合併症は起こりません。既に合併症のある方は、合併症を改善することはできませんが、血糖をコントロールすることで合併症の進行を防ぐことができます。
 血糖を良くするためにまず必要なことは、食事のカロリー制限と運動です。食事を取りすぎている方や運動不足の方は、まず、生活習慣の改善が必要です。しかし、既に糖尿病になっている方は食事と運動だけでは不十分で、糖尿病のお薬が必要な場合が少なくありません。ですので、健診などで糖尿病が疑われた場合は、ちゃんと医療機関を受診し医師の診察を受けるようにしてください。また、眼の合併症に関しては失明する直前まで症状がないことも多いので、糖尿病の方は定期的に眼科を受診することを強くおすすめします。
 以上、本日は糖尿病について合併症を中心にお話しました。ご清聴ありがとうございました。