以下の記事は、福島県厚生農業協同組合連合会(JA福島厚生連)「健康アドバイス」として、過去に掲載された情報のバックナンバーです。
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農家の皆さんへ

動脈硬化について
2010年10月22日放送
坂下厚生総合病院
板垣 ひろみ

 皆さんおはようございます。私は坂下厚生総合病院検査科の板垣ひろみと申します。今年の夏は例年にない猛暑で乗り切るのも大変でしたね。あんなに暑かった夏も過ぎ、気がつけば実りの秋。稲刈りも終わり農作業も一段落、ほっと一息をついた頃でしょうか?
 さて、皆さんは最近テレビコマーシャルでも話題の動脈硬化をご存知でしょうか?動脈硬化という言葉は知っていても、実際に動脈硬化ってどんな状態?自分は大丈夫かしら?どんな検査をすればいいの?などと疑問に思っている方も多いと思います。今回は検査技師の立場から検査法を中心にお話をしたいと思います。
 動脈は酸素や栄養素を多く含んだ血液を体のすみずみまで運ぶ重要な役割を果たしています。その為、簡単に詰まったり、破けたりしない強さとしなやかさを兼ね備えています。この重要な動脈が硬くなる事を動脈硬化といいます。動脈は硬くなるともろくなり、詰まったり、破れやすくなったりします。もし、心臓や脳の動脈がその様な状態になったら命に関わる事態となってしまいます。やっかいな事に動脈硬化自体には自覚症状はありません。早期発見が難しく、最悪の場合合併症の発症により発見される事も少なくありません。その為、静かな殺し屋とも呼ばれます。
 では、動脈硬化を発見するにはどのような検査法があるのでしょうか ? 代表的なものをいくつかお話したいと思います。まず、ひとつめは血圧脈波検査です。この検査では、両手上腕、両足首の血圧を同時に測定します。この時、心電図や心音図(心臓の音)も一緒に記録します。検査に痛みは殆んどありませんが、血圧が高い方は、手足に圧が強くかかる為に圧迫感を感じる事があります。この検査では血管の硬さと血管の狭窄の程度を知ることができます。血管が細く狭くなることを狭窄といいます。血管の硬さはba PWVやCAVI(キャビー)という数値で表示されます。ともに血管が硬い程高値になり年齢とともに増加します。数値が大きくなればなるほど脳出血や脳梗塞、狭心症や心筋梗塞などの病気を発症する危険度が高くなります。血管の狭窄はABIという数値で表示されます。足の動脈が詰まってくる閉塞性動脈硬化という病気では血流が悪くなりABI値は低くなります。なお、これらの検査でわかるのは動脈硬化の有無と大まかな場所であり、治療に必要なすべての情報が得られるという訳ではないので、さらに別の検査法と合わせて場所や程度を綿密にさぐる必要があります。
 次に、頚動脈エコー検査です。頚動脈は心臓から脳に血液を運ぶ血管です。動脈の硬化は虚血性心疾患、脳血管疾患の発症に影響しますが、そのひとつの指標として頚動脈の状態を直接超音波で観察する事ができます。この検査では頚動脈が通っている首にゼリーを塗り、プローブをあてて視覚的に動脈硬化の程度を診断します。画像で簡単に確認できる為、年月を追って動脈硬化の進み具合を知ることもできます。全身の動脈硬化の指標として評価に用いる事もできます。検査による被爆や痛みはありません。
 次に、心電図検査です。心臓の筋肉から発せられる微弱な電気を測定する心電図は、冠動脈の動脈硬化を発見する検査としても用いることができます。冠動脈に動脈硬化が発生すると狭心症や心筋梗塞を引き起こします。これらの疾患は心電図をとると特有の結果をだす為一目瞭然で知る事ができます。
 動脈硬化は自覚症状がないままに進行する為に早期発見が難しいとお話しましたが、早期発見をする為には定期的な健康診断が欠かせません。でも、せっかく受けても医師の説明がないとどこが悪いのか、どんな病気の疑いがあるのかわからないこともあるのではないでしょうか?ここで動脈硬化に関わりのある項目についてお話したいとおもいます。
 まずは、血圧です。血圧は心臓が血液を押し出す強さを意味し、動脈硬化などの病気の原因にも関わりがあります。高血圧の状態が長く続くと血管内部に損傷が起こり動脈硬化の発病リスクが高くなります。
次はコレステロール値です。健診では総コレステロール値(TC)、善玉コレステロール値(HDL)、悪玉コレステロール値(LDL)が扱われます。コレステロールは体に良くないと考えがちですが体の細胞をつくる重要な成分であり、増えすぎる事が問題となります。LDLにはコレステロールを全身に運ぶという重要な役割がありますが、増えすぎると血管の壁を傷つけたりします。一方、HDLは血管内の余分なコレステロールを肝臓に戻す役割を果たします。
 次に中性脂肪です。脂肪細胞に蓄えられている重要なエネルギー源です。 コレステロールも中性脂肪も基準値より多いと肥満の原因となり動脈硬化の原因となります。
血糖値は脳や筋肉のエネルギー源となるブドウ糖の血中濃度をあらわします。高すぎると血管が損傷をうけ動脈硬化の原因となります。
 尿酸は、蛋白質の消化吸収過程における最終生成物であり、抗酸化剤としての働きをもっていますが一定量をこえると通風や動脈硬化の原因となります。
 動脈硬化の進行をおさえるには生活習慣病のある方はその治療が必要です。

 適度な運動を継続的に行うことで善玉コレステロールがふえる事がわかっています。食べすぎに注意し、バランスの良い食事をとる。動脈硬化の危険因子の改善、合併症の予防のために治療薬を服用する。このような事も動脈硬化の進行をおさえ、予防にも効果的だといわれています。早期発見に勝る予防はないと思います。動脈硬化が気になる方はぜひ来院していただき検査をすることをお勧めします。
 天高く馬肥ゆる秋。美味しい食べ物が多い季節ではありますが、食べすぎには注意し、健康的におすごし下さい。