以下の記事は、福島県厚生農業協同組合連合会(JA福島厚生連)「健康アドバイス」として、過去に掲載された情報のバックナンバーです。
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農家の皆さんへ

薬のイロハ
2010年11月29日放送
鹿島厚生病院
薬剤科長 高野 智正

おはようございます。
 今日、担当いたしますのは、鹿島厚生病院 薬剤科の高野智正と申します。
 健康は人から与えられるものではありません。自分で、家庭で、あるいは地域社会の中で積極的につくりだしていくものです。普段から病気にならないように、あるいは今の健康をさらに高めるためにも、日頃の自分自身の健康状態を観察する目を養い、健康づくりを心がけることが大切です。
 今日は、薬のイロハについてお話し致します。
 病気になって薬を飲む時、私達はその効き目のことで頭がいっぱいになり、薬を正しく飲むことをつい忘れがちになります。しかし薬の実力、つまり効果を十分発揮させるために、また不必要な副作用を出さないためにも、正しい薬の飲み方を心がけなければなりません。薬は、かけがえのない健康を守ります。この薬を十分に活かすためにも、“薬との上手な付き合い方”を身につけましょう。

1. 薬は水または、ぬるま湯で飲みましょう。
 
薬の効果は、規則正しく決められた量を飲んで、初めて現れます。そこで、一般的な薬の正しい飲み方について説明します。薬を飲む時は、多めの水(約コップいっぱい)で飲んで下さい。少ない水で飲むと薬が溶けにくく、薬の効果が十分に現れないばかりか、食道にくっついて、その所が刺激され、潰瘍ができることもあります。お茶や牛乳で飲むと、薬によっては薬の成分と化合し、効果が少なくなるものもありますから、コップ一杯の水または、ぬるま湯で飲むようにしましょう。

2. 薬は指示された通りに服用しましょう。
 
薬を飲む時は、一般的に吸収の面からみると空腹時が最もよいのですが、副作用として胃腸障害が起こりやすくなります。食後三十分に飲む方法は、食物が消化器を保護するので副作用が少なく、また食事と結びついていれば、人は忘れないで飲むことができます。
 したがって、大部分の薬は、食後三十分に飲む方法が多くなっていますが、多少のずれはかまいません。前回飲み忘れたからといって、二回分一度に飲むと過量になり、思わぬ副作用が現れることがあるので、二回分一度に飲んではいけません。そのため、一回ずつ飲み忘れのないように各自の注意が必要です。しかし、飲み忘れたらすぐに飲んで下さい。その場合、次に飲むまでは最低四時間以上の間隔をおくことが必要ですので、次回が間近だったら一回抜いても仕方ありませんが、常に指示通り飲むことが必要です。薬の飲み方で「食前」「食後」「食間」などの飲む時間の違いは、薬の作用が最も効果的に現れるように、各々の薬によって異なっています。指示通り規則正しく飲むように自分で工夫することが大切です。「食前」とは、食事をする三十分くらい前のことです。食欲促進薬や鎮吐薬、漢方薬などは、食事によって吸収、低下などの影響を受けやすいため食前に飲みます。「食後」とは、食事をして三十分くらい後のことです。「食間」とは、食事をして二時間くらい後の空腹時のことです。「時間ごと服用」とは、抗生物質や化学療法剤などが身体の中で、一定の濃度を維持するために飲む方法です。「頓服」とは、症状(頭痛・発熱など)があったとき、また必要なときだけ一回飲むことです。

3. 薬の保存のしかた。
 
薬は直射日光、湿度を避けて、日の当たらない缶の中などに入れ、子供の手の届かない涼しい場所に保存しましょう。(凍らせてはだめ)
 次に薬の種類についてお話いたします。
 「錠剤」とは、表面を白糖などの剤皮で覆った糖衣錠などと剤皮のない裸錠に分けられます。服用が簡単でよく用いられますが、幼児や老人、寝たままの患者の服用には、向きません。
 「カプセル剤」とは、味や臭いが悪かったり、刺激性が強い薬剤をゼラチンでできたカプセルに入れたもので、硬カプセルと軟カプセルがあります。
 錠剤と同じような利点と欠点を有しています。
 粉薬とは、粒の小さいものから散剤・細粒剤・顆粒剤と呼ばれています。
 乳幼児が服用を嫌がる場合は、少量の液に溶かしてスポイトで服用させたり、砂糖とともに糊状に練って頬の内側に塗り付けてもよいでしょう。
 シロップ剤・ドライシロップ剤とは、小児でも飲みやすいように、白糖等で甘味をつけた少し粘りのある液剤です。懸濁しているシロップ剤の場合は、よく振ってから服用するようにします。
 またドライシロップ剤は、そのまま服用するか、水に溶かして飲みます。
 トローチとは、口の中で徐々に溶かすことによって、比較的長い時間のどや口の粘膜に直接作用して、殺菌作用や消炎作用を示します。局所的な病気の予防や治療を目的に作られた錠剤なので、全身への作用を期待する場合には適しません。水やぬるま湯で飲んでは効果がありません。
 貼付剤とは、布類に消炎・鎮痛剤や殺菌剤が塗布されたもので、膏面のライナーをはがして、患部に貼用するだけで簡便に使用できます。保管に際しては、開封口を折り冷所に、保存して下さい。
 点眼剤とは、眼に使用するため特に刺激を少なくした製剤で、点眼液と眼軟膏があります眼軟膏はまぶたと眼球の間に入れた後、まぶたの上から軽く指でもみ全体に広がるようにします。容器が眼に直接触れないように注意し、使用後は細菌などが混入しないように、
 きちんとふたをした状態で保管しなければなりません。
 点鼻剤とは、消炎、殺菌などの目的で、鼻の粘膜に用いる液剤のことで、滴下剤、噴霧剤、洗浄剤の形で用いられます。患部に直接作用するので効き目が早く現れますが、頻繁に使用しすぎると効かなくなったり、かえって悪化してしまうことがあります。
 坐剤とは、肛門から挿入し周辺部に直接または直腸から吸収されて全身に作用することを目的とした乳幼児などには与えやすい剤型です。また内服で胃腸障害を起こしやすい薬剤も、この剤型で使用すると、胃腸への障害が少なくなります。
 軟膏・クリーム剤とは、容易に患部に直接塗ることができるのが最大の利点です。この2つにも使い分けのポイントがあり、皮膚がただれてジクジクしているようなケースには軟膏、皮膚が乾燥している場合にはクリーム剤が効果的です。

おわりに
 
薬はよく言われるように、“諸刃の剣”です。病気を治すうえで有効な作用を持っていますが、身体にとっては異物だけに、場合によっては悪い作用を及ぼすこともあります。
 この様な作用が出現したときは、すぐに医師・薬剤師に相談しましょう。