以下の記事は、福島県厚生農業協同組合連合会(JA福島厚生連)「健康アドバイス」として、過去に掲載された情報のバックナンバーです。
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農家の皆さんへ

骨密度について
2011年7月22日放送
高田厚生病院
診療放射線技師 熊田 良二

おはようございます。今日は骨密度についてお話させていただきます。
骨の健康維持に関して私たちは無関心になりがちです。骨密度が減少し始めても自覚症状がないということが原因です。知らないうちに、骨がもろくなってしまっては大変です。

骨粗鬆症とは、長期に渡り積み上げてきた生活習慣などで骨の中がスカスカになる病気です。骨格内の骨密度が全体の20〜30%減少し、骨の強度も衰え、骨折を起こしやすくなった状態に対して「骨粗鬆症」という病名が診断されます。
私たち人間の骨がピークを迎えるのは20歳前後で、それからは歳を重ねる毎に減少していく仕組みになっており、骨密度の減少そのものは加齢による生理現象なのです。
骨がスカスカになると少しの衝撃を受けただけで骨折を起こしやすくなり、しかも骨折した骨は治癒に長期間を要するため、QOL(生活の質)の低下を招きます。
骨粗しょう症は命に関わるほどの重大な病気という訳ではありませんが、骨折から要介護認定を受け、寝たきり状態になることもあります。

女性の場合、閉経によりホルモンバランスが著しく変化し、骨量が減少します。
この閉経により骨粗しょう症を生じる人の割合は上昇します。男性の場合は、女性から見ると骨粗鬆症を発症する人は少ないのですが、老化に伴い腸管から行われるカルシウムの吸収率が低くなるため、70歳を越えると骨粗鬆症になるリスクが上昇します。
治療には薬物療法や食事療法、運動療法、生活習慣を改善することによる予防などがあります。
食事療法・運動療法ともに骨密度を下降させないことが大切になります。
食事などの食習慣やライフスタイルを見直すことが、元気で丈夫な骨を維持する予防になります。

骨粗鬆症を防ぐには
1. 骨の元となるカルシウムを十分に摂取することです。それでは、実際にどの程度摂ればよいのでしょう。今の食事に乳製品を1品追加することで達成できるそうです。乳製品はカルシウムを多く含むうえに、その吸収率も高いので、効率がよいと言えます。牛乳が苦手な人はチーズかやヨーグルトを摂るようにするとよいでしょう。
逆に、過度のアルコールは腸の粘膜を荒らしてしまってカルシウムを吸収しにくくすると考えられています。また、飲みすぎると他の食べ物をとらないので栄養が偏るのも問題。タバコは、吸わない人より喫煙者の方が骨密度が低くなることがわかっています。

2. 日光浴をしましょう。日光浴をすると、皮下脂肪でビタミンDが作られます。ビタミンDは、摂取したカルシウムの吸収を促し、血液に入ったカルシウムを骨まで運ぶという重要な働きをしています。さらに、骨を作る骨芽細胞の働きも促進しています。いくらカルシウムを摂っても、ビタミンDが不足していたのでは体に吸収されにくいのだと言うことがわかると思います。日光浴はどのくらいすればよいのかというと、夏場では木陰で30分、冬は戸外で1時間ほど日光を浴びれば十分だそうです。
余談ですが、ビタミンDは食物から摂ることもできます。青魚や卵黄、干し椎茸などに多く含まれています。これらを意識して食べるようにするだけでもずいぶんと効果的ではないでしょうか。

3. 運動する事です。骨に負荷をかけないとカルシウムが抜け出してしまうのです。言い換えれば、骨は使うことで強くなるということです。骨に力が加わると、骨芽細胞の働きが活発になりカルシウムの沈着が進むからです。かといって激しい運動をするのは考えものです。怪我をしたり関節や腰を痛めたりといった事態にもなりかねません。かえって逆効果になってしまいます。
ですので、無理をせず筋肉を刺激する軽い運動、ウォーキングやダンベル体操等が安全で効果的です。毎日30〜1時間位散歩をするだけでもそれなりの効果は見込めます。重要なのは、無理なく長続きする運動を選ぶことだと思います。

最後に
骨粗鬆症の原因の1つである「年齢を重ねる」ことは避けられません。寝たきりにならず、元気で充実した日常をおくるためにも、普段の生活の中での骨粗鬆症の予防に家族みんなで取り組みましょう。 また、地域等で開催される「骨粗鬆症検診」の受診や、かかりつけの医師に相談してみることも大切です。