以下の記事は、福島県厚生農業協同組合連合会(JA福島厚生連)「健康アドバイス」として、過去に掲載された情報のバックナンバーです。
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農家の皆さんへ

メタボ予防で健康寿命をのばそう
2013年5月17日放送
高田厚生病院 栄養科
大橋恵美

 ラジオをお聞きのみなさんおはようございます。私は、高田厚生病院栄養科で管理栄養士をしております大橋と申します。今回は「メタボ予防で健康寿命をのばそう」というテーマでお話しさせていただきます。
 はじめに、メタボリックシンドロームとは内臓脂肪症候群ともいわれており、内臓脂肪の蓄積によって、糖代謝異常・脂質代謝異常・高血圧を重複して持ち合わせている状態のことをいいます。また、発症には生活習慣が深く関わっており、過食と運動不足が主な要因になっています。
 メタボリックシンドロームを予防するわけは、糖尿病・脂質異常症・高血圧・高尿酸血症・脂肪肝・動脈硬化症など、生活習慣病の発症の基盤になるからです。このほかにも、メタボリックシンドロームの方は心筋梗塞や脳梗塞になる確率が高くなるといわれています。
 それでは、具体的に予防するポイントを7つ紹介します。

1つめは
・1日3食バランスよく、なるべく決まった時間に食事を摂るようにしましょう
主食となるごはん類、主菜となる肉・魚など蛋白源のおかず、副菜となる野菜のおかずを毎食そろえ、1日1回は牛乳・乳製品や果物をとるようにしましょう。また、1日3食の配分をほぼ均等にし、なるべく決まった時間に食事を摂りましょう。

2つめに
・食物繊維から先に食べましょう
食物繊維は、野菜や海藻・きのこ類に多く含まれており、血糖上昇の抑制や便通の改善・脂質異常症の改善に効果があります。それから、メタボ検診でイエローカードの男性の皆様も、美しい肌・スタイルを追求する女性の皆様にも是非お勧めです。一日に摂る食物繊維の目安量は20gと言われており、それを野菜から摂ろうとすると両手のひらを広げた上にのるぐらいの量の生野菜、約300g〜350g程度を食べる必要があります。具体的な目安としては、1日大皿2皿程度、できれば一回の食事に小鉢ふたつ分が理想です。ぜひ意識して増やすようにしましょう。 

3つめは
・よく噛んでゆっくり食べましょう
満腹中枢は、食べ始めてから20分後ぐらいから満腹だという指令がおりてきます。ですから、その前に食事を終えてしまうと、ついつい食べ過ぎてしまっているというわけです。また、よく噛んで食べることによって満腹中枢への刺激が伝わりやすくなり、少ない量でも満腹感や満足感が得られます。それから、噛むという行為にはリラックス効果もあります。

4つめに
・好きなものでも一人前にしましょう
たとえ好物でも食べ過ぎはよくありません。偏らないようにしましょう。

5つめは
・就寝前2時間は食べないようにしましょう
食事をとってすぐに寝てしまうと、体が吸収したエネルギーをあまり使わないため、体脂肪として蓄積されやすくなります。また、夕食が遅くなるほど体脂肪として蓄積されやすくなるといわれています。

6つめは
・薄味に慣れましょう
味の濃いものは食欲が増し、ついつい箸が進んでしまい食べ過ぎの原因にもなります。
また、塩分の摂りすぎは高血圧や血管の老化につながります。血管を老化させないためには、塩分を控えることが重要になってきます。また、血管の老化を防ぐことにより若い脳を保つことで、認知症も予防することができます。具体的な塩分量は、1日10g未満を目標にしましょう。

7つめに
・適度に体を動かしましょう
ウォーキングなどの有酸素運動が、一般的に最適だとされていますが、まずは日常生活の中でこまめに動くことからはじめましょう。

 以上の7つのポイントをひとつでも多く実践することにより、血糖・血圧・脂質異常症の改善につながります。また、体を動かすことで筋肉が維持され、エネルギー消費量が高まり、体重コントロールがしやすくなります。これらは、内臓脂肪を減らす近道にもなります。体重は「摂取エネルギーから消費エネルギーを引いた値」で変化します。ということは、摂取エネルギー分を全部燃焼させれば体重は変化しません。逆に燃焼分よりも多く摂取すれば体重は増えます。体重は、摂取エネルギーと消費エネルギーとのバランスです。
 そして、メタボリックシンドロームを予防する最大の利点は、健康寿命をのばし医療費を削減することにあります。そして、生活習慣病や認知症を予防し、健康寿命がのびることによって心身ともに健やかな生活が送れることと思います。
 最後に、メタボリックシンドローム予防の合言葉として「1に運動、2に食事、しっかり禁煙、最後に薬」を掲げ、まずは、できることから日常生活に取り入れていきましょう。これから先、ひとりでも多くの方の健康寿命がのびることを願っております。