以下の記事は、福島県厚生農業協同組合連合会(JA福島厚生連)「健康アドバイス」として、過去に掲載された情報のバックナンバーです。
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農家の皆さんへ

高齢化の現状と訪問看護
2014年10月放送
しらかわ訪問看護ステーション
訪問看護師 神田 やよえ

 皆さんおはようございます。
 私は、JA福島厚生連しらかわ訪問看護ステーションに勤務しております、訪問看護師の神田やよえです。宜しくお願い致します。

 今日は、「高齢化の現状と訪問看護」についてお話をさせて頂きたいと思います。

 まず、高齢化の現状についてお伝えしたいと思いますが、皆さんは高齢化率がどのくらいか御存知ですか?団塊世代の方が65歳を迎えており、65歳から74歳の前期高齢者が大幅に増加しているという特徴があり、高齢化率は平成25年度には、25.1%まで上昇し、4人に1人が65世以上の高齢者となっています。福島県の高齢化率は平成25年度には26.9%、平成26年8月1日現在で27.6%で全国よりも高い値となっています。厚生労働省の発表によりますと、平均寿命も平成25年には男性80.21歳、女性86.61歳と年々伸びています。今後は、さらに65歳以上の占める割合が増え、2060年、約40年後には高齢化率が約40%まで上昇していくだろうと推測されています。年を重ねても、いつまでも生き生き元気に過ごして生きたいところですが、高齢者が増えるということは、高血圧・糖尿病等の多くの慢性疾患を持ちながら生活をして行くことになり、何らかの助けが必要な状態になりやすいことを意味しています。
 介護保険制度については皆さん耳にされたことも多いかと思います。介護保険が必要になったら、市町村窓口に申請を行い介護保険をご利用ください。介護保険制度における要支援者・要介護者と認定された人は、65歳以上人口の約17%を占めています。特に、75歳以上になると要介護認定を受ける割合が大きく上昇すると言われており、中でも介護が必要になる主な原因は脳血管疾患が最も多く、次いで認知症、高齢による衰弱となっています。介護を担っている主な介護者は6割以上が同居している家族で、その中でも女性が約7割を占めています。高齢者のみの世帯も多くなってきており、最近では高齢者が高齢者の介護を行う「老々介護」から、認知症の方が認知症の方を介護する「認々介護」が増加していると言われています。介護は育児とは異なり、いつまで続くがわかりません。ですから介護でお困りの際には、介護保険サービスを利用し負担を軽減させていくことがとても重要になります。
 皆さんは、寝たきりゼロへの10か条は御存知でしょうか?内容を抜粋すると、第1条 脳卒中と骨折予防、寝たきりゼロへの第一歩、第2条 寝たきりは、寝かせきりから作られる 過度の安静逆効果、第4条 暮らしの中でのリハビリは、食事と排泄、着替えから、第6条「手は出し過ぎず、目は離さず」が介護の基本 自立の気持ちを大切に等があります。状態は関わり次第で良くも悪くもなっていきますので、参考にしてみてください。
 日頃より健康的な生活を送っていても、先程お話したように高齢になるにつれ、多くの慢性疾患を持ち介護が必要になってしまうことも多々あります。そのような時には、ぜひ訪問看護をご利用ください。皆さんがお住まいの近くにも、訪問看護ステーションがあるかと思います。
 訪問看護は、医療保険・介護保険によりあらゆる年齢・病気の方々を対象としており、主治医の指示のもと皆さんの御自宅を訪問させて頂き、「病状の観察、保清ケア、胃瘻管理・尿管管理・褥瘡処置などの医療処置、リハビリ、介護相談など」を行っています。最近は、医療処置が必要な方も在宅で療養生活を送るようになってきています。入退院を繰り返し、病状が不安定な方、医療処置が多い方、特に入院により新しい医療処置が加わった方、介護に不安のある方などはぜひ訪問看護をご利用ください。
 皆さんは、人生の最期をどこで迎えたいと思いますか?1970年代後半を境に病院でなくなる方が増え、現在は80%の人が病院で最期を迎えています。しかし、内閣府の調査では、最期を迎えたい場所は「自宅」が半数を超えるという結果もあります。最近では、老衰だけでなく癌の終末期の方が御自宅で人生の最期を迎えたいと希望される方も年々増えてきており、訪問看護は看取りのお手伝いもさせて頂いています。訪問看護を利用するには、主治医又はケアマネジャーに相談するか、近くの訪問看護ステーションに相談してみてください。
 今日は、高齢化の現状と訪問看護についてお話させて頂きました。いつまでも元気に年を重ねていただきたいと思いますが、もし介護が必要になったときには、自分達だけで抱え込まずに、ぜひ介護保険サービスを利用し、負担を軽減して過せるようにして下さい。その一つとして、訪問看護もあるということを、頭の片隅に置いておき、必要な時に御利用下さい。