以下の記事は、福島県厚生農業協同組合連合会(JA福島厚生連)「健康アドバイス」として、過去に掲載された情報のバックナンバーです。
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農家の皆さんへ

『介護施設の種類・特徴と施設を選ぶ際の注意点について』
2014年11月放送
介護老人保健施設厚寿苑
支援相談員 杉内小百合

 みなさん、おはようございます。

 鹿島厚生病院併設、介護老人保健施設厚寿苑、相談員の杉内と申します。
 当施設は、「介護老人保健施設」といい、要介護者を対象とした施設です。高齢者や要介護者を対象とした介護施設や賃貸住宅の種類は非常にたくさんあり、7サービスの内容や入居の目的、入居条件などに違いがあります。このため、ご家族の皆様には、施設の種別ごとの特徴をしっかりと理解してから、利用者の介護度や健康状態、認知症の状態に合わせて施設をさがす必要があります。
 今日は、いくつかの介護施設の種類・特徴・施設を選ぶ際の留意点などについてお話をさせていただきたいと思います。
 まず、有料老人ホームについてですが、食事介助、入浴介助、排せつ介助などの介護サービスや洗濯、掃除といった家事、健康管理など日常の生活サービスも提供しており、施設によってイベント・レクリエーションを行う民間の施設です。終身介護に対応する施設から健康な方のみを対象とする施設と、その入居条件は様々です。入居するには、入居一時金を支払う必要がある場合がほとんどです。自立の方から入居できるため、介護認定の有無は関係ありませんが、必要な施設もありますので注意が必要です。入居期間は原則終身利用となります。介護付き、住宅型、健康型の3種類があり、介護付きは介護スタッフが常駐しているため介護サービスを受けることができますが、住宅型は常駐していないため、訪問介護などの外部のサービスを利用するようになります。
 次に、グループホームについてです。高齢者に限って言えば、認知症対応型となる「認知症対応型共同生活介護」を指すことが多くあります。認知症を患っている高齢者が専門の介護スタッフの援助を受けながら5〜9人の一つのユニットで共同生活を送る施設を言います。日常の共同生活の他機能訓練を通して認知症の改善を図ったり、進行を緩やかにしたり。あくまで「普通の生活」を送りながら健康的な暮らしができるような対策が取られています。入居者の能力に応じてそれぞれが料理や掃除などの役割分担をしながら、自立した生活を送ります。家族のだんらんを楽しみながら自宅で過ごすのと同じような雰囲気での生活を送れるのが最大の特徴です。対象は原則として65歳以上で要支援2以上となり、地域密着型サービスとなるため、施設と同じ市区町村に住民票がある方になります。認知症について正しい知識を持った介護スタッフが常駐し、入居する高齢者の精神的な安定や、自立支援を目的とした介護サービスが行われます。医療的なケアは行われないため、感染症や重度の介護が必要な方で、共同生活を送ることが困難な方は入所が難しくなります。また、入所時から比べて身体状況が悪化して、共同生活が出来なくなった場合、退去しなければならない場合もあります。
 続いて、特別養護老人ホームについてです。いわゆる「特養と言われ、社会福祉法人や、地方公共団体が運営母体となっている公的な高齢者居住施設です。要介護度5など介護度が高く、経済的にも自宅での介護が困難な方が優先的に入居することになるため、多くの施設で200〜300人の待機者おり、全国では約40万人もの待機者がいると言われています。入居対象者は原則65歳以上の高齢者で要介護度1以上の方ですが、来年度の法改正により、対象者は原則、要介護度3以上の方へと変更となります。公的な施設のため低料金で利用できますが、本人や扶養義務のある家族の世帯収入、課税状況のほか、相部屋か個室ユニットかの選択により月額料金が変わってくるため、事前に確認が必要です。入所検討委員会の審査を経て、入所判定を行っていて、入所の必要性の高い方から優先的に入所できるようになっています。日常生活の介護や援助などがメインとなり、健康管理や衛生管理が中心で、医療サービスには対応していないのが一般的です。
 最後に、当施設である介護老人保健施設についてお話いたします。特別養護老人ホームに比べると、医療ケアが充実している側面があり、自宅と病院の中間の役割を持っています。医療ケアを行う看護師やリハビリ担当の理学療法士、作業療法士、健康管理を行う管理栄養士など各種の専門スタッフがサポートする形で、在宅での生活を目指すことが基本的なスタンスです。施設入所の対象は原則65歳以上の高齢者で要介護度1以上の方になります。医療ケアも万全で、痰の吸引や経管栄養、酸素吸入といった高度な医療が必要な高齢者の入居も受付ています。認知症患者も受け入れをしていますが、他の入居者に対して迷惑行為があるようなケースでは退去措置が取られる場合もあります。月額利用料は、特養と同じく、本人や扶養義務のある家族の世帯収入、課税状況のほか、相部屋か個別ユニットかの選択によって異なります。入所の期間については、原則3か月間となっており、できる限り在宅復帰を目標としているため、入所期間は無期限ではなく、3か月ごとに退所か入所継続かの判定を行います。ご自宅での介護が困難な方については、特別養護老人ホームなどの他施設をお申込みいただく必要があり、現状では特養など他施設の入所待機として利用しているかたも多くおります。
 当施設は、施設入所のほかに、ご家族のかたの精神的、身体的な介護負担の軽減やリハビリを目的に、1カ月未満の入所をする短期入所や、日帰りで利用する通所リハビリテーションといった、在宅サービスも提供しており要支援1の方から利用可能です。
 今回お話させていただいた施設の種類のほかに、サービス付き高齢者向け住宅や、介護療養型医療施設、養護老人ホームなど、高齢者・要介護者を対象とした施設には種類が多くあります。利用者の身体的状況、認知症状、医療状況等状態に合わせて、施設を選択する必要があり、同じ種類の施設であっても、施設によって雰囲気や特徴も様々です。施設を探される際には、相談員や担当窓口まで事前にお電話でお問い合わせいただきパンフレットを取り寄せていただいたり、お申込みの際に施設を見学されることをお勧めいたします。
 ありがとうございました。