コレステロールの1日摂取量について
2018年7月
福島県農協会館診療所(所長)
重富 秀一
 血液中のコレステロールが高い状態が長く続くと動脈硬化が進行しやすいことは良く知られています。「ここら3月号」ではコレステロールや中性脂肪がリポ蛋白と言う粒子の形で血液中を流れていることをお話しましたが、今回は、血液中のコレステロールと食事の関係について述べます。食事から摂るコレステロールは1日約0.3~0.5g(20~30%)で、脂質・糖質・タンパク質の三大栄養素を材料に、主に肝臓で合成されるコレステロールは1日約1~1.5g(70~80%)です(図1)。高コレステロール血症は動脈硬化の重要な危険因子であり、放置すると脳血管障害や冠動脈疾患などに発展する危険が増大します。血中コレステロールの約20%は食事由来であることから、これまでは1日のコレステロール摂取基準の上限値が定められていました。しかし、最近になって健常人については、食事中のコレステロールの摂取量と血中コレステロール値との間に明らかな相関がないことが分かりました。体内では常に一定量のコレステロールが必要なため、食事からの摂取量が増加すると体内での合成が抑制されますが、食事からのコレステロール摂取量が減少すると体内での合成は促進することもわかってきました。2013年にアメリカ心臓学会から、「コレステロールの摂取量を減らしても血中のコレステロールが低下すると言う明確な証拠は得られないので、コレステロールの摂取制限を設けない。」と言う見解が出され、2015年に日本動脈硬化学会も「食事制限による血中コレステロールの低下は個人差が大きい」という理由で、コレステロールの摂取制限を撤廃することに賛同しました。厚生労働省は学会の提言を受けて、男性750mg未満/日、女性600mg未満/日としていたコレステロール摂取基準の上限を撤廃しました(図2)。しかし、食事由来のコレステロールの影響を受けやすい人がいるのも事実ですので、食事からのコレステロール摂取をある程度以下に制限するのは、決して悪いことではありません。血中のコレステロール値は食事から摂取量と体内での合成という微妙なバランスの中で一定に保たれています。ところで、コレステロールを下げる食品としては、野菜、果物、海藻、魚介類、大豆などが知られています。また、緑茶や麦茶・コーヒー・杜仲茶・ルイボスティーはコレステロールを下げる飲み物として知られています。大量に食べたり、砂糖を多く摂取したりしてエネルギー源を急速に摂り入れた時にはコレステロール合成が盛んになり、有酸素運動をしているときはコレステロールの合成は抑制(停止)するそうです。高コレステロール(高LDLコレステロール)を放置すると動脈硬化性疾患が発症しやすくなりますので、健診などでコレステロールが高いと言われた人は、食事や運動などの生活習慣を見直して経過をみましょう。それでも正常値にならないときは早めに治療を開始することをお勧めします。


図1


図2



健康アドバイス

 

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