2019年 花粉症情報
2019年3月
福島県農協会館診療所
所長 重富 秀一
日本気象協会から2019年の花粉症飛散予測が発表されました。今春の東北地方の花粉飛散は例年を上回るものの、去年に比べれば少なめだそうです(図1)。花粉症を引き起こす代表的な植物は(図2)のとおりです。花粉症の原因として最も多いのはスギ花粉で全体の約80%です。東北地方では例年3月頃からスギ花粉の飛散が始まります。スギ花粉より約1ヶ月遅れでヒノキ花粉が飛散します。昨年はヒノキ花粉がとても多かったのですが、今年はヒノキの花芽の生育が去年ほどではないそうなので、ちょっと安心です。北海道にはスギが少ないため、スギ花粉症はほとんどありませんが、シラカバやハンノキなどのカバ科植物が多いので(カバ科の植物の花粉飛散は4月から6月頃)、これらの植物の花粉にアレルギーがあって、4月末から5月の連休に北海道旅行を計画している人は注意が必要です。花粉症とは、花粉が原因で起こる季節性のアレルギー性鼻炎のことで水様性鼻汁、くしゃみなどの鼻炎の症状のほか、目のかゆみ、流涙、結膜の充血などの目の症状を認めます。症状は花粉飛散の時期に一致し、原因となる花粉の飛散時期が過ぎると症状は出なくなります。主な花粉がどの季節に飛散するかを(図3)に示しました。花粉症は季節性ですが春にだけ見られるものではありません。植物によって花粉の飛散時期が異なるので、夏でも秋でも花粉症になる人はいます。自分がどの花粉に敏感なのかを知っておくことは花粉症の予防対策を行なう上でとても重要です。花粉症と鑑別が必要なものに通年性アレルギー性鼻炎があります。これは、ダニ、カビ、動物の毛、ハウスダストなどいつも身の回りにするものが原因物質となって発症するものです。症状は花粉症とほぼ同じですが、目の症状は花粉症より軽いことが多く季節に関係はありません。原因物質に暴露される程度の差によって症状が悪化したり軽快したりしながら一年中鼻炎の症状が現れます。熱の出ない風邪(普通感冒)の症状も花粉症や通年性アレルギー鼻炎と似ていますが、目の症状を伴うことはありません。鼻水も最初は水様性であったものが、徐々に粘り気が出てきて、そのうちに濃性(黄色)になるので経過をみれば区別がつきます。咳や痰、喉の痛みを伴っていれば花粉症ではないことがはっきりします。インフルエンザの場合は、くしゃみ、鼻水のほか、寒気、関節痛、倦怠感などを認め高熱を伴うことが多いのですが、高熱が出ない(平熱や微熱)の場合は花粉症と紛らわしいこともあります。さて、花粉症対策については皆さんも良くご存知と思います。天気がよくて風が強い日の外出をさけること、目や鼻から花粉が侵入するのを防ぐための防具を使用すること、花粉が付着しにくい服を着ること、髪をコンパクトにまとめること、家に入る前に花粉を落とすこと、帰宅したら顔を洗ってうがいをすることなどいろいろあります。外で飛散している花粉を室内に持ち込まないことが大切ですが、一日中換気をせず屋内に閉じこもっていることは健康的ではありません。花粉症の時期に部屋の窓を1時間開けて換気をした場合は、約1,000万個の花粉が室内に侵入すると言われています。窓を開ける幅を10cm程度にしてレースのカーテンを閉めておけば、花粉の侵入は4分の1程度に抑えられるので、花粉症の時期に部屋の空気を入れ替える際は、このような配慮が必要になります。花粉症の方は、早めの治療と日常生活の注意に心がけてつらい季節を乗り越えましょう。



図1 2019年の花粉飛散予測


図2 花粉症を起こす原因になる代表的な植物


図3 主な植物とその花粉が飛散する時期

健康アドバイス

 

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